いよいよ残り2カ月を切ったプロ野球のペナントレース。“悪夢の7月”を過ごし、首位から引き離された福岡ソフトバンクホークスだが、まだまだ諦めてはいない。諦めるわけにはいかない。
2軍の舞台「筑後」で指揮を執る小久保裕紀2軍監督は、この状況をどう見ているのか?

チームは不調だが…苦境は「昇格のチャンス」

取材した8月2日の気温は37度。この日試合がなかったホークス2軍だが、第2球場でケースバッティングを行うなど、炎天下でも選手は元気に汗を流した。

この記事の画像(14枚)

打撃投手を務める小久保2軍監督も、大粒の汗をかきながらの熱投だった。

小久保裕紀ホークス2軍監督:
前回(7月上旬)の取材日ときょうは、気温が全然違うから、一気に「真夏の筑後」ですよ。でも、こっちのサブグラウンドは、比べると涼しいですからね。向こう(メイングラウンド)は、昼前だったら照り返しがきついので。この前の日曜日で59.6度もありました

調子がなかなか上がらないホークス。残りのペナントレースを総力戦で臨まなければならない状況だ。

記者:
小久保さんも現役時代、多くの“連敗”を経験していますが、うまくいかないときに考えるべきことっていうのは?

小久保裕紀ホークス2軍監督:
まあ、やっぱり雰囲気作り。当然、(ベンチは)暗くなりますよね。でも何かこう、楽しくやれればいい(と思います)。楽しくやれればいいというのって、今、世の中の風潮じゃないですか。(でも実際は)負けていて楽しくはできない。1軍のあの状況は、こっち(2軍)から(1軍へ)呼ばれる選手のチャンスは、僕は増えると思ってます。こっちはこっちで、ケツ叩きながら「準備しとけよ」という話

小久保2軍監督は、チームが苦しいときこそ、ファームの選手は1軍昇格のチャンスと語る。

育成から支配下の木村光 フレッシュオールスターで好投

しかし、2023年のホークスは当初、支配下登録選手70人の枠まで3人残していたが、6月にデスパイネ選手が復帰入団。7月には、元メジャー投手・ヘルナンデス選手を獲得。

残り1枠には育成の木村光投手が支配下登録された。結局、2023年に育成からの支配下登録は、木村投手1人だった。

記者:
木村光投手が今回、1年目で支配下になりましたけど、小久保2軍監督から見て、どの時点から支配下に近いと思っていましたか?

小久保裕紀ホークス2軍監督:
結構、最初からです。春のキャンプぐらいから。「何で育成なんですかね」ていう、他球団からもドラフトにかからなかったのか(分からない)。確か、何か大学時代に故障したので、あまり投げてないみたいでした。投げるボール的には、申し分なかったです

2022年の育成ドラフト3位で入団した木村投手は、ウエスタン・リーグで中継、先発で16試合に登板。防御率2.97。左肘を手術したモイネロ選手の離脱で、投手陣拡充の狙いもあり、支配下登録となった。
その木村投手は、7月18日に富山で行われたフレッシュオールスターに小久保監督と共に出場し、1イニングを三者凡退に抑える好投を見せた。

小久保裕紀ホークス2軍監督:
木村がタイミングよくというか、支配下になって最初の登板がフレッシュオールスターなんでね。多分、一生の思い出になったでしょうし、点を取られず、しっかり抑えられたので良かったなと思いました

2軍で2冠 打撃向上のリチャード 1軍定着は…

野手では、小久保監督が毎回のように名前を挙げるリチャード選手が、左膝を痛めた栗原陵矢選手に代わって、今シーズン3度目の1軍昇格となった。

ファームでの打率2割3分4厘、43打点、14本塁打は、ウエスタン・リーグトップの成績だ。
しかし1軍では、21打数2安打で打率は0.95(取材時)と、なかなか定着できずにいる。

記者:
リチャード選手が、また1軍に上がっていきましたけど…

小久保裕紀ホークス2軍監督:
結果を出すには打席に立たないといけないんで、まだトータル20打席も立てていないでしょ? 今年ね。それで判断するのは、ちょっとかわいそうというか、難しいですよね。2軍では、やっぱりあれだけ試合数も少なくて、それでも2冠王ですからね

小久保監督と取り組んだバッティングの向上。ボールのミート位置を手前にすることで、良くなったと小久保監督は話す。

小久保裕紀ホークス2軍監督:
変化球はギリギリまでボールを見極めるために、打つポイントをなるべく近くにして。あのパワーですから。僕にはないパワーなので、詰まってから押し込んでも十分、反対方向(のスタンド)に入るんですよ

小久保裕紀ホークス2軍監督:
大谷翔平の例も出して、年々、大谷は打つポイントが近くなっているじゃないですか。大谷は反対方向にもホームラン打っていますけれど、パワーという点ではリチャードは抜けていますからね。ここから(前から)押すより、ここから(後ろから)押したほうがいい(力が伝わる)ですよね、僕はそういう理論なので

シーズン後半 「呼ばれる選手は増える」

記者:
シーズン残り2カ月を切ったぐらいですかね。ここから先、1軍と2軍の連携は?

小久保裕紀ホークス2軍監督:
連携もそうですし、ペナントレースのゲーム差的にはかなり厳しいところは来てますけど、でも可能性がなくなったわけじゃないから。緩んだりとか諦めたりっていうのって、すぐ伝染していくので、そうならないでほしいですね。その中ではリチャードかなと。増田珠(選手)が1軍に行きましたけれど。(野村)大樹(選手)なんかも、そこに控えてる一番手ですよね。呼ばれる選手のチャンスは、僕は増えると思ってます

(テレビ西日本)

テレビ西日本
テレビ西日本

山口・福岡の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。