2月10日から開幕する四大陸フィギュアスケート選手権。
男子は島田高志郎、佐藤駿、三浦佳生、女子は渡辺倫果、吉田陽菜、千葉百音、ペアは三浦璃来・木原龍一組、アイスダンスは村元哉中・高橋大輔組、小松原美里・小松原尊組が出場する。
女子代表の渡辺倫果は今シーズン、GPシリーズ初出場初優勝の快挙を達成し、GPファイナル進出を果たし大躍進。その活躍が評価されて四大陸選手権、世界選手権をつかんだ。
大の「ダイオウグソクムシ」好きという強めのキャラクターで、注目度が上昇中の20歳だ。
2023年は日本学生氷上選手権大会(インカレ)と特別国民体育大会冬季大会(国体)に出場。続く、四大陸選手権に向けての渡辺は、コーチを超える結果を残したいと語った。
全日本は次の五輪に向けての“ラスボス”
2013年に全日本ノービスBチャンピオンの渡辺倫果は、早くからその才能を開花させていたが、2020年には全日本選手権でフリー進出を逃すなど、低迷期が続いていた。
転機となったのは2021年。この年の全日本で初めてトリプルアクセルを成功させてから、スケート人生が好転した。
2022年9月のロンバルディア杯で、世界女王に輝いた坂本花織や北京五輪5位の樋口新葉を抑えて優勝。代打で急きょ出場したGPスケートカナダでも優勝し、一気にGPファイナル出場をつかみ、爆発的な飛躍を遂げた。
全日本を前にしたインタビューで渡辺は「垂直にどーん!」と浮上している今の展開に、戸惑っていると語っていた。

好調な中で迎えた全日本ではショートプログラムで出遅れて総合12位と、悔しい結果に終わった。
「全日本は本当にただただ悔しくて、という感じで。最初から最後まで『終わったな』という感じなんですよ。フリーはショートも含めて良い経験ができたんじゃないかと今振り返って思えているので、経験としてまた同じような失敗をしないように、次につなげられるようにするしかない」
全日本後にこう語る渡辺は、独特な表現で自身を奮い立たせて、その先の未来を見据えた。

「GPシリーズ2戦出場してファイナルも進出して全日本と、怒濤(どとう)の試合ラッシュになって、その中でも上位を狙っていたんですけど。全日本は2026年のオリンピックに向けて“ラスボス”だと考えている。
ふがいない結果で終わって反省点にはなっているんですけど、次に活かしていければ。次のオリンピックに行きたい気持ちもあるので、今回の全日本の経験が役に立ったと言えるように、今は“武器集め”を頑張ります」
続けて、一気に注目を集めた今シーズンに対して「課金した覚えはない」と苦笑しつつ「2021年は初期段階で15。いきなりゼロから15になった感覚。そこから課金せずに50までいければ。チマチマチマチマやって、ラスボスを倒すからゲームは楽しいので、ちょっとずつレベルを上げていきたい」と、着実にレベルアップしていきたいと語った。
2023年は好調のスタートを切る
2022年の全日本を前向きに捉える渡辺は、今季の活躍が評価され、四大陸選手権と3月の世界選手権の切符を手にした。
「選考理由の詳細はわかりかねますが」と前置きしつつ、渡辺は「もしGPシリーズの頑張りを見ていただけたのであればうれしい限り」と話す。

「正直キツかったし、いろいろなご意見がある中で、全日本が終わってからはその切り替えが大変ではあったんですけど、注目していただけるようになったのはうれしいことだと思いますし、自分自身“ここで終わりたくない”という気持ちが何より強い。このまま何も考えずに淡々と練習するだけ」と自身を奮い立たせた。
そんな渡辺は元日に初詣した際、絵馬に「不撓不屈の精神で練習する」としたためた。
四大陸選手権の会場となるアメリカ・コロラドは標高が高く、マスクをつけて曲かけをする練習で対策を始めたという。
そして2023年の初陣となった日本学生氷上選手権大会(インカレ)は2位。続いて出場した、特別国民体育大会冬季大会(国体)では会心の演技を披露する。
フリー冒頭、トリプルアクセルを完璧に成功させ、プラス1.87と高い出来栄え点を獲得。
ミスが続いていた最後の3回転ルッツを含めて、「スピンが終わって足がふらふらの状態で挑んでいたので、先にスピンをやってジャンプに行く形に変更した」とこの大会から演技後半の構成を変更。それが好演へとつながった。
その後も情感たっぷりの演技を披露し「久しぶりにスカッとした。気持ちよく滑ることができた演技だった。他の選手も応援してくれて力になった」と振り返る。
国内参考記録ながらフリーは自己ベストを更新。坂本花織に次ぐ全体2位の148.49点をマークした。
目標とする150点には届かなかったが「自己ベストを出せたのがうれしい。久しぶりに熟睡できる」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
四大陸はコーチの順位を超えたい
渡辺にとって初出場となる四大陸。

今大会に向けて「演技構成自体はこのままという感じなんですけど、もうちょっと体力面で心配なくいけるように追い込んで、目標として何位以内ということが正直まだ言える立場ではないというか、わからないというのが現状。
自分が世界でどれくらい戦っていけるかもまだ、自分の立ち位置もわからないので四大陸や世界選手権で自分が最大限出来る演技をすればおのずと点数、結果はついてくると思うので、強いて言うなら中庭(健介)先生が四大陸最高順位6位なので、それを上回る5位以内を目指せるように、それが目標です」と意気込む。
もらったチャンスを活かすべく、全日本のリベンジを誓う。
四大陸フィギュアスケート選手権2023
フジテレビ(※関東地区ほか)にて3夜連続放送
■男女ショート
2月10日(金)深夜1時35分~3時35分
■ペアショート&リズムダンス&女子フリー
2月11日(土)深夜1時45分~3時45分
■ペアフリー&男子フリー
2月12日(日)深夜0時30分~2時30分
https://www.fujitv.co.jp/sports/skate/four-continents/index.html