手話を取り入れたダンスパフォーマンスの全国大会「手話ダンス甲子園」が9月に初めて開かれる。聴覚の障害を乗り越え、予選大会に挑んだ岡山県の中高生チームがダンスに込めた思いを取材した。
人工内耳つけながらダンス!
音楽の歌詞や世界観を手話やダンスで表現する「手話ダンス」。障害の有無にかかわらず、誰もが楽しめるパフォーマンスとなっている。

倉敷市のスタジオでは、この「手話ダンス」の練習に励む中高生の姿が見られた。
ダンスチーム「silent voice」。岡山県内の中高生11人で結成されている。

チームをひっぱる天野七夏さん(17)と吉井優芽さん(16)。2人とも生まれつき重度の難聴で両耳に人工内耳を付けている。

踊ることが好きで、小学生の時からユニットを組み様々な舞台で活躍してきた。
「障害者とか関係なく、一緒に踊れる」
今回、新たなメンバーと挑戦するのは、2023年に初めて開催される「手話ダンス」の全国大会。2人以外の9人は耳が聞こえる健聴者、手話には初挑戦だという。
メンバーたちにとっては難しい手話。難聴の吉井さんも「ちょっと動きが違ったら意味が変わるのが難しい」と語る。

そんなメンバーに、ろう学校に通っていた天野さんが懸命に手話を教える。

一方で、音楽のリズムがつかみづらい時などは、聞こえるメンバーが天野さんを支える様子も見られ、みんなで協力し合い「手話ダンス」に挑んでいた。

silent voice 吉井優芽さん:
今回初めて、難聴と聞こえるメンバーが一緒に踊る。障害者とか関係なく、一緒に踊れるんだということを伝えたい

「手話ダンス」全国大会前に…予選は
大会に進む3チームを決める西日本の予選大会。
パフォーマンスの芸術性やメンバーの多様性などが評価のポイントで、歌詞を手話や表情で表現し観客に伝える。
♪「ひとりでは叶えられない夢があるから~僕たちはきっと出逢ったね」

多くの観客を前に、練習してきたダンスを笑顔で踊るメンバー。
ステージを降りた彼女たちの目には涙が浮かんでいた。

そして…
ダンスチーム「silent voice」は、見事、特別枠での全国大会出場を決めた。
silent voice 天野七夏さん:
11人でお互い支えて、しっかり練習して頑張ったと思う。やり切った

silent voice 吉井優芽さん:
ダンスは誰でも踊れる、この手話ダンスで障害に関係なくダンスを楽しんでいるということを伝えたかったので、伝えられて良かった

耳の聞こえる人も聞こえない人も、それぞれが輝ける「手話ダンス」。9月の全国大会で、再び多くの観客に彼女たちの思いが届くことに期待したい。
(岡山放送)