島根・松江市の宍道湖を巡る遊覧船「はくちょう号」が、3月からライトアップされている。企画したのは、松江市内の女子高校生のグループだ。船内にフォトスポットを設置するなど、柔軟な発想で、ユニークなおもてなしを提供する。
1年がかりでアイデア実現
取材に訪れたJALふるさと応援隊の相澤萌子さんを案内してくれたのは、松江市の皆美が丘女子高校3年生の太田凜音さんと三島彩花さんだ。
この記事の画像(20枚)それぞれ進路が決まり、この春から県内外で新生活がスタートする2人は、ふるさと・松江市に大きな「卒業制作」を残していた。それが、ライトアップされた宍道湖遊覧船「はくちょう号」だ。
「はくちょう号」は、松江市内を流れる大橋川から宍道湖まで、水の都・松江を象徴するエリアを1時間かけて運航している。これを観光の目玉にしようと、皆美が丘女子高校の観光コースで学ぶ6人が、「はくちょう号」全体のライトアップを提案。運航する白鳥観光や島根銀行などと協力して、船のデザインや設備などを新たに考え、1年がかりでアイデアを実現した。
フォトスポットにオリジナルスイーツも
皆美が丘女子高校・三島彩花さん:
私たちが考えた、いろいろなおもてなしがあるので乗ってみましょう!
JALふるさと応援隊・相澤萌子さん:
はい!楽しみです
宍道湖の上から夕日を望むサンセットクルーズに出航。まずは松江市内を東西に流れる大橋川を進む。
JALふるさと応援隊・相澤萌子さん:
すごく街並みがきれいですね
出航から約15分がたち、いよいよ宍道湖が見えてきた。あいにく雲が広がっていたが、その隙間から夕日を望むことができた。
船内を回ってみると、一風変わった設備が目に入った。甲板の手すりの上に鏡のようなものが取り付けられている。
JALふるさと応援隊・相澤萌子さん:
これは何ですか?
皆美が丘女子高校・太田凜音さん:
これはフォトスポットです。思い出に残るいい写真が撮れて、今が一番おすすめの時間帯です
JALふるさと応援隊・相澤萌子さん:
ぜひ見せてください。どんな感じで撮ったらいいですか?
2人に撮り方を教わり相澤さんが撮影してみると「かわいい」写真が撮れた。
鏡に映る夕日をバックにスマホを構え、シャッターを切る。SNS世代に「刺さる」一枚が狙えそうだ。
さらに2人が、松江の企業と一緒に考えて作ったというスイーツを紹介してくれた。どら焼きで抹茶アイスを挟んだ「どらまちゃ」に、抹茶のカヌレ。お茶処の松江らしいスイーツだ。
ふるさと応援隊・相澤萌子さん:
抹茶の味が濃くて、すごくおいしいです。すてきな景色とおいしいスイーツでぜいたくな時間が楽しめますね
皆美が丘女子高校・三島彩花さん:
松江はお茶が有名なので、それを取り入れたスイーツになっています
やがて日が沈むと、湖面にライトアップされた船の姿が浮かび上がった。
JALふるさと応援隊・相澤萌子さん:
景色もですが、船もライトアップされてきれいですね。また昼とは違う幻想的な雰囲気で、とても楽しめました
卒業制作が地域観光の“希望”に…
「松江の魅力を全国に伝えたい」という高校生たちの思いに共感し、クラウドファンディングでは、約1カ月間で100万円以上を調達。多くの大人にも支えられ、今回のプロジェクトに挑んだ。
ふるさと応援隊・相澤萌子さん:
これからやりたいことや夢はありますか?
皆美が丘女子高校・三島彩花さん:
私は将来、観光に関わる仕事に就こう思っているので、新しい環境の中でも、この松江の良さや、はくちょう号に関して伝えていけたら
皆美が丘女子高校・太田凜音さん:
私は将来、保育士になりたいと思っているんですけど、地元に残る人として、全国の方に、地元からいろいろ発信していきたい
高校生たちの思いを乗せて走り始めた「はくちょう号」。彼女たちが残した「卒業制作」は、地域の観光にとって希望の光となりそうだ。
(TSKさんいん中央テレビ)