戦死した兄の遺骨を探すため、太平洋戦争の激戦地・ブーゲンビル島への渡航を希望している90歳の男性が、現地出身の女性を熊本に招き、情報を集めた。

「兄の遺骨を持って帰りたい」…遺族の思い

レベッカ・マニアコさん(50):
熊本はとても素晴らしい。見たこともない景色で想像していたよりはるかに美しい

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パプアニューギニア領ブーゲンビル島出身で、パプアニューギニアの首都・ポートモレスビーに住むレベッカ・マニアコさん。

熊本を訪れた目的は。

熊本市西区在住・槌田春義さん(90):
最初は「戦病死」と言っていた。ところが、最終的には「マツンケイ」という所で機銃掃射による腹部貫通で、その日のうちに亡くなったことがわかって。(兄は)10人弱の人を連れて製塩作業をしていた。人数が少ない、場所が狭い範囲であれば、その墓を知っている人がいるかもしれない

90歳の槌田春義さんは太平洋戦争の激戦地、パプアニューギニア領・ブーゲンビル島で、兄・直人さんを亡くした。直人さんの遺骨は、現地で眠ったままになっているという。

熊本市西区在住・槌田春義さん(90):
余生も限られているから、全財産を投じてでも探して(遺骨を)持って帰りたいという気持ちを持っている

熊本県ブーゲンビル島会と全国ソロモン会熊本支部は、槌田さんの願いをかなえようとパプアニューギニアの国際学校で15年間、教師を務めたブーゲンビル島出身のレベッカさんに協力を依頼。

ブーゲンビル島出身の女性と事前調査へ

2022年12月、熊本に招き、地図には載っていない直人さんが亡くなったとされる地域「マツンケイ」について話を聞いた。

熊本県ブーゲンビル島会・舩崎三義理事(92):
現在の地図にある「マブアニ」と私たちが呼ぶ「マツンケイ」は同じ場所?

ブーゲンビル島出身 レベッカ・マニアコさん(50):
同じ場所です。「マブアニ」とも「マツンケイ」とも呼ぶ

通訳・大西元那さん:
人が住んでいる?

ブーゲンビル島出身 レベッカ・マニアコさん(50):
人は住んでいます

通訳・大西元那さん:
何戸ぐらい?

ブーゲンビル島出身 レベッカ・マニアコさん(50):
1つの家系で2世代が住んでいる。10人以上いると思う

ブーゲンビル島出身 レベッカ・マニアコさん(50):
現地の人の間でも、どのあたりに日本の兵隊さんが埋められたなど、当時の様子が口伝えで代々伝わっている。そこに住んでいる人が母と親しかったので、私も行ったことがある。母親の親戚に当たり、この件についてすでに話を進めている

「マツンケイ」への移動手段は一番近い集落から、現地住民の足で4時間かかり、ボートやうかい路を使う方法もある。

熊本市西区在住・槌田春義さん(90):
レベッカさんが百人力だと思う。こんな展開があるなんて…私は諦めていた。(渡航の)可能性がだいぶ高まってきたのでうれしくて、頑張らないといけないなと思っている。兄貴も喜ぶだろう

全国ソロモン会熊本支部・黒木伸男支部長(68):
一回、現地を調査して、槌田さんをぜひとも連れて行ってあげたい。連れて行くためには、一番安全な方法を探さないといけないので、その手順ができたなあと思って

ブーゲンビル島出身 レベッカ・マニアコさん(50):
熊本の遺族が家族に対して強い絆を持っていることを感じた。現地に残されたままの遺骨を熊本に連れて帰りたいという強い思いを知って、心が動かされた。私も、槌田さんの願いがかなうように何かできないかと思うし、協力する責任があると思う。槌田さんがブーゲンビル島に行って、お兄さんの遺骨を連れて帰ることができるよう、私も頑張りたい

できるだけ早いうちに現地で事前調査を行い、槌田さんが安全に渡航できるよう計画を進めるという。

レベッカさんは帰国後、現地の部族長たちと交渉し、「槌田さんたちの訪問・受け入れは可能」という回答をもらった。4月ごろには事前調査のために、全国ソロモン会熊本支部が現地を訪れる予定。

(テレビ熊本)

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