福岡県のブランド和牛「博多和牛」。和牛のオリンピックともいわれる全国大会で初めて入賞を果たし、福岡の畜産業の明るい兆しになっている。

福岡のブランド牛「博多和牛」が入賞

福岡県に本社を置く焼肉店「ヌルボン」。この店では地元福岡の自慢のブランド和牛を提供している。強火で一気に焼き上がる霜降り肉。音と煙が食欲をかき立てる。

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ヌルボン・仲義雄社長:
こちら、博多和牛です

柔らかい赤身にきめ細やかなサシが入った福岡県のブランド牛「博多和牛」。2005年に福岡県で誕生した「博多和牛」は、県内の登録された生産者が約20カ月間かけて徹底管理して育てた牛だけしか名乗れない。

肉質等級は5段階で「3」以上の高品質が求められる。現在、県内の焼肉店や精肉店、スーパーなど70店舗以上で販売されている。

この店では、地元福岡県のブランド牛を応援しようと、誕生してまもないころから提供してきた。

ヌルボン・仲義雄社長:
博多和牛を13年前から一頭買いして、それを提供しているっていうのがヌルボンの一番の特徴。博多和牛というのは、ほかのブランドより遅れてスタートしてきているので、生産者が非常に肉質の改善などを今、まさに取り組んでらっしゃるところですね

和牛のトップブランドになるべく畜産農家が日々愛情を込めて育てる「博多和牛」が10月、鹿児島で行われ、岸田首相も出席した和牛のオリンピックともいわれる大会で入賞したのだ。肉質や脂肪の質が高く評価された福岡県で初めての快挙だ。

その福岡の和牛の歴史を塗り替えた一頭をヌルボンが競り落とし、現在、県内の店舗で提供をしている。(なくなり次第終了)

ヌルボン・仲義雄社長:
皆様が、良い博多和牛を作ることに精魂込めて、手間をかけて作ってらっしゃいますので、その努力の成果が良い牛ができて、おいしく召し上がっていただけるようになったと

牛に「おはよう」と声かけ 質が高い和牛を育てる秘訣

全国大会で入賞した「博多和牛」は、どのようにして育てられたのか?

川崎健太キャスター:
筑紫野市の農家にやってきたんですけど、いますね、黒毛の大きな牛が…

川崎キャスターが訪ねたのは、全国大会で入賞した「博多和牛」を育てる畜産農家だ。平山英一さんは、「博多和牛」が誕生した17年前から子牛から育て出荷している。

川崎健太キャスター:
念願だったと思いますが、優等賞を取れた秘訣は?

平山英一さん:
子牛の時点でストレスをいかに与えないように減らしていくか。子牛の段階で風邪とか肺炎を起こすと、成長しても大きくならなかったり、いろいろ弊害が出てきますので

川崎健太キャスター:
ストレスを与えないということが大事でしたが、具体的には?

平山英一さん:
朝、最初に来た時点で全部の牛に声をかけて。「おはよう」「おはよう」「おはよう」と声をかけて起こすんですよ

質が高い「博多和牛」を育てるには、子牛の時期が肝心だ。声をかけながら愛情を持って接する。

また、やわらかい肉質を作り出すのは福岡県産の良質な稲わらを主食にしているため。さらにトウモロコシやビールかすなど独自で配合したエサも与え、健康管理を徹底している。

川崎健太キャスター:
コストの面というか、どのあたりのコストが大変ですか?

平山英一さん:
今は円安でエサがずっと上がってきている。全て上がっていますから、かなりコストが上がって厳しい

エサは輸入穀物が多く、2021年に比べて3割ほどコストが増えているという。

苦境の中、消費拡大のチャンスにつながるか?

さらに畜産業界全体が抱える問題も…。

川崎健太キャスター:
平山牧場の後継者は?

平山英一さん:
息子は2人いますけど、就職して働いています

川崎健太キャスター:
ここは継がないということですか?

平山英一さん:
だと思います

後継者問題。全国の畜産農家は年々右下がりで、2022年は約4万戸となっている。

畜産業界が厳しい状況に置かれる中、今回の全国大会での入賞は「博多和牛」の生産者たちを元気づける出来事となった。

川崎健太キャスター:
今回の和牛オリンピックの表彰がいい兆しなのでは?

平山英一さん:
だんだん知名度が上がってきているので、消費者にもっと知ってもらいたい

和牛を取り巻く環境は厳しい。理由はやはりコロナショックで、日本人の外食も減ったうえ、高級志向のインバウンド客も激減し、飲食店での消費が大きく落ち込んだ。この結果、和牛の価格が下がり、農家の収入も減少。そこに、ウクライナ侵攻や円安も加わってエサ代が高騰し、農家にとってはトリプルパンチの状態となっている。

全国に名を刻んだ「博多和牛」。消費拡大のチャンスにつなげることはできるのか。

鹿児島黒牛を筆頭に宮崎牛、豊後牛、佐賀牛と有名ブランドがしのぎを削る九州の畜産業界。「福岡と言えば、博多和牛」。そんな日が来ることを期待したい。

(テレビ西日本)