2023年3月に開設された陸上自衛隊の石垣駐屯地に3月18日、ミサイルなどが運び込まれた。今回の搬入を地元の住民はどのように受け止めているのか。石垣島を取材した。

この島にミサイルを入れるな

2023年3月18日早朝、石垣港に入港した海上自衛隊の輸送艦「おおすみ」。
石垣駐屯地に配備するミサイルなどの弾薬が積み込まれている。

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沖縄戦争体験者 山里節子さん:
私たちの美しい島を汚さないでください!ミサイルは帰ってください!

沖縄テレビ 登川二奈 記者:
ミサイルなどの弾薬を積んだトラックが次々と出てきました。この後ゲートを出るものとみられます

八重山防衛協会 「これ以上にない心強い部隊」

与那国島、宮古島に続いて2023年3月16日に開設された陸上自衛隊の石垣駐屯地。

駐屯地には八重山警備隊のほか、地上から敵の艦艇を攻撃する12式地対艦ミサイルや、航空機など上空の対象を狙う03式中距離地対空ミサイルを運用する部隊など、隊員570人が配置されている。

政府は石垣駐屯地の開設により、南西地域における防衛体制の空白地帯は埋まったと強調している。

八重山防衛協会の山森陽平事務局長は、待ち望んできた自衛隊が配備されたことに安堵する。

八重山防衛協会 山森陽平 事務局長:
特に宮古海峡をよく中国の空母が通るのですが、その間、宮古と与那国の間に一つ鎖の輪ができたというのが一番重要なことなのかなと思います。仮にこちらに向かって(敵が)上陸してくるとなりますと、これ以上にない心強い部隊であると思っています

駐屯地の開設は防衛体制の基礎が整っただけで、抑止力の向上へ今後どのように運用するかが重要になってくると山森さんは強調する。

八重山防衛協会 山森陽平 事務局長:
地対艦ミサイルは最大射程がおよそ200キロ前後だと言われていますが、EEZ(排他的経済水域)内くらいだと思っています。尖閣も含むことになると思いますが、逆に悪意を持った武力勢力を踏みとどまらせる効果は十分あると思っています

市民連絡会 「軍拡競争が際限なく続いていく」

港には市民が集まりミサイルや弾薬の石垣島への搬入をやめるよう訴えていた。

本島から参加している男性:
沖縄戦中に日本軍が駐留した離島って、ほとんど戦場になっていますよね。石垣駐屯地の開設で、いまミサイル搬入を許してしまったら、本当にまた沖縄戦のようなことを繰り返してしまうと思います

石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会 藤井幸子 事務局長:
抑止力と言いますが、結局相手も同じように抑止力を増加するでしょう。そうなったら軍拡競争が際限なく続いていくことになります。私たちは認めることはできません。こんな形で強行することは許さないという思いでここに立っています

2022年、政府が閣議決定した安保関連三文書に明記された反撃能力の保有。

政府は12式地対艦ミサイルを改良する長射程ミサイルの開発を進めている。
まだ具体的な配備先は決まっていないとしながらも、浜田防衛大臣は石垣駐屯地への配備の可能性を示唆している。

沖縄戦体験者の悲痛な叫び「悪夢、夢であってほしい」

沖縄戦を体験した山里節子さん。目の前の光景に言葉を無くす。

沖縄戦争体験者 山里節子さん:
悪夢ですよ本当に。夢であってほしい。命の重みなんてこれっぽっちも考えていないです。人間の心っていうのがどこにある人達なのか、疑問を抱くような光景です

市民とのにらみ合いが続く中、午前8時半すぎ、機動隊が抗議する市民を排除へ。

沖縄テレビ 登川二奈 記者:
午前9時半です。ミサイルなどを積んだとみられるトラックが、いまゲートから出てきました。このあと市街地などを通って基地まで搬入されるとみられます

火薬類を積んでいることを示す赤い「火」の標識が掲げられた車両は、サザンゲートブリッジを渡り市街地を通って駐屯地へと向かう。

石垣市の男性:
戦力を持つってことは相手もそれに比例して増強するでしょうからね、そういう意味からするとやっぱり沖縄には必要ないなと思っていますけど…

この日、合わせて18台分のミサイルや弾薬などが石垣駐屯地に運び込まれた。

石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会 藤井幸子 事務局長:
これほどまで私たちの思いが踏みにじられた日はないなという風に実感しています

石垣島に軍事基地をつくらせない市民連絡会 藤井幸子 事務局長:
これが終わりではない、逆に新たな私たちのこれからの運動の始まりだと思っています。今まではつくらせないという思いで頑張ってきましたが、基地が作られた後、次は無くすための運動を続けるしかないかなと思います

(沖縄テレビ)

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