新型コロナの影響で、一部の大学では未だリモートでの授業が続いている。
しかし、そのリモートであることを利用した新たな「学び」のカタチを実践している学生が熊本・南阿蘇にいる。

オンライン授業の合間に農業を手伝う女子大生

ニワトリに餌を与えているのは廣林花音さん。

廣林花音さん:
私、地元が富山県なんですけど、豪雪地帯の富山県の方が寒いと思っていたら、こっちの方が寒くて

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富山県出身、南阿蘇村に住んで間もなく1年の廣林さん。
しかし、彼女が在籍しているのは東京の慶応義塾大学だ。

2020年3月  九州を一人旅している途中、大学のOBを訪ねたことで、思ってもみなかった学生生活が始まった。

きっかけは、東京での新型コロナウイルスの感染拡大だった。

廣林花音さん:
緊急事態宣言が出て、大学もオンラインになったので。(大学OBの)愛梨さんが「ここで授業の合間に農業のお手伝いをして生活するのはどう?」と提案された瞬間に、私はもうイエスしかないという感じで

日本中どこでも…“リモート授業”に発想の転換

廣林さんを受け入れているのは、南阿蘇村で農業を営む大津愛梨さん。

大津さんはこれまでも、夏休みに東日本大震災の被災地の子どもたちを受け入れたり、海外の人たちとも交流するなど南阿蘇を拠点にさまざまな活動をしている。

夏休みに被災地の子どもを受け入れることも

大津愛梨さん:
去年の2月の段階で都内が深刻化していたので、春休みに入っている学生さんを休み期間中に預かりましょうかという打診を大学にしていたんです。(大学との)話が進んでなかったときに、(廣林さんが)3月下旬に「今日から行っていいですか」と。「とりあえず帰れないんだったら(南阿蘇に)おいで」と

大学の授業は全てリモート。
大学に行くことも、友達と会うこともできず、自宅に引きこもりがちと言われる大学生。

しかし逆の発想をすると、Wi-Fiの環境さえあれば、リモートの授業は日本中どこでも受けることができる。

大津愛梨さん:
それは発見でしたね。発見というか、すごいことだなと思います。なので、田んぼの手伝いをしながら、畦(あぜ)で授業とか受けてたね

田んぼの畦道で授業も…

現在2年生の廣林さんは、2020年度に受けていた授業は全て単位を取ることができた。
また、農作業を手伝うことで一定の収入も得ている。

大津愛梨さん:
学生さんを、農村とか1次産業に従事する体験を大学生活の中でさせたいというのは、大学側(廣林さんのゼミ)も思っています

農村留学とも言える新たな学びの形。廣林さんはその体験をネットで発信している。

大津愛梨さん:
花音の発信があまりにいいので、「私も行きたい」(という意見)がずっと続いてる。女子が多いけどね

南阿蘇にみんなもおいでー!ネットで発信

持ちつ持たれつの“田舎生活”

一方で、田舎での生活はご近所付き合いが大事。

廣林花音さん:
きのう節分だったから。あー、ふさよさんに習いに行けば良かったなと。ふさよさんは、巻きずし(作り)がプロ

田舎生活に大事なことは

廣林さんは、そこにも溶け込んでいる。

廣林花音さん:
すごい理想にしたい、かっこいい大人たちが南阿蘇にたくさんいるので、その人たちを目指して。そういう大人になりたいなっていう大人像が、ここにはたくさんいるので、そこから学ばせてもらっています

近所に住む吉田浩二さん:
すごいですよ、彼らは。リモートだけじゃなくて、(農)作業はするは、外でも授業受けるは、中でも授業受けるは

この日は林業の研修。

ーー狙うところわかった?

廣林花音さん:
(コツは)腰だ!

林業研修も本気!

まさに、「農村留学」とも言える新たなスタイルの大学生活。

大津愛梨さん:
迷惑どころか、すごく(地元に)貢献していて。何か役に立ちたいと思って来てるから、玉ねぎをもらったら必ず犬の散歩をして返すとか、孫の子守りをするとか、勉強を教えてあげるとかしていて、本当にありがたいなと思っています。「誰でもおいで」とは言えないし、でも花音については、本当に自分(自身)も成長したけど、それを地域貢献に還元していると思っています

廣林花音さん:
コロナで改めてわかったというか、生まれた学び方なんですが、(新型コロナが)終息した後も、こんな学び方もありだと思うし。大学側も、これからオンラインを活用した授業作りをしていく中で参考の1つになったらいいなと思います

コロナ禍だからこその、大学生の新たな学びの形…可能性は広がっている。

(テレビ熊本)