大型連休のお土産需要を見越して4月27日、もみじ饅頭に“新たな味”が加わった。その味は、日本の伝統的な発酵食品「みそ」。和の調味料ともみじ饅頭の意外な組み合わせに、お客からも驚きの声が上がっている。
もみじ饅頭に「白みそ」味が登場
老舗のもみじ饅頭店「やまだ屋」に新たなもみじ饅頭が登場した。
発売初日の4月27日、JR広島駅の「やまだ屋 広島駅ekie店」で通りかかった人の視線を集めていたのは「白みそもみじ」。
さかのぼること約2週間。4月10日、廿日市市にあるやまだ屋の製造工場の一角で試作品が作られていた。
中身の“あんこ”と呼ばれる部分に使われているのは「新庄みそ」の白みそだ。
新庄みそ・山本美香 社長：
最近は毎日みそ汁を飲まれる方も少ないですから、何かの形でみそを残して行きたいという思いを常々持ってます。創業100周年をきっかけに、いろんな方々にいろんな形で紹介できたらなという思いがありました
創業100年と創業91年のコラボ
広島市西区に本社を置く「新庄みそ」は1923年（大正12年）創業。2023年6月に創業100年の節目を迎える。戦時中に原爆で焼失するも、その2年後には再建の一歩を踏み出し、みそメーカーとして健康ブームやこうじブーム、世界的な日本食ブームを支えてきた。
一方、「やまだ屋」は1932年（昭和7年）に宮島で創業し、もみじ饅頭が広島土産として有名になる前から製造を続けてきた。
定番の「こしあん」以外にも「チョコ」や「抹茶」、瀬戸内のレモンを使ったもみじ饅頭など10種類以上の豊富なバリエーションを販売。しかし、調味料をメインとしたもみじ饅頭は今までほとんどなかった。
山本社長が以前からやまだ屋の菓子のファンだった縁もあり、歴史ある2つの企業のコラボレーションが実現したのだ。
白みその甘みを生かそうと試行錯誤
新商品の「白みそもみじ」に使われる新庄みその白みそは、こうじがふんだんに使われたまろやかな甘みが特徴。
新庄みそ・山本美香 社長：
白みそはこうじを糖化させて甘みをつけています。甘酒が甘いのもこうじの甘さですが、それと同じような製法で白みそをつくっています
山本社長直々に商品開発に携わる熱の入りようだ。これまで“かくし味”として和菓子に使われた例はあるが、社名を前面に出した商品づくりは今回が初めて。白みそがもみじ饅頭のカステラ生地に合うのか、試行錯誤の連続だった。
この日は、発売前の最後の試食会。一口食べて、思わず笑顔がこぼれた。
新庄みそ・山本美香 社長：
結果的にもっちりとした白みそに落ち着いて、おいしいものができあがったと思っています。何回も試作を重ねて、お世話になったので…
試作に半年…もち米を混ぜてもっちりと
「白みそもみじ」の中身のあんこは、もっちりとした粘り気がある。食感を出すため「もち米」を混ぜ込んでいるからだ。
開発当初は、みそにクルミを使ったりこしあんを混ぜたりしたがうまくいかず…試作に半年を費やした。
やまだ屋・中村嘉孝 取締役：
えぐみが出てしまったり、製造の問題で実現できないことがあった中で、白みそともち米を組み合わせたあんこにたどり着きました。新庄みそさんにもこれでオッケーをいただいて、満足のいく商品ができたかなと思っています
気になる完成品の味は…
五十川裕明 記者：
白みそと合うかな、どうかな？と思ったんですけど、食べてみると合いますね！白みその塩味と甘さがほどよいバランスです
新庄みそ・山本美香 社長：
発酵食品のみそは、免疫力がついて体にもいいですから。このお菓子をきっかけに、そういうことを少しでも思い出していただけたらうれしいなと思います
新しい広島土産に地元客もびっくり！
新庄みその創業100周年を記念した「白みそもみじ」は限定4万個を販売。発売初日、JR広島駅の商業施設「ekie」では午前中にまとめ買いをする人もいた。白みそを連想させる淡い黄色のパッケージの表を飾るのは、新庄みそでおなじみのキャラクター「しんちゃん」。昔ながらの素朴な絵に親しみがわく。
広島市内からのお客：
あ！みそだ！と思ってびっくりしました
山口県からのお客：
初めて見ました。ぱっと見た感じがおいしそうだなと思って、つい買っちゃいました
広島で育まれた伝統の味のコラボレーション。新たな広島の魅力が、この大型連休に日本各地へと広まりそうだ。
（テレビ新広島）
