岡山・瀬戸内市の国立ハンセン病療養所・邑久光明園(おくこうみょうえん)の前身の施設・外島保養院で、ハンセン病患者に猛毒の青酸カリウムを注射する人体実験が行われていたことを示す記録が見つかった。邑久光明園では、重大な人権侵害の疑いがあるとして、人権擁護委員会が検証を行うことになった。

回想録に記された新たな事実

邑久光明園・青木美憲園長:
まだハンセン病の有効な治療薬が発見される前、大正時代に、当園の前身・外島保養院で、当時の医師が患者に対し、青酸カリを含む溶液を静脈注射したことが明らかになった

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園によると、邑久光明園の前身で大阪府にあった、「外島保養院」で、1915年~1921年にかけ、青酸カリウムを使った人体実験が行われたことを示す、回想録が見つかったという。

検証から約2年…明らかになったこと

邑久光明園では、2022年11月までの約2年間で亡くなった入所者の解剖について、検証が行われた。

その最終報告では、正当な同意を得ていたとみなすことはできないとして、重大な人権侵害と結論づけていた。青酸カリウムを使った人体実験は、解剖の検証を進める中で、明らかになったという。

ハンセン病患者を対象にした人体実験は、1940年代に熊本県の療養所で行われていたことがわかっている。

陸軍が開発を進める「虹波(こうは)」と名付けられた薬を、入所者にあらゆる方法で投与し、実験中9人が死亡した記録も見つかっていて、熊本の療養所では検証が進められている。

検証と解明は今後も続く…

邑久光明園・青木美憲園長:
このような検証を行うことで施設がこれまで行ってきた、様々な人権侵害が明らかになり、大変な被害を受けた方への謝罪と名誉回復につながっていくのでは

邑久光明園の人権擁護委員会は、命の危険を前提とした人体実験で、重大な人権侵害の恐れがあるとして、実験の詳細や死亡例の有無などを解明していくことにしている。

(岡山放送)

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