コロナ禍でも売り上げが好調とされている焼き肉チェーン。福岡では今、大手を含めた競争が激しさを増している。その裏側を取材した。
「ヌルボン」新業態の店とは
焼き肉チェーン店の「ヌルボン」。博多和牛を一頭飼いして、焼き肉として提供している。そんな「ヌルボン」がオープンさせた新業態の店をのぞいてみることに。
川崎健太キャスター：
福岡市博多区に来ました。この階段に続く先には、焼き肉チェーン店の「ヌルボン」が新業態の店を出したということで、入ってみたいと思います
博多駅近くのホテル地下にある、2023年3月にオープンした「ヌルボン」。これまでのチェーン店とは違うという店内は、上質な雰囲気が漂う。少人数で利用できるテーブルがあり、カウンターも2人用で仕切られている。
「ヌルボン」担当者：
コンセプトは、焼き肉の専門店として特化した業態。少人数での利用やお一人さまの利用をこの店では意識している
「ヌルボン」といえば、福岡県のブランド牛、博多和牛を一頭飼いして提供する焼き肉店。春日市本店を中心に宗像市や那珂川市など、福岡県内のいわゆる郊外の出店が多く、ファミリー層を中心にターゲットとしてきた。
しかし、今回の出店は都市部への出店。一般にイメージされている「ヌルボン」とは大きく変わっているが、その狙いはなんだろうか。
「ヌルボン」担当者：
ひとつは博多和牛の認知度が上がってきているなかで、このエリアでも食べてもらいたい。コロナ禍でも売り上げはあまり落ち込まなかった。今後は国内外の観光客へのニーズに合わせて
世はまさに「焼き肉戦国時代」
コロナ禍で苦境を強いられた外食産業の中でも、焼き肉店は好調をキープ。
日本フードサービス協会によると、2023年年3月度の焼き肉店の売り上げは、前年比の約140%で、コロナ禍前の2019年に比べても107%にのぼる好調な数字を見せている。
焼き肉店がコロナ禍でも好調だった大きな理由は、換気が良いこと。焼き肉店はその特性上、強力な換気設備が整っているのが特徴。これが感染対策となり利用客の安心感につながったとされている。また飲食店のビジネス利用が減少した一方、家族で食事をする機会が増えていることも好調の理由だそうだ。
「ヌルボン」担当者：
コロナ後は、ますます福岡は焼き肉店が多くなっていくと考えている。他社に負けないように新業態で差別化してきたい
「ヌルボン」だけではなく現在、福岡には「牛角」や「ワンカルビ」「ウエスト」など、あらゆる焼き肉チェーンがひしめき合い、その様相はまさに「焼き肉戦国時代」だ。
「おせっかいマスター」にお任せ？
焼き肉チェーンを利用するときに重視するポイントについて街で聞いてみると、「まず値段。次に味」（50代）、「肉の種類」（50代）、「安くて食べ放題」（40代）、「食べ放題」（20代）など、幅広い世代から聞かれたキーワードは「食べ放題」だった。
この「食べ放題」に特化して、ここ数年で勢いを増している焼き肉チェーンを訪ねてみた。業界の革命児とも言われている「焼肉きんぐ」だ。
「焼肉きんぐ」福岡清水店・馬渡啓友店長：
直近でいうと、GW期間中。最も来られたのが1日170組のお客さまのご来店を頂いております
2007年にチェーン展開を始めた「焼肉きんぐ」は、現在、福岡に16店舗を出店。2023年4月には全国300店舗を達成した。
人気の理由はどこにあるのか？来店客に尋ねると、「ほかの焼き肉店よりメニューが豊富でいい」（大学生）「肉がおいしい。価格とおいしさが合っている」（家族連れ）と、「メニューの豊富さ」「価格」が魅力だと話す。
食べ放題は3コース。中でも一番人気というコースのメニューの数は、なんと130種類以上だ。焼き肉のメニューはもちろんのこと、唐揚げなどのサイドメニューも充実。100分間の食べ放題で、値段は税込み3,480円で幼児は無料、小学生は半額となっている。
家族連れの父親：
子どもは10歳と5歳。（半額と無料で）家計的に助かります
さらに、豊富な種類を安心して注文できるようにユニークな工夫がある。例えば、肉のおいしい焼き方が分からないときは…。
ディレクター：
この肉、どうやって焼けばいいんだろ…
「焼肉きんぐ」福岡清水店・溝上加奈江さん：
そんな時は…「おせっかいマスター」にお任せください！
突如現れた「おせっかい命」の文字を背負う店員。その正体は…。
「焼肉きんぐ」福岡清水店・溝上加奈江さん：
お客さまが、楽しくお食事を頂けるようにおせっかいしております
店内を見回り肉の焼き方から料理の最終仕上げなどを指導してくれる、その名も「おせっかいマスター」。約1万5,000人いる「焼肉きんぐ」の全国のスタッフの中で、わずか160人ほどしかいないスペシャリストなのだ。
「焼肉きんぐ」福岡清水店・溝上加奈江さん：
この焼き面を変えるだけでめっちゃおいしくなります
「焼肉きんぐ」福岡清水店・馬渡啓友店長：
たくさんのお客さまに喜んでいただき、圧倒的な地域1番店を目指しております
5類に移行してアフターコロナに進み出しているなか、独自のサービスを展開し差別化を図る焼き肉チェーン。福岡の焼き肉戦国時代、今後も各チェーンがさらに激しく、しのぎを削ることになりそうだ。
（テレビ西日本）
