タイガー魔法瓶の“花柄”や“ストライプ柄”の炊飯器やポットに懐かしさを覚える人もいるのではないだろうか?昭和時代に販売されていた商品なのだが、これらの懐かしい柄が復刻する。
タイガー魔法瓶は今年2月3日に創立100周年を迎えたことを記念し、レトロ柄復刻シリーズを6月21日から発売するというのだ。
タイガー魔法瓶の歴史と今、未来をつなぐ商品として、1970年代~80年代の昭和の時代に発売し、人気を博した「花柄(ポピー)」と「ストライプ柄(オレンジストライプ)」を令和の新たなアイテムとして復刻するというわけだ。
「花柄(ポピー)」は、赤い花びらが燦燦と降り注ぐ陽の光をあびて、元気いっぱいに咲きほこる1970年代の流行柄。
タイガー魔法瓶は「花柄のよしあしで売上が変わっていた時代に、明るく鮮やかなポピーは大変人気があり、この赤く愛らしいデザインはお客様の記憶に残る、昭和レトロの代表と言えます」としている。
「ストライプ柄(オレンジストライプ)」は、1977年に初めて登場し、1979年4月にはストライプ柄を含む電気製品7点をシリーズ化して一挙に発売した。
こちらについては「核家族化の進展とともに、カラーコーディネートができて、台所や食卓に美しく調和するフレッシュな感覚のデザインが人気となり、同じシリーズで家電一式をそろえていたご家庭も多くありました」としている。
この「花柄(ポピー)」と「ストライプ柄(オレンジストライプ)」のデザインで、今回、復刻するのは8アイテム。
「ジャー炊飯器」、「蒸気レス電気ケトル」、「VE電気まほうびん」、「ホットプレート」といった家電製品、タイガー魔法瓶の祖業である真空断熱製品の「ステンレスポット」、「真空断熱ボトル」2種(サイズは200mLと350mL)、「真空断熱フードジャー」
(ポピー柄のみ) だ。
「当時お使いいただいていた方々には、あの頃の時代を思い出してどこか懐かしく、当時を知らない若い世代の方々には、今話題の昭和レトロな流行アイテムとして新しさを感じていただけるラインアップです」としている。
発売する8アイテムのうち、1970年代~80年代当時も販売していたのは、どのアイテムなのか?そして、そのアイテムは今回の復刻で機能面は進化させたのか?
タイガー魔法瓶の担当者に“復刻のこだわり”を聞いた。
「花柄」は色合いや花の種類を変えながら販売継続
――「花柄」と「ストライプ柄」を復刻する理由は?
当社が今年で100周年というタイミングで、タイガー魔法瓶の歴史と今、未来をつなぐ商品「100周年記念モデル」を検討しました。
そして、当社の歴史を語るうえで避けては通れない、1970年代~80年代に様々な商品群に広く展開され、人気をいただいた「花柄」と「ストライプ柄」をぜひ復刻したい、という思いで企画をスタートさせました。
また、数年前にも、氷削り器で大人気だったモデルを約40年ぶりに復刻販売した際にも大反響があり、次は100周年に家電製品で復刻版を出してはどうか、という話が社内でもあがっておりました。
昭和世代の方には当時の「団らん」を思い出して、どこか懐かしく、若い世代の方には新鮮に感じていただけるようなラインアップになっているかと考えております。
――花柄とストライプ柄のそれぞれの販売終了時期を教えて。
今回採用した「花柄(ポピー)」は1978年頃に販売終了、「ストライプ柄(オレンジストライプ)」に関しては1982年頃に販売終了となりました。
ただし、花柄に関しては、色合いやお花の種類を変えながら、電気ポット、エアーポット(卓上用ポット)やハンディポットにおいて2000年代に入っても販売を続けておりました。
「花柄の変遷」としては1960年代後半~70年の登場時は”小花模様”が中心でした。
それが次第に、今回のポピー柄のような”大柄の花柄”が定番になりました。
1980年代には”優しい色合いのものや小花柄”が中心となり、1990年代も”優しい雰囲気の花柄”が採用されていました。
――花柄とストライプ柄、復刻してほしいという声はあった?
昨今のレトロブームもあり、お客様から「あの頃の商品を復刻してほしい」というお声はいただいておりました。さらに、去年、当社のレトロ柄のカプセルトイやムック本が発売され、反響があったことも、復刻の後押しにはなりました。
炊飯器は「当時販売していた機種と変わりはありません」
――1970年代~80年代に、花柄とストライプ柄で販売していたアイテムは?
花柄(ポピー)、ストライプ柄(オレンジストライプ)、ともに「ジャー炊飯器」と「ハンディポット」です。
――「ジャー炊飯器」と「ハンディポット」、今回の復刻で変わったところは?
まず、「ハンディポット(今回の商品名は「真空断熱ステンレスポット」)」について。当時はガラス製が主でしたが、今回はステンレス製にしました。ステンレス製ですと、氷を直接、入れても、内びんの破損の心配がありません。
また、開閉レバーをつまんで、ふたがワンタッチで着脱可能で、口径も大きくお手入れしやすい設計にしております。
――「ジャー炊飯器」のかわったところは?
このシリーズを検討するにあたり、外観や機能も、できるだけ当時のものを復刻したいという想いと、レトロ柄がマッチするアイテムを選定していきました。最新式の炊飯器(液晶があるタイプ)だと、このレトロ柄がマッチしません。
ただ、タイガーの要となる炊飯器は必須アイテムでしたので、アメリカで現在でも販売されている、このモデルを国内向けに復刻しました。
――つまり、変わったところはない、ということ?
今回と同じ型の「JNP型」というモデルは1987年発売で、2023年現在も北米、台湾、シンガポール、オーストラリア、香港、ベトナム向けに生産を続ける、超ロングセラー商品です。
「炊飯と保温のみ」というシンプルな機能というところでいいますと、1980年代当時に販売していた機種と変わりはありません。
発表後5日間ほどで500件超の受注
――タイガー魔法瓶の公式オンラインストアのみで取り扱い、数量限定発売での予約を受け付けている。予約状況は?
ありがたいことに、発表後5日間ほどで500件を超える受注をいただいております。特に「炊飯器」「真空断熱ボトル」への受注数が多い状況です。
――「レトロ柄復刻シリーズ」、どんな人に購入してほしい?
あの頃の時代を懐かしく思い出していただけるような、昭和世代の方々に、まずは見ていただきたいです。また、当時を知らなくても、このデザインを愛らしく思っていただける若い世代の方々にも手に取っていただけると、うれしいです。
――昨今の昭和レトロブームについては、どのようなことを感じている?
もちろん当時のデザイン自体が魅力的であったこともありますが、「懐かしさの記憶」を呼び起こし、当時の「幸せな団らん」を思い出す象徴なのかなとも思います。昭和レトロの家電を検索すると、当社の製品が出てくることが多いです。
皆様の生活に密接に結びつく調理家電や魔法瓶を、100年にわたり作り続けてきた自社の歴史を実感します。
タイガー魔法瓶が復刻する「花柄」と「ストライプ柄」。当時を思い出して懐かしいと感じた人だけでなく、昭和レトロなデザインに心ひかれた若い世代の人も楽しめそうな商品だ。