石川県金沢市の老舗洋食店「グリルニュー狸」。その店主が「私の命」と話す料理がある。それが、ホワイトソースで和えた魚介などの具材をオーブンで焼いたフランス発祥の料理「コキール」。83歳の現在も厨房に立ち、フライパンを振り続ける料理人、矢田紀彦さんの思いを取材した。

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グリルニュー狸 矢田紀彦さん:
ごまかしがきかない料理がこのコキールです。私の命です。

金沢の老舗料理店自慢の一品「コキール」

石川県金沢市小立野3丁目にある「グリルニュー狸」。創業55年の老舗洋食店だ。

昼時は多くの常連客でいつもにぎわっている。

竹内章アナウンサー:
創業55年で83歳の今も現役で厨房に立たれている、今も色んなことをやりたいんですか?
矢田さん:
結構ね、動きたい。

竹内アナ:
親子3世代で厨房に立っているんですね?
矢田さん:
人手不足の時代に帰って来てくれたので喜んでいます。

竹内アナ:
調理の道に入ったのは何歳の時?
矢田さん:
中学を出てすぐです。東山の「自由軒」に3年半ぐらいいましたかね。

その後、福井の宴会場で修行していた頃、妻の作子さんと出会う。

竹内アナ:
奥さまとは福井で出会っているんですか?
矢田さん:
福井に10年ぐらいいるうちに、捕まって…(笑)

25歳の時、妻と共に金沢に戻り、金沢の洋食店「狸茶屋」で苦楽を共にした。

そして2年後の1967年、狸茶屋の「狸」をもらい、独立。グリルニュー狸のスタートだ。

一級品のクリーム料理に欠かせない〇〇バター

竹内アナ:
こだわりのメニューは?
矢田さん:
「コキール」ですね。クリームソースをね。野菜や魚、エビとかとあえて…手の込んだ料理ではないんですけれど、クリーム料理の中では一番高級です。

そこで今回は、矢田さんオススメの「エビのコキール」を作ってもらった。

洋食料理に欠かせないソースの1つホワイトソース。バターと小麦粉で作ったルーを牛乳と混ぜ合わせる。

竹内アナ:
これは人参と何ですか?
矢田さん:
セロリとオニオン。
竹内アナ:
だし取り用?
矢田さん:
そうです、甘味づけとね。

矢田さん:
これから2~3時間煮込みます。
竹内アナ:
けっこうかき混ぜなきゃいけないんですか?
矢田さん:
焦げやすいんです。
竹内アナ:
ずっとかき混ぜてるんですか?
矢田さん:
ええ。

エビのコキールに欠かせないのが「エビのバター」甘エビをふんだんに使った自家製バターだ。

矢田さん:
エビの殻とか頭とかから取ったバターです。魚屋さんに頼んでエビの頭をたくさん集めてもらってそこにバターを入れて作るんです。
竹内アナ:
何エビ?
矢田さん:
これは甘エビだけ。

このエビバターを隠し味に、先ほどのホワイトソースに加え、具材のエビやマッシュルームとなじませる。

味をととのえ、オーブンで焼き上げればグリルニュー狸自慢のメニュー、「エビのコキール」の完成だ。

竹内アナ:
すごく濃厚な味わい。

矢田さん:
丁寧にこさえたら上品な味が出ると思います。

竹内アナ:
料理の世界に入って70年近く経っているわけですが…出す料理には納得している?
矢田さん:
いま出している分にはね。

竹内アナ:
納得はしているけれど、更においしく出来るんじゃないかってことね。
矢田さん:
同じものでも次回はもっとおいしくという気持ちを心掛けていますね。

(石川テレビ)