京都で「最悪」との悪名高い路地があるという。いったい何が最悪なのか、取材した。

京都大学の近くに…ズラリと並ぶ「放置自転車」

京都市左京区の百万遍エリア。京都大学がすぐそばに、また同志社大学も近くにあり学生の街として知られているが、ここに「最悪の路地」がある。

何が最悪なのかというと…道を埋め尽くすように並ぶ「放置自転車」だ。

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狭い道の半分くらいまで自転車が出てきてしまっていた。「道路にはみ出すな」などの貼り紙もあるが、なかなか改善されないそうだ。

実は京都市内で見ると放置自転車の問題は改善していて、ピーク時と比べると数が250分の1に激減している。しかし、この場所は一向に解決する気配がないということだ。

西門前町町内会長 西平勝幸さん:
とにかくここは人が通れるか通れんぐらいまで放置自転車がきますから。体の不自由な人が一番困りますよね

こう話すのは、地域の町内会の会長・西平さん。この路地は2017年に建った商業ビルなどが所有する「私道」だが、住民にとっては普段の生活に欠かせない道路だ。

ビルの駐輪場から自転車があふれだして、道を埋める形になっているため、管理会社は、あちこちに貼り紙をして敷地外に自転車を置かないよう呼びかけているが効果はみられない。

記者リポート:
また1人自転車を止めにきた人がいますね。後を絶たない感じで次々に人が止めにきています

なぜ、この場所に自転車を止めるのか、当事者たちに直接話を聞いてみた。

自転車を止めた人たちは:
お金がかからないから、無料だからっていうのがあると思うし、百万遍って京大前のあたりは便利な店が多くて駐輪場がないことが多いし。便利やからここに止めざるを得ないみたいなこともありますね
(Q.止める場所がない?)
結構ないと思いますね、基本的に。どっかに止めてしまうと撤去されるので、それを避けないといけないというのが大きい

どうやらこの場所は、「自転車が撤去されない場所」として知られているようだ。自転車を置いていくのは「近くの飲食店に行くため」など、このビルを利用するわけではない人が大半で、路地が“無料の駐輪場”になってしまっているのだ。

西門前町町内会長 西平勝幸さん:
午後5時ごろになったら増えてきます、道が通れないほど

夜になると、状況はさらに悪化。

記者リポート:
夜7時半です。昼も多かったのですがこの時間、人がすれ違うことができない程、道がふさがれてしまっています

近くの飲食店を利用する人が自転車を止めて状況は悪化。

記者リポート:
路地に入っていく人が後を絶ちません。すれ違うことができず、1人が待って、その間にもう1人が通るような状態です

自転車を蹴って通る原付バイク、道がふさがれていることに腹が立ったのか、バイクの運転手は自転車を蹴とばしていった。

放置自転車の「撤去」など京都市は動いてきたが…

そもそも京都市は、放置自転車問題の解決のため、「撤去」の徹底や、有料の駐輪場を整備など、対策を講じてきた。

その甲斐あって、ピーク時の1985年度には、1日あたり2万5000台近く確認されていた放置自転車が、2021年度は100台に。250分の1にまで激減している。

それなのになぜこの場所は、一向に改善されないのか?京都市の担当者は、事情をこう話す。

京都市担当者:
住民やビルの管理者から撤去してほしいという要望はありますが、あくまで「私道」なので、原則、行政が手を出すことはできません。ビルの管理者に対策をお願いするしかないのが実情です

しかし、近隣の住民たちの生活には実際に支障が出ている。

西門前町町内会長 西平勝幸さん:
人が通るのと、それから救急車ですね。救急車が来た場合、全然通れないから

町内会長の西平さんによると、車いすの人が道路を通れなかったり、救急車が路地に入れなかったりする問題がすでに起きているということ。

町内には高齢者が多く、火事や地震のときに避難するための経路がふさがれた状態になっていることにも不安を感じているという。 なんとかここを通れるようにしてもらいたいなと住民たちの命にも関わりかねない問題。解決策の模索が続く。

強制撤去すると逆に訴えられる恐れも…

坂元龍斗フィールドキャスター:
放置自転車は、住民の方たちの命にも関わりかねない問題になっています。ここの道が半分以上ふさがれてしまっていて、それによって緊急車両が通れないという事が起こってしまったり、住宅街から担架を運び出そうとした時に、この自転車が邪魔になって住民たちが必死に自転車をどかしたことが実際にあったそうです。

坂元龍斗フィールドキャスター:
なぜ放置自転車を撤去できないのか…ということなのですが、この道はすぐそばに建つビルの私道になるんですね。そこに行政が介入して強制的に撤去はなかなかできないそうです。ビルの所有者が、「撤去して下さい」と貼り紙などを貼りましたが改善されません。

坂元龍斗フィールドキャスター:
そこで警察に相談したこともあるそうですが、対応は難しいと言われたそうです。というのも、自転車には所有者がいますので、いくら勝手に止めているとはいえ、撤去すると損害賠償請求をされたりというトラブルになる恐れがあるそうです

そもそも「駐輪場」が少ない…という指摘も

坂元龍斗フィールドキャスター:
あとは駐輪場がそもそも少ないという問題があるんですね。ですからそれを受けまして行政としては、すぐ近くに有料の駐輪場を作っています。こちらの駐輪場、今も少し空いているんですが、一方でこの私道は放置自転車でいっぱい。改めて止める人のモラルとマナーが問われているのかもしれません

緊急車両や担架の話があったが、万が一のことが起きてしまったら…という懸念もあるので、行政も民間も、そして地元も含めて知恵を絞って対策を講じていかなくてはいけない。

(関西テレビ「newsランナー」5月17日放送)

関西テレビ
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