革のペンケースやキーホルダー。どこか味のあるこれらの製品は「役目を終えたランドセル」から作られている。6年間、背負ったランドセルを簡単には捨てられない。“リメークして残す”サービスが人気を呼んでいる。

年間140個のランドセルをリメーク

革の財布やバッグなどを製造・販売している福山市多治米町の「レザースタジオサード」。

福山市多治米町の「レザースタジオ サード」
福山市多治米町の「レザースタジオ サード」
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この店では、2016年から「ランドセルリメーク」を行っている。

ランドセルを加工して、ペンケースやキーホルダー、財布、印鑑ケースなどを製作。年数を経た革は落ち着いた風合いで、6年間の思い出を物語っているようだ。2022年は約140個のランドセルが生まれ変わった。

ランドセルをキーホルダーや印鑑ケースなどにリメーク
ランドセルをキーホルダーや印鑑ケースなどにリメーク

レザースタジオサード・松崎由江 店長:
ランドセルリメークを依頼されるお客様がご家族でいらっしゃいます。みんなで「何にリメークする?」って相談から始まって、「私、これがいい」、「お母さんはこの色がいいと思うな」とか。その姿がすごく楽しそうで、ランドセルリメークが思い出づくりになっておすすめだなって思います

主に使われるのは、ランドセルのカバーの部分。ハサミやプレス機でカットしていく。ランドセルに刻印されていた小学校の校章や、シワ、傷などの“思い出”を生かして形にするのがこだわりだ。

ミシンで縫い合わせる工程も手作業。二つ折り財布など折り曲げる部分や補強が必要な箇所には新たな本革を使い、職人が一つ一つていねいに仕上げている。

カットしたランドセルをミシンで縫い合わせる松崎店長
カットしたランドセルをミシンで縫い合わせる松崎店長

「大人になっても使えてうれしい」

赤いランドセルのリメークを依頼した中学1年生の娘と母親が店にやってきた。ランドセルは何に生まれ変わったのだろうか。

手渡された箱の中には、つやのある赤い長財布がきれいに収まっている。娘は財布を手に取り、慣れ親しんだ革の感触を確かめた。

リメークを頼んだ母親:
本当にありがたい試みだなと思っています。いつまでも学校のことを忘れずにいられるというのはとてもありがたいです

財布だけでなく、がまぐちの赤い印鑑ケースにもリメーク。これは一生物だ。

中学1年生の娘:
印鑑ケースに自分の小学校の校章がしっかりと残されていたので、それを大人になっても使えるのはとてもうれしいです。大切に使っていきたいと思います

レザースタジオサード・松崎由江 店長:
思い出が詰まったランドセルは世界に一つだけ、代わりがないんですよね。絶対に失敗は許されないので、慎重に製作しています

値段はキーホルダー3000円~、印鑑ケース3700円~、パスケース6000円~、財布1万500円~。

形を変えたランドセルは時とともに味わいを増し、7年目、8年目…いつまでも側に寄り添ってくれる大切な存在になるだろう。

(テレビ新広島)

テレビ新広島
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