日本海を望む海辺のエリア、島根・出雲市多伎町は、秋の味覚「イチジク」の産地として知られている。その自慢の絶景と特産品を組み合わせた体験型の観光コンテンツが誕生した。キーワードは「海辺の朝ごはん」。農家が自ら企画したというユニークな朝食を体験した。

“ただでは食べられない”朝ごはん

並べられたのは、出雲市で人気店のベーカリー「ル コションドール出西」のパン、そして島根・大田市で話題のロースター「山羊コーヒー」の淹れたてコーヒー、さらに目を引くのが出雲市多伎町の「イチジク」。ちょっとぜいたくな「朝ごはん」だ。

この記事の画像(10枚)

村上遥アナウンサー:
晴れた空と海を間近で見られるロケーションで、採れたてのイチジクとパンのプレートをいただける朝食です

しかし、この朝ごはん、ただでは味わえない。実は、イチジクの収穫体験とセットになっているのだ。

イチジク農家の山田真嗣さん
イチジク農家の山田真嗣さん

イチジク農家・山田真嗣さん:
イチジクは新しい枝の下から順番に熟す。これが収穫するのに良いタイミングだと思う

採れたてのイチジクを手に取る村上遥アナウンサー
採れたてのイチジクを手に取る村上遥アナウンサー

村上遥アナウンサー:
収穫できました!

採れたてのイチジクをメインにした朝ごはんを、絶景の海辺で楽しめる体験型観光コンテンツだ。

体験観光通じて“生産者の思い”を発信

企画したのは、2022年に東京から出雲市にUターンしてきた杉原麻衣子さん。同級生のイチジク農家・山田さんから農業の現状を聞いたのがきっかけだった。

海辺の朝食を企画した杉原麻衣子さん:
イチジク農家の高齢化が進んでいて、収穫時期がすごく忙しいけど人手が不足しているとか、PRが足りていないところがあるというので、何か一緒にできないかと相談された

多伎町では、イチジク農家は10年前まで100戸以上あったが、高齢化などのため、2023年には約80戸にまで減少してしまった。

そこで2人が企画したのが、イチジクの収穫と朝食をセットにした体験観光だ。多伎町のイチジクに目を向けてもらい、ファンをつくろうと考えたという。

この「海辺の朝ごはん」を通じて、杉原さんは「生産者が消費者と接点を持つ機会が生まれたら」と考えた。また、山田さんは「スーパーで売られているものを、ただ手に取るだけじゃなくて、生産している現場のことも知ってもらえると良いな」と生産者の思いも伝えたいと話した。

「多伎いちじく」でファン創出

かく言う山田さんも、実は多伎町のイチジクのおいしさに感銘を受け、農家に転身していた。8年ほど前に東京からUターンし、特産のイチジクで地元を盛り上げたいと奮闘してきた。

イチジク農家・山田真嗣さん:
出雲大社を見た後に、東の方に行かれる方が多い。多伎にも宿泊施設はあって、すてきな場所があるので、そこに宿泊してもらって、朝「多伎いちじく」の収穫体験をしてもらえると、とてもうれしい

この収穫体験付きの朝ごはんプランは、イチジクの収穫シーズンにあたる9月から10月にかけて3回予定され、すべて予約で満席だという。

杉原さんと山田さんは今後、市内の宿泊施設などともタッグを組んで、“多伎いちじく”のファンを増やしたいと意気込んでいる。

(TSKさんいん中央テレビ)

TSKさんいん中央テレビ
TSKさんいん中央テレビ

鳥取・島根の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。