社長が体を張って性能を証明！防犯製品のラインナップを紹介した動画がTwitterで話題となっている。

誰でも簡単に使える防犯製品を、警察と共同開発している有限会社佐野機工（栃木・真岡市）が、不審者を拘束する製品を“実際に使っている様子”を公式Twitterアカウント（@sano_kiko）で公開した。

製品を持って相手を倒しているのは全員が同社の女性社員で、不審者役をつとめたのは、何と社長。性能のすごさだけでなく、女性社員たちが社長相手でも一切手加減せず転がしたり、身動きできなくする様子も注目されている。

不審者役は社長！？拘束し倒される防犯製品紹介

動画では、4種類の防犯製品を紹介しており、それぞれの使い方や性能が分かる。

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例えば、不審者の手足へと目掛け、押し当てることで瞬間的に巻きつき自由を奪うという「キャッチマスターPro 不動」。女性社員は、社長の背後からゴム製のダミーナイフを持っている右手に「不動」を押し当てている。

すると、バチンという音と共に「不動」が社長の腕に巻き付く。女性社員はそのまま「不動」とつながっているロープを引いて社長を引き倒した。

また、警察からの依頼で開発したという小型・軽量さすまたの「弁慶」では、バットを振り上げて社長が女性社員へ襲いかかろうとする。

すると、女性社員は振り下ろされるバッドを「弁慶」で受け止め、そのまま絡めとり、弾き飛ばした。そして「弁慶」を社長の方に向け、距離を保ったままけん制していた。

他にも、相手に巻き付いて瞬間的に身体を拘束するという「キャッチマスターPro ケルベロス」や、ハンディサイズの「キャッチマスターPro オロチ」などを使って、社長相手に女性社員が実戦していた。

最後には、社長が「不動」「弁慶」「ケルベロス」を使った女性社員3人がかりで抑え込まれ、身動きが取れなくなっていた。

社長の体を張った防犯製品の紹介動画には、Twitterでも「素晴らしい製品かつ素晴らしい動きですね」「社長…身体張ってますね…」「すばらしい製品　社長さんもすごい！」といった声が寄せられている。動画再生数は65万回を超え、2万6000のいいねがつく話題となっている（3月10日時点）。

想像以上に軽いノリで不審者役をOK

動画は、女性社員が男性の社長に使うことで、誰でも簡単に扱える様子を実演していた。しかし、不審者役が社長だということに驚いた人もいただろう。しかも、メタメタに倒されている。

どのような経緯で社長が不審者役に決まったのだろう？ 佐野機工のSNS担当者に話を聞いてみた。


ーー社長は自ら不審者役に名乗り出たの？

映像の不審者役で登場してもらうようになったきっかけは、「誰にでも簡単に使える」「使用者と不審者に体格差があっても効果がある」などをお伝えできるよう、使用者役には弊社の女性社員に、不審者役は社長に、SNSや映像の撮影・編集を担当している私からお願いしました。

不審者役をお願いしたことに社長はまったく驚くことなく、とても前向きかつ想像以上に軽いノリでOKしてくれました。ただ、多忙のため撮影可能な日時が限られており、撮影するこちらはプレッシャーがありました。

ーー不審者役をやった感想は何と言っていた？

「社員がちゅうちょなくやってくれたので、想像以上に衝撃がすごかった！」と申しておりました。社長は過去に武道の経験があるのですが、怪我することもなく、平然としていてすごいなと思いました。


ーー防犯製品を実際に受けたことに対してはどう？

「正しい使用方法で、何回か練習して使ってもらえれば、誰でも使えて効果があることがよくわかって（＋伝えられて）よかった」と申しておりました。

栃木県警からの依頼で防犯製品の開発をスタートした当初（2011年）から、製品のテストなどで社長が体験することも多かったので、映像で不審者役として拘束されることに関しては特に抵抗もなかったようです。

社長だからと遠慮は一切なし！

ーー使用者役の女性社員たちは、何か訓練などをしてから挑戦しているの？

いわゆる護身術などの訓練は何も行っていません。社員は、護身術や訓練、スポーツなども行っていない普通の女性です。

Twitter投稿動画で社長と一対一で対峙している社員は、営業担当のため製品の扱いには多少慣れていますが、「ケルベロス＋不動＋弁慶」の組み合わせの、不動と弁慶を使う役の社員は撮影前に1回練習しただけです。使用方法のレクチャーを受けて、2～3回練習すれば大体皆さん使えるようになります。

ーー社長を相手に効果を示すということに、女性社員たちはどう思っていた？

社員は皆、「とにかく防犯製品の使いかたや効果がちゃんと伝わるように！」「本物の不審者を拘束するつもりで、失敗しないように」という気持ちだったと、それぞれの社員が申しておりました。社長だからといって遠慮の気持ちなどは一切なかったそうで、遠慮なんてことは思い浮かびもしなかったそうです　笑。

Twitterでも「社長相手にうっぷんを晴らしているのでは？」と沢山リプライをいただきましたが、日頃から社長と社員の距離が近く、コミュニケーションが取れているので、そういうつもりもなかったとのことです　笑。


ーー実際に防犯製品を使った様子はどうだった？

それぞれの防犯製品の特長を生かした使いかたができたと思います。体格の良い社長相手でも簡単に、しっかり拘束できています。

ほんの少しでも防犯意識の向上に繋がれば…

ーーそもそも、なぜ防犯製品の効果を示すような紹介動画を投稿したの？

自社の防犯製品ラインナップを紹介する動画や、取扱い方法を説明する動画を、2022年秋頃からコンスタントに撮影・編集していて、動画素材がいろいろ揃ったタイミングだったので、Twitterにも投稿してみようかなという気楽な気持ちでした。


ーー投稿には多くの反響があったが、どう感じている？

想像以上に反響があり驚いていますが、自社の防犯製品のことを知っていただけて嬉しいです。

それとともに、防犯訓練の大切さを再確認していただいたり、「こういう防犯製品が開発され、さまざまな施設で使われている」ということを知ってもらうことで、ほんの少しでも犯罪抑止や防犯意識の向上に繋がればと思います。

ーー最後に、防犯製品に込めた思いを教えて。

私たち佐野機工が防犯製品を開発・製造するにあたっての思いとしては「できるだけ怪我をすることなく、安全に避難してほしい」ということに尽きます。闘うのではなく、安全に逃げるための隙をつくる製品です。

いざというときに誰でも簡単に使える製品を目指して開発・製造を行っているので、製品の使い勝手をテストする際などは、あえて防犯製品をまったく使ったことのない社員や、運動が得意でない社員、小柄で腕力が弱い社員などに使ってもらい、操作方法や使用感をチェックすることも多いです。

防犯製品を開発・製造している会社ではありますが、防犯製品がまったく必要なくなる世の中になることを心から願っています。

なお、佐野機工の防犯製品はすべて法人への販売のみで、個人には販売していない。悪用・盗難・転売などを防ぐため、1点ずつシリアル番号で管理してあり、購入の際に契約書を交わす必要があるとのことだ。

佐野機工は、不審者が目の前に現れたら「安全に避難することが最優先」であること、そして、「防犯製品1つだけで不審者に対処することは非常に危険」であることも、投稿動画に続けてツイートしている。

体を張っていたのは社長だけでなく、使用者役の女性社員も「防犯製品の使いかたや効果が伝わるように！」との思いで、全力で取り組んでいたという。強い思いは動画の勢いにも表れていたのではないだろうか。

プライムオンライン編集部

FNNプライムオンラインのオリジナル取材班が、ネットで話題になっている事象や気になる社会問題を独自の視点をまじえて取材しています。