熊本市の中心部から車で15分ほど走った、熊本市西区の花園地区は湧水の宝庫。テレビ熊本は、そこで清らかな水を使った農業を取材した。
生命力強いクレソンはコンクリートにも
今回お邪魔したのは、熊本市の中心部から車で15分ほどの西区・花園地区。

七花ファーム・古閑弘晃さん:
こちらがクレソンの畑になります
テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
こんな感じで広がっているんですね。初めて見たかもしれない

七花ファーム・古閑弘晃さん:
よく言われるんですけど、セリに近いような感じの田んぼで水田に水を流し続けるような形で栽培していまして
テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
土の中というよりは水を張ったところから直接出てるんですか

七花ファーム・古閑弘晃さん:
ちょっと1個取って説明しますと、いっぱい長いんですけど、クレソンなんですね。芽が出てるじゃないですか。水から栄養を吸収しているみたいで、川だったりすると石の上とかコンクリートの上に生えてるんですよね
テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
生命力強い

七花ファーム・古閑弘晃さん:
強いんですよ。地面はあんまり関係ないみたいな感じで

クレソンとは、オランダガラシとも呼ばれるアブラナ科の多年草だ。古閑さん夫婦は元々コメやネギなどを栽培していたが、知り合いの店から「クレソンを作ってほしい」と頼まれ、耕作放棄地を活用するなどして、4年ほど前から本格的にクレソン作りを始めた。
農場の名前は「七花ファーム」、花園七丁目から命名された。
投げ入れても育つのに水流ないとダメ
それにしてもクレソンとは不思議な作物のようで…。

テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
それ、どうされるんですか?
七花ファーム・古閑弘晃さん:
そこの生えていないところに置いとくだけで、これも切ったやつポイって投げて苗を増やしたんですけど、こんなふうにいっぱい
テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
新しく出てくる

七花ファーム・古閑弘晃さん:
はい、それこそこれを取って投げるだけで定植になるので、そんなもんです
テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
すごいですね、クレソンって
七花ファーム・古閑弘晃さん:
増やし方は楽なんですけど、育てるのは手間がかかる

テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
これでいいんですか?
七花ファーム・古閑弘晃さん:
これでいいんです。そのかわり、水が流れていないとダメなんですよ

放り投げたクレソンは10日ほどで根付くという。元々水田だった場所で作られているクレソンの育て方は、用水路から水を引く点ではコメ作りと同じだが、古閑さんによると、クレソン畑は「沼」ではなく「小川」を作るイメージだという。大切なのは水の流れを生むこと。もし落ち葉などで水の流れが止まってしまえば、クレソンはほどなく枯れてしまうそうだ。
ほのかな辛みとシャキシャキの食感
花園地区には「お手水(おちょうず)」など、環境省が指定した平成の名水百選・金峰山湧水群を構成する水源が5カ所あるなど水の宝庫。クレソン畑に流れ込む水も、そうした湧水の1つだ。
取れたばかりのクレソンをいただいた。

テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
あ、ほんとだ!ワサビみたいな感じがしますね
郡司アナウンサーがクレソンをこのような形で食べるのはもちろん初めて。ほのかな辛みとシャキシャキの食感が特徴だった。
しかし、どう調理したらいいのかわからないという方も多いのでは。そこで、お勧めの食べ方を教えてもらった。

七花ファーム・古閑ゆかりさん:
サンドイッチ作る方法と一緒なので、簡単に食パンにマヨネーズをつけます
使用するのはクレソンと水をミキサーにかけてペースト状にしたもの。これを卵サラダに混ぜてパンにはさむだけでクレソン入りエッグサンドの完成だ。

テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
ん!? クレソンがアクセントになってる。普通のエッグサンドと違ってほのかな辛みがスーッと抜けるような辛みがあって…これ、ほかのじゃ出ない味ですね
通常はお肉の付け合わせで出されることが多いクレソンだが、割り下と牛肉ですき焼きにしたり、ブリしゃぶとして食べてもおいしいそうだ。
水質・水温・水量の三拍子が秘訣
テレビ熊本・郡司琢哉アナウンサー:
クレソンを育てようと思ったら、第一条件は水となるんですか?

七花ファーム・古閑弘晃さん:
そうですね。水質、水温、水量、その3つが揃っていないと難しいんだなと3、4年痛感しながらやってきています。クレソンにとっては流れが止まると弱ったり死んじゃったりするし、水に寄り添って生きている植物だなと思っていますので、水は命だと思っています
クレソンにとって水は命。山あいから湧き出す清らかな水が、今日も静かに畑を潤す。
(テレビ熊本)