プロ16年目の今シーズンは開幕から全試合に出場。打撃、守備に大車輪の活躍を見せている福岡ソフトバンクホークスの中村晃選手(33)は、8年ぶりの打率3割を目指すベテランだ。その好調の秘密をテレビ西日本が直撃した。

「順調に来ている」…今季安打数は“リーグトップ”

記者:
使用しているファーストミットは、ずっと同じミット?

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福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
これは練習用です、第2ミットです。試合用のミットは10年ぐらい変わっていない。古くなって、もうそろそろやばいですね。この前もひもが切れて、1イニングこれ(練習用)で守ったっす

交流戦最後のカード、6月17日のタイガース戦では1点ビハインドで迎えた土壇場の9回。2アウト2塁・1塁の場面で、追い込まれながら逆転の2点タイムリーツーベースを放った。普段は物静かなベテランも塁上で何度もガッツポーズを見せる会心の一撃だった。

記者:
成績という面で今、打率リーグ2位、安打数ではリーグトップですけれど

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
ここ数年では一番安定してヒットも出ていますし、また、試合もしっかり全部出られているので、順調に来ているかなと思います

絶好調の裏には「16年目の覚悟」が

2023年1月、シーズン前の自主トレ。そこには今シーズンにかける中村選手の姿があった。

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
ここ数年、成績が良くないですから、「ダメなら終わり」という覚悟でやっています

今シーズンへの覚悟を口にしていた中村選手。この数年、納得できる成績ではなかったベテランが、あえて口にしたプロ「16年目の覚悟」。

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
ここ数年の成績を自分で見返したときに、「ダメだったら若い選手を使うだろうな」っていうのも分かりますし、そこはもう1回、自分がレギュラーを取ったときのような気持ちでチャレンジしたいなという気持ちはありました

6月23日現在、中村選手は打率0.296でリーグ2位、安打数は72でリーグトップだ。62試合全試合に出場している中村選手は、5月からは打順もほぼ1番に固定され、リーディングヒッターとして打線を引っ張っている。

記者:
ここ1、2年、成績もちょっと苦しんでいて、だけど今年の成績は、「何が良くなったのかな」って思っているファンも多いと思いますが

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
まぁ、以前、膝も痛めて、それでやっぱり足を上げて、タイミングを取るっていうことが少し難しくなってきたのかなと。結果も出なかったですし、それで思い切って今のフォームというか形にしたんですけど、それが去年の夏以降ぐらいからやりだして、うまいこといってるのかなと思います

中村選手は、昨シーズンの後半戦から打撃フォームを変えた。以前は左腕をプルプルと動かしてタイミングを取る特徴的なルーティンから足を上げるフォームだったが、新フォームでは腰を落とし、足を上げないフォームに変えている。今シーズンに入り、その形をしっかりと自分のモノにしている。

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
足を上げているときは、どこでタイミングを取って、どこで足を出していこうっていうのも、ところどころ意識することはたくさんあったので、今はその部分が削られて、よりシンプルな感じで打席に立つことができて、集中できているのかなと思います

また中村晃選手のバッティングの持ち味のひとつが、追い込まれた2ストライクから見せる脅威的な粘り強さだ。タイガース戦での逆転打も2ボール2ストライクからファールで2球粘って7球目を仕留めている。

記者:
2ストライクに追い込まれてからファールを打っている数が、中村晃選手はリーグでトップなんですよ。80%超えていて

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
調子が悪いときでない限りは「何とかファールを打って粘れる」っていう感覚は自分の中ではあるので、「(感覚が)戻ってきた」っていうのはあります

気持ちは「こんな便利な選手はいない」

一方、守備では今シーズン、62試合中スタメンでのファーストでの出場が52試合。記録されたエラーはわずか「1」。守備率はパ・リーグ内野手トップの0.998と安定している。

記者:
守備の方ですが、これまで3回ゴールデングラブ賞を獲得して、今年またさらに磨きがかかってるのかなって思います。セカンドを守る選手が(固定されず)変わったり、サードの守備も新しく栗原選手がコンバートされたりしましたが、(悪送球の捕球など)中村選手がカバーしている部分もあるのかなと思いますけれど

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
送球を受けることに関しては、低い球は「もう絶対、捕ってあげる」っていう意識でやってますし、投げてくる方も体勢が悪い時とかがあると思うので

記者:
その辺の自信っていうのは…

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
あんまり自信はないですけど、ないですね。いや難しいですね

記者:
また、守備で「外野手登録」のままっていうのは、中村選手の中ではこだわりがやっぱりある?

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
自分の中で、やっぱり「外野は絶対いつでもできるようにはしておきたい」っていうのはあるので、1塁手、内野手登録になってしまうと、何かもう「外野をやらないのか」みたいな感じになってしまうので、そこは何かですね、意地じゃないですけど「外野もできますよ」っていう、そういう思いはあります。昔は、何かこう、ポジションとか打順が変わって「嫌だな」と思うこともあったんですけど、それだけ監督やコーチが動かしても大丈夫だと思って使ってくれていると思いますし、それはいいように解釈して「こんな便利な選手はいないな」と自分で言い聞かせながらやってます(笑)

キャリアハイも目指せる勢いを見せているプロ16年目の33歳。今シーズン目指すものは当然、3年ぶりの優勝だ。そして…。

福岡ソフトバンクホークス・中村晃選手:
やっぱり3割。「もう1回、打ちたいな」っていう。しっかり試合に出て打ちたいっていう思いもありますし、また全試合に出て「本当にいいシーズンだった」と最後に思えるような年にしたいと思います

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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