日銀が大規模な金融緩和策の修正を決定し、7月28日に植田和男総裁が記者会見を開いた。 第一生命経済研究所の主席エコノミスト・藤代宏一さんは「日本に影響が出るとは考えにくい」と指摘した。

 長期金利「上限0.5%超」を容認

日銀・植田和男総裁:
長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)を従来よりも柔軟に運用します。ただし、1%を超えて長期金利が上昇しないように、1%の水準では金利上昇を抑制します

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日銀は、7月28日の金融政策決定会合で、長期金利が上限の0.5%を超えることを容認することを決定した。日銀は物価と賃金が共に上がる姿を目指して、金利を低く抑えてきたが、今後は市場の動向に応じて、一定程度超えることを認めるものだ。

植田総裁は、「物価安定の実現を目指し、企業の資金繰りと安定維持に努めるとともに必要があれば追加的な金融緩和措置も行う」と述べた。 日銀の決定を受け、為替は乱高下し、日経平均株価の下げ幅は一時800円を超えた。

エコノミスト「日本で影響があると考えにくい」

日銀が金融政策を修正し、長期金利0.5%超えを容認すると発表したことについて、第一生命経済研究所の主席エコノミスト・藤代宏一さんに話を聞いた。

ーー私たちの生活にはどう影響するのか?

第一生命経済研究所・主席エコノミスト 藤代宏一さん:
一般の方への影響はほとんどないと考えていいと思います。長期金利が上がる方向に政策を動かしていますが、27日から28日にかけての変化だと、長期金利が0.5%から0.55%になったぐらいで0.1%にも満たない上昇です。企業収益はおろか、賃金や物価含めて経済全体に何か大きな影響があるとは考えにくいです。アメリカぐらい1年間で5%ぐらい政策金利を引き上げれば、住宅ローンが3%から7%に引き上がるなどの大きな影響がありますが、日本では影響があると考えにくいです

第一生命経済研究所・主席エコノミスト 藤代宏一さん:
日本では大半の方が住宅ローンを変動金利で組まれていると思います。変動金利の住宅ローンは日銀が設定する短期金利ですが、当分変わる気配はありません。若干影響があると考えると、長期金利と連動する固定型の住宅金利を新たに申し込もうとする人に対して影響が出るかなと。新たに組む住宅ローンの金利が0.1%から0.2%ぐらい上がる可能性がある、それぐらいです

ーー為替にはどの程度の影響が?

第一生命経済研究所・主席エコノミスト 藤代宏一さん:
為替を決定する要素がたくさんある中の1つに、日米の金利差があります。アメリカの金利が日本の金利よりも高くなりそうであれば円安ドル高が進み、去年は顕著でした。ただ、アメリカは短期金利を1年間で5%を引き上げた一方で、日銀はかなり長い時間をかけてようやく長期金利を少しだけ動かした程度なので、日銀の金融政策緩和によって大幅に為替のトレンドが変わることが今時点では考えにくいと思います

(2023年7月28日 関西テレビ「newsランナー」放送)

関西テレビ
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