シーズン折り返しを迎え、激しさを増すプロ野球ペナントレース争い。好調な選手を1軍に送り込む小久保裕紀2軍監督も大忙しだ。

デスパイネ選手再加入で狭まる1軍への門

小久保裕紀2軍監督:
デスパイネ、来ました。久しぶりに会いました。半年ぶりぐらい。元気そうで、彼にとっては勝手が分かっているところなので、やりやすいんじゃないですか

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“親方”デスパイネ選手の再加入で、打線に厚みが増すのは間違いない福岡ソフトバンクホークスだが、昇格を目指す2軍選手の1軍への門はますます狭くなる。

記者:
スチュワート投手が1軍に上がって、好投していますが

小久保裕紀2軍監督:
(2軍時代と)一番の違いは、どんどん“ストライクゾーン”で勝負できるピッチャーに変わっていたことだと思います。結構、驚きましたね

19歳でホークス入りしたスチュワート・ジュニア投手も、5年目の23歳だ。2年ぶりの1軍登板となった5月18日の阪神タイガース戦では、6回途中まで無失点。自己最速の160kmもマークした。

今シーズン2度目の登板となった6月28日の東北楽天ゴールデンイーグルス戦でも、フォアボールは多かったものの、6回1安打無失点。勝ち星はつかなかったが、好投を見せた。しかし課題も。

記者:
やっぱり、ランナーを背負うとちょっとカッカしたり。(盗塁をさせないための)クイックモーションは、全然できていなかった

小久保裕紀2軍監督:
クイックモーションを、僕やピッチングコーチが言い過ぎると、そこに意識が行き過ぎて、コントロールが乱れる方が嫌だという判断をして、実はこの前、阪神戦に投げたときに大山選手(2022年・盗塁0)に、初球から走られましたね。走られるのは分かっていたんですよ。そこはあえて言わなかったんです。それよりもストライク勝負で、そっちの長所をそのまま引き出して、バッター勝負。だから、走られるのはもう目に見えていました。でも、あの球威じゃ「なかなか、そう連打は出ないでしょう」という話は、ピッチングコーチにはしたんで。「あまりクイックは言わないようにね」という

注目は生海選手「バッティングが面白い」

シーズンも中盤に入り、1軍のオーダーもほぼ固まってき始めたところ。2軍から選手が食い込んでいくのもなかなか難しくなってきつつある中、小久保監督の注目を聞いた。

小久保裕紀2軍監督:
生海のバッティングは面白いかなと思いますね

2022年ドラフト3位ルーキー、22歳の生海選手は、シーズン前の2月キャンプでもA組に呼ばれた。最近、2軍戦では4番に入り、そのバッティングに首脳陣も期待をよせている。

小久保裕紀2軍監督:
打順は、バッティングコーチに決めさせているんですけれど、「4番は生海で行こう」というのは、僕が決めました。しかし、バッティング以外に課題が多いですね。守備、走塁、同じミスを繰り返すので、そのミスを「野球ノート」をつけさせて、グラウンドに来る前にコーチに何を注意されて、きょうはどこを自分がポイントにして練習するかとか、そういう初歩的なところから教えています

残り2枠…支配下登録の期限迫る

ホークス2軍の本拠地、「筑後」でくり繰り広げられているもう1つの争いが、育成選手の「支配下登録サバイバル」だ。ホークスの支配下登録選手は、6月26日にデスパイネ選手が加入して、現在68人、残り枠は2人となる。今シーズンの支配下登録期限は7月末。育成選手たちの必死のアピールが続く。

2023年2月のシーズン前の春キャンプで、小久保監督は次のように語っていた。

小久保裕紀2軍監督:
(注目している)野手は、ちょっと今シーズンの1軍入りは、まだ厳しいかもしれないけれど、仲田慶介っていう、2021年ドラフトで、最後の最後(全球団の最終指名128番目)に指名された選手がいるんですけど、彼は元々が外野手ですが、もう今、内野は全部守れるように練習させています。「牧原大成2世を目指せ」と

仲田慶介選手(23歳・福岡大学出身)は、けがによる離脱もあったものの、2軍戦に15試合出場。外野手登録ながらセカンド、ショートも守るユーティリティープレーヤー化が進行中だ。

記者:
7月31日で支配下登録の期限が迫ってきて、当然、育成選手たちは、その日にちが頭にあると思うんですが

小久保裕紀2軍監督:
まさにその話をしました。「あと1カ月よ」と。きのうの試合(中日ドラゴンズ2軍戦)で、仲田は、ショートを守っていたんですけれど、1アウトかノ―アウトだったか、ランナー1、2塁でレフト線にヒットを打たれて、仲田がカットプレー入ったんですね。相手のランナーコーチが回して(走る指示を出して)、1塁ランナーがホームインして点を取られたんですけれども、十分アウトのタイミングなんですよ。でもボールを持った仲田は「1塁ランナーは3塁で止まるだろう」と予測して、ホームに投げるタイミングが遅れた。それで失点した。そのあと仲田に「“売り”は何ですか?球団に買ってもいたい“武器”は何ですか?」って聞いたら「泥臭いプレーです」と答えが返って来たので、「それだけじゃないやろ。肩に自信あったんちゃうんか?」と言いました。仲田は元々、外野手だったので、肩に自信があった。だからカットプレーでの本塁送球は一番の見せ場のはず。しかし見せ場であるはずの中継プレーでのミス。「あんたたち、後1カ月よ」と。分かりきった話をしました

熱血指導の小久保監督。“筑後の夏”は、ますます暑くなりそうだ。

(テレビ西日本)

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