6月2日に2度の線状降水帯が発生し、記録的な豪雨となった愛知県。川の氾濫で浸水被害が出た豊川市では、農家が悲鳴を上げている。

浸水対策で設置した転倒防止のパイプが根元から折れ曲がる…

2日、東海3県を襲った記録的な豪雨。2度の線状降水帯が発生し、各地で川が氾濫した。豊川市でも豊川が氾濫し、周辺の農家に大きな浸水被害が出た。

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バラ農家の佐久間栄次さん:
(被害は)全体でいったら全然検討もつかないですけど。あそこも全部浸かっちゃってる状態なので、機械もダメだろうし。値段でいうなら(バラの被害が)900万円くらいという感じですかね

豊川市金沢町でバラ園を営む佐久間栄次さん(38)。

全国有数のバラの産地である豊川市で鮮やかなバラを育てていたが、5日に取材すると、ハウスの中は無残に荒れ果て、出荷予定のバラも枯れ始めていた。

佐久間栄次さん:
この辺まで水がついちゃって、2メートルくらいですかね。今までにないくらい、こんなになったのは初めてです

河川カメラが当時の佐久間さんのハウスの様子を捉えていた。佐久間さんは、沈んでいくハウスの映像をただ見守るしかなかった。

佐久間栄次さん:
(午後2時ごろに)消防の方が来て「すぐ避難してください」って言われて。(映像で)5時20分ぐらいですかね、もうほとんどこの辺まで浸かっちゃっているような状態で

ハウスは2m以上浸水し、屋根の部分だけが見える状態に。水が引いた後と比べると、いかに被害が深刻だったかがよくわかる。

佐久間栄次さん:
ちょっとがっくりきましたね。あまりにもひどかったので、これはもう立て直せないなと思いましたね

佐久間さんは、浸水でバラがプランターごと浮き上がっても倒れないようにパイプを立てていたが、浸水の高さは想像をはるかに上回り、パイプは根元から折れ曲がっていた。

佐久間栄次さん:
朝起きて「やっぱ頑張ろう」と思う時と、「やっぱこれはもうダメなのかな」と思う時と。うまく言えないですね

被害は果物にも及んでいる。

バラ園と同じ豊川市金沢町でナシを育てる小山和也さん(43)。

この農園にも1.5mほどの高さまで水が押し寄せた。

小山和也さん:
基本的には消毒したり水をまいたりする機械です。これだけはとにかくと思って、ひざ上ぐらいまで水に浸かって出したんですけど

水が押し寄せる中、数十台ある農機のうち、ナシに使う1台だけを安全な場所に移動させた小山さん。それには理由があった。

小山和也さん:
僕は2年目です。教えてもらいながらという感じで

20年ほどトラック運転手をしていた小山さん。2022年、父の恵嗣さん(70)に弟子入りし、2023年からナシの栽培を任されたばかりだった。

小山和也さん:
いの一番に親父に見せたいですよね

7月上旬から収穫が始まる予定だが、長年ナシを育ててきた父・恵嗣さんも被害が想像できないという。

父・小山恵嗣さん:
これだけの水が来たのは、僕がナシを作り始めてからは初めて。水の中には雑菌があるじゃん。雑菌がどういう風に影響するのかは経験がないから分からない。これが怖い

小山和也さん:
分かっていても悔しい。ことし初めて親父のチェックなしに出荷のとこまで僕の判断でやらせてもらっていて、出荷手前でこれが起きて悔しいですよね。本当に悔しいです

豪雨から4日。農業の現場では先の見えない不安が続いている。

(東海テレビ)

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