心身ともに変化が大きい思春期。その変化の影響で、ときには心に問題を抱えてしまう児童・生徒もいる。

自宅だけでは療養が難しい場合は、児童・思春期病棟に入院することも考えられる。もし入院した場合、子どもたちはどんな日々を過ごすのだろうか。

シリーズ累計150万部超の大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』の著者であり、最新作『普通にできない子を医療で助ける マンガでわかる境界知能とグレーゾーンの子どもたち5』(扶桑社)を発表した児童精神科医・宮口幸治先生に、児童・思春期病棟とはどんなものなのか、その様子を聞いた。

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生活習慣や対人スキルの指導も行う「児童・思春期病棟」

子どもたちが心に深刻な問題を抱えたとき、小児科か児童精神科にかかるのが一般的。

「その中でも症状が深刻な場合は、児童・思春期病棟に入院することも考えられます」と宮口先生は言う。

「病院によって異なりますが、多くの場合、中学生未満では発達障害や問題行動のある子ども、被虐待児、不登校児童などが児童病棟に、中学生以上はうつ病や適応障害、統合失調症、摂食障害といった青年たちが思春期病棟に入院し治療を受けます」

症状が深刻な場合は児童・思春期病棟に入院することも(画像:イメージ)
症状が深刻な場合は児童・思春期病棟に入院することも(画像:イメージ)
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気になるのは入所後の生活だろう。

病院といえば治療だけをする場所だと考えられがちだが、児童・思春期病棟の場合は、それ以外の指導が行われることも多いという。

「児童・思春期病棟では、児童・青年の発達課題や精神状態に応じて、治療だけでなく基本的な生活習慣、対人スキルの向上、自立的な学習の構え、感情コントロールなどができることを目指し、看護師や児童指導員、保育士、心理士などが病棟でのプログラム運営などを行っています。場合によっては、認知機能強化のトレーニング(通称「コグトレ」)が行われている医療機関もあります」

院内の教室で授業を受けることも可能

子どもを入院させる場合、気になるのが学業の遅れだ。

しかし、病院によっては地域の小・中学校と連携して、院内に分教室を設けてあるところもあり、入院後に主治医の許可を得て、院内の教室で授業が受けられるという。

病院によっては院内に分教室があり授業を受けることもできる(画像:イメージ)
病院によっては院内に分教室があり授業を受けることもできる(画像:イメージ)

「退院後、子どもが籍を置く学校へスムーズに復学できるように連携もはかっていきます。そのほか、病院によっては、独自のルールとして、スマホが持ち込めなかったり、面会が制限されたりするケースもあります」