若者を中心に人気が高まり、2021年の東京オリンピックから正式種目に採用されたスケートボード。福井・福井市の足羽川河川敷には、県が3月にスケートボード場を開設したが、一部の利用者の迷惑行為などによりわずか1カ月ほどで閉鎖に追い込まれた。
    
県内では別の場所でも、競技をする子供たちのためにとスケートボード場作りに取り組む人もいる。見えてきたのは“地域との共生”という課題だった。

「キッズたちのために」と練習場を整備する親子

世界の舞台での日本人選手の活躍もあり、近年は急激に人気が高まっているスケートボード。あわら市の休校している波松小学校の校庭では、スケートボードの整備が進めていた。手掛けているのは、あわら市スケートボード協会の下方健大会長と、父親の清隆さんだ。

波松小の校庭につくられたスケートボード場
波松小の校庭につくられたスケートボード場
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「滑れるところがないのは寂しいよね」と考え、整備を決めたという。「(スケボーをする)キッズたちが増え、上手くなって大会で優勝しているのを見ていると応援したくなる。近所の人たちに見守られて子供たちがワイワイガヤガヤするのが理想」と下方会長は語る。
 
父の清隆さんも「あそこに任せておけば大丈夫と思われるような場所にしたい」と息子をバックアップする。

下方さん親子
下方さん親子

また、隣の坂井市にある競艇場「ボートレース三国」の空きスペースにも屋内のスケートボード場を新設し、7月5日にオープンした。
 

ボートレース三国内にオープンしたスケートボード場
ボートレース三国内にオープンしたスケートボード場

一部利用者の迷惑行為で閉鎖した場所も

しかし、人気の高まりとともに、マナー違反による地域とのトラブルが課題となっている場所もある。
   
福井市の足羽川の河川敷に新設されたスケートボード場だ。2025年3月に県が協議普及のため開設したばかりだが、わずか1カ月あまりで閉鎖となってしまった。
   
原因は、一部の利用者によるマナー違反行為。近隣でのごみのポイ捨てや無断駐車があり、地元から苦情が寄せられたという。
  
近くのカフェ店に話を聞くと、営業時間外に駐車場に許可なく車を止める人がいたと話す。
   
店の関係者は「単純に困る。始まったばかりのことでどう対応していいかも分からないが、お互い気持ちよく使いたいという思い。せっかく作ったのに寂しいという気持ちもある。小さいお子さんがスケボーをもって楽しむ姿もあったので」と複雑な心境を語る。

足羽川河川敷のスケートボード場
足羽川河川敷のスケートボード場

滑られる環境に「感謝の気持ちを」

県内でスケートボード場づくりに尽力し、鯖江市でスクールを経営している県スケートボード協会の上杉政充会長は、足羽川のスケートボード場が閉鎖したことについて「作るまでに何年もかかってみんなで話し合いながら調整をしてやっと出来た場所なのに、1カ月で閉鎖になってしまい残念。地元の愛好者がルールを守ってくれないと再開という決断にはもっていけない」と苦しい胸の内を明かす。
   
その上で、こう注意喚起する。「スケートボードをしている人は、自分の行動に間違いがないのか確認して、滑れる場所があるという環境に当たり前にならずに、感謝の気持ちをもってスケートボードをしてほしい」
   
足羽川のスケートボード場を管理している県は現在、無断駐車や騒音などのトラブル再発の防止策を協議しているが、再開の見通しは立っていないとしている。

開設わずか1カ月で閉鎖に
開設わずか1カ月で閉鎖に

一部のルールを守らない人の振る舞いで、子供たちの夢を育む場所が奪われてしまっている現状。
   
利用者がマナーを守りスケートボード場が地域と共生できる場所になれるかどうかがカギとなりそうだ。

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福井テレビ
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