宮崎・日南市北郷町で「イチゴ農園」と「写真撮影」のサービスを提供する「いちごがり写真館まるかじり」は、東京から移住してきた夫婦が営んでいる。様々な困難を乗り越え、訪れる人に笑顔を届ける“思い”を取材した。

移住夫婦が営むイチゴ農園

日南市北郷町の山間にある観光農園「いちごがり写真館まるかじり」。

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この農園を営むのは、渡邉泰典さん・茜さん夫婦だ。

兵庫県出身の泰典さんは学生時代、趣味のサイクリングがきっかけでこの地を訪れた。

渡邉泰典さん:
自転車でいろいろなところを旅するのが好きで、九州一周している時に北郷に出会って北郷町の農家さんとかいろいろな人たちと出会う中で、憧れの感情を抱く大人の方々がすごく多くて、この地域で生きていきたいなと思って移住を決定したという感じです

東京で生活していた泰典さんが移住したのは2015年。地元にあるイチゴ園で修行し、1年後に独立。2020年からイチゴ狩りをスタートした。

現在農園では「さがほのか」や「あまおとめ」など、約10種類のイチゴのほか、ズッキーニも栽培している。

「順風満帆だった人生を捨ててきた」

「いちごがり写真館まるかじり」では、その名の通りイチゴ狩りと写真撮影のサービスを提供している。

撮影を担当するのは、妻の茜さん。茜さんはそれまでの経験を生かし、農園のポップやウェブサイトを作成、SNSなどで情報発信している。

渡邉茜さん:
東京で求人広告の制作をしてたんですね。コピーライティングとかを一通りやっていたので、そのあたりを生かせるかなと

都会を離れ、縁もゆかりもない土地へ移住してきたことに茜さんは…。

渡邉茜さん:
もう後悔しかなかったです。友達もキャリアも全部順風満帆だったんですよ。全部捨ててきちゃったから、ここで成功するしかないと思いました

写真撮影を始めたのはあることがきっかけだった。

渡邉泰典さん:
うちの奥さんがカメラロールを見ていて、僕と子どもの写真はあるけど、私と子どもの写真がないって言ってたんですよね。自分がカメラを向けるってことが無かったんですよね。実際に調べてみたり聞いたりするとそういうお父さんってすごく多くて…

訪れる人に最高の思い出を

農業を始めて8年。自然の厳しさを目の当たりにすることもあった。2022年に宮崎を襲った台風では農園で土砂崩れが発生した。

渡邉泰典さん:
自然の大きさというか、自分ではどうしようもないはかなさというか、そういうのを思い知らされた一年だったと感じています

様々な困難を乗り越え続けてきたイチゴ農園。夫婦の悩みから生まれた「写真館」という発想も世の中のニーズにもマッチ。イチゴ狩りに訪れる常連客も増えてきた。

渡邉泰典さん:
1年目はカップル、2年目が結婚をしたと、3年目来たときにおなかに赤ちゃんがいて、今年産まれたっていう方もいて、その人の人生の歩みを僕ら一年に一回しか会わないけど、それを追えるっていう、その喜びっていうのはすごく感じていますね

渡邉茜さん:
お客さんの笑顔が見れて、いい写真もいっぱい撮れて達成感を感じますよね。やって良かったなって感じます。一つの仕事だけど趣味というか生きがいのようなものですよね

渡邉泰典さん:
第二弾として今年ブドウのハウスを建てる予定なので、5年後にブドウ狩り写真館として開園をしていこうと思っています。九州に住んでいる人たちが「観光農園行くならどこ?」と言われた時に「いちごがり写真館に行こう」というふうにそれが当たり前になるようにしていきたいと思っています

実は、泰典さんの髪型には秘密がある。作物の収穫時期にあわせて髪の色を変えていて、イチゴの時期は「赤」なのだそう。

訪れる人たちに最高の思い出を…と、渡邉さん夫婦はきょうも日南市から笑顔を届ける。

(テレビ宮崎)

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