「同性婚」を認めないのは憲法違反として、愛知県に住む同性カップルが2019年に国を提訴した裁判で、30日、名古屋地裁は「違憲」と判断した。
世の中で深まる理解に法整備追いつかず…
お揃いのTシャツを着て寄り添う、鷹見彰一さん(仮名)と大野利政さん(仮名)。愛知県に住む男性同士のカップルだ。
この記事の画像(8枚)大野さんがディズニーランドでプロポーズし、一緒に暮らしているが、法的には「家族」ではない。
原告・鷹見彰一さん(仮名)(2019年):
男女とかそういう型にはめるのではなくて、人と人、愛みたいなところに着眼点をおいていただいて、婚姻が実現できるような判断をしていただきたい
2019年、2人は同性同士の結婚を認めないのは憲法違反だとして国を提訴した。
「法律上の家族になれない」ことで、当事者は様々な壁にぶつかっている。
住居については、公営住宅では多くの自治体が同性カップルをNGとしている。民間の賃貸でも断られることもあり、一緒に住むことだけでもハードルが高くなっている。
命の現場・医療でも「家族ではない」という扱いをされ、付き添いや病状説明を受けられないことがある。
そして、パートナーが亡くなった場合の相続も原則認められていない。
法の下の平等といえるのか。全国5カ所で起こされている裁判でも、司法の判断は割れている。
札幌・大阪・東京地裁の判断は
札幌地裁は2021年、同性婚が認められないのは憲法で定める法の下の平等に反するとして「違憲」と判断した。
2022年、大阪地裁では「合憲」との判断を出した。「異性間の婚姻の目的は、男女が子を産み育てる関係を社会が保護する制度」で、同性婚は議論の過程にあるとして、憲法違反ではないとした。
東京地裁は「違憲状態」の判断だ。様々な「壁」で不利益を受けてしまう以上、同性パートナーと家族になるための法制度がないことは、憲法違反の状態であるという判断だ。ただ、法律を作るやり方は「同性カップルの婚姻」について定める方法だけではないため、憲法に違反しているとはいえないという判断だった。
司法の判断は割れているが、FNNの世論調査では約7割が同性婚に「賛成」という結果だった。世の中の理解は深まっているが、法整備が追い付いていない現状がある。
原告・鷹見彰一さん(仮名)(2023年5月12日):
周りの理解はどんどん変わってきているのに、国は相変わらず動こうともしないし。名古屋の判決を経て、しっかりと向き合ってほしい
名古屋地裁「もはや無視できない状況」
5月30日午後、名古屋地裁で判決が下された。名古屋地裁の判断は「違憲」。同性婚を認めないことは、法の下の平等を定めた憲法14条、さらに婚姻の自由を定めた憲法24条に違反していると判断。そして「同性愛者を婚姻制度から排除することで大きな格差を生じさせ、何ら手当てがなされていない。もはや無視できない状況」であると強い言葉で指摘した。
原告・鷹見彰一さん(仮名)(2023年5月30日):
(パートナーとも)喜び合えるなと思っています。日本としてもパートナーシップ制度ができたり(同性婚)賛成派の方が増えたり変わってきたところで、多くの方に関心というか、実態を理解してもらって、最終的には立法府の責任だというところなので、国会議員の方々にしっかりと動いてもらいたいなというのが思いです
(東海テレビ)