今の学校には子どもの発達や学習の遅れ、発達障害、粗暴行為、親の不適切養育などいろいろな課題がある。

新学年が始まって数カ月、親自身も目の前の不器用な子どもに対して、どう対応したらいいいか悩んでいるかもしれない。

シリーズ累計150万部超の『ケーキの切れない非行少年たち』の著者である、児童精神科医・宮口幸治先生の著書『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち』(扶桑社)から一部抜粋・再編集して紹介する。

本書は学校現場で出会いそうな境界知能やグレーゾーンの可能性を含む子どもたちをさまざまなケースで取り上げ、テキストとマンガで解説している。

不器用な子ども3つの共通点

不器用な子どもたちはそれぞれ異なった特性を持っていますが、子どもが困っている課題には「考え方」「感情」「行動」の問題を含む「社会面」、そして「学習面」「身体面」と3つの共通点があります。

この3つのうちいずれか、もしくは複数持っています。

例えば、すぐにキレて暴れるといった行動の問題を持つ子どもがいるとします。

暴れる背景には“怒り”という感情の問題があるとして、その原因には「ばかにされた」といったような社会面の問題の中にある「考え方の問題」があると言えるでしょう。

そして「ばかにされた」と考えてしまう理由の1つに、自信のなさが挙げられます。

自信がないとどうしても被害的な思考に陥ってしまったり、他者から何かされても「またばかにしやがって」という考えに至ってしまいます。

自信が持てない子どもの背景にあるものは…(画像:イメージ)
自信が持てない子どもの背景にあるものは…(画像:イメージ)
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自信のなさの原因には、勉強やコミュニケーション、運動が苦手といったことが大きくあります。さらにそれらの原因には発達障害や知的ハンディがみられることも。

また明らかな発達障害や知的障害ではないが、支援を要する「グレーゾーン」「境界知能」の子どもたちも含まれます。

特にグレーゾーンや境界知能の子どもたちの出すサインは気づきにくく、やっかいな子、不真面目な子として捉えられることもあります。そういったサインを見逃さず、いかにキャッチして子どもたちを支援していくかが大切なのです。

自信を持てない環境に子どもがいるかも?

すぐに諦めてしまったり、周囲の状況が読み取れず被害感情を抱きやすい、そういった子どもは自信のなさを抱えています。

子どもたちの自信のなさには、例えば「いつも失敗ばかりしてしまう」「いつも先生や親から注意される」「いじめに遭っている」「家庭内が不安定」などが考えられます。

これらが生じる背景として、発達障害や境界知能やグレーゾーンを含む知的ハンディ、不適切教育などがある可能性もあり、こういった状況にあると、子どもたちが自信を持ちたくても持てません。

大人としては自信のない子に対して「いいところや強みを見つける」「得意なところを見つけてそこを伸ばす」「褒めて自信を持たせる」「役割を与えて活躍させる」などと考えるだけではなく、労力のいることですが、「どこに原因があるのか、その背景をしっかり見つけて、その原因を改善するためにはどうすればいいか」を考える必要があります。

家庭や学校だけでは解決できず、児童相談所や医療機関など外部機関との連携が必要なケースもあるかもしれません。

『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち』(扶桑社)宮口幸治著・佐々木昭后作画
『マンガでわかる 境界知能とグレーゾーンの子どもたち』(扶桑社)宮口幸治著・佐々木昭后作画