山下清といえば「放浪」と答える人も多いだろう。長崎県美術館で開催中の山下清の企画展では“放浪エピソード”を知ることもできる。「捜索願」の記事が新聞に掲載されて大騒ぎになったこともある。
「日本のゴッホいまいずこ 消息絶って二年余」
清が学園を飛び出したのは、18歳の時だった。
32歳までの14年間で8回にわたって“放浪の旅”に出ていたことが分かっている。旅先では住み込みで働くこともあったという。
32歳までの14年間で8回にわたって“放浪の旅”に出ていたことが分かっている。旅先では住み込みで働くこともあったという。
最後の放浪は1951年。2年8カ月におよび、最長記録となった。あまりに長期間行方が分からなかったこともあり、新聞に捜索記事が掲載されたのだった。
「日本のゴッホいまいずこ 消息絶って二年余」。
その記事は日本中に広がり、掲載からわずか4日後の1月10日、鹿児島で地元の高校生に発見された。
弟が迎えに行って家に連れ戻された後、清は施設の学園長あてに「放浪を辞める誓い」という誓約書を書いた。
これで清の放浪は終わった…わけではなかった。その後も放浪に出たが、有名になりすぎてすぐに発見されてしまう。
思い通りに放浪はできず、諦めて「放浪の旅」に終止符を打ち、画家として活動することを決意したのだった。
入場者が1万人突破
「生誕100年山下清展-百年目の大回想」は、代表作の「長岡の花火」をはじめ、特別出品された「長崎の景色」など、合計190点の作品が展示されている。
開幕から1カ月ほど経った3月10日に入場者1万人の大台を突破。節目の来館者となった家族に記念品が贈られた。
記念すべき1万人目の入場者となったのは、長崎市の三上雅史さんと妻の泰子さん、そして94歳になる母のまゆみさん家族だ。
展覧会への来館を提案したのは妻の泰子さん。高齢の母を気遣う優しい息子夫婦の心遣いが、思いがけないサプライズとなった。
驚きを隠せない様子のまゆみさんは「びっくりしている。息子に山下清展があることを教えられ、家の中に引っ込んでいるのもどうかと思い、連れて来てもらった」と話した。
三上さん一家はその後、ゆっくりと館内を見て回り、山下清独特の世界観と表現力の魅力を十分に堪能した様子だった。家族の絆を深める文化的な体験が、思わぬ記念となった一日となった。
企画展は長崎県美術館企画展示室で4月5日まで開催中。料金は一般1500円、中高生1000円、小学生以下無料となっている。
(テレビ長崎)
