長野市の「青木島遊園地」。2023年3月に廃止される。きっかけは1軒の住民からの「子どもの声がうるさい」という苦情。一部メディアが報道するとネット上などで波紋が広がり、市が経緯を説明する事態となった。子どもの遊び場で何が起きているのか取材した。
遊園地は2004年、住民の要望で設置
長野市青木島町の「青木島遊園地」。夕方の時間帯だが、子どもの姿はない。
隣の児童センターでは、中で遊ぶ子どもたちの姿が。
2021年3月から遊園地で遊ぶことをやめた。
青木島児童センター館長:
「子どもは外で元気に走り回って、迎えに来るまで過ごしてもらうのが一番楽しいと思うんだけど、それは残念だし、子どもに申し訳ない」
(記者リポート)
「こちらの遊園地は来年3月をもって廃止が決まりました」
遊園地が出来たのは2004年。地元からの要望で造られた。 周りには児童センターや保育園、小学校もあり、子どもの遊び場としては絶好の場所だ。 実際、子どもたちが毎日40~50人遊び、にぎわっていた。
1軒の住民から苦情「子どもの声がうるさい」
しかし…
(近隣住民から市への苦情)
「子どもの声がうるさい」
まもなく、近隣の1軒の住民から市に苦情が寄せられるようになる。
長野市の担当者:
「ボールの宅地への飛び込み、宅地内の植栽の踏み荒らし、夜間は花火の音も発生したと聞いている」
廃止に至る経緯は
市は住民の家になるべく近づかないよう、ツツジを植えたり、出入口の場所を変えたりした他、児童センターにボール遊びを禁止にするよう求めるなど対策を講じてきた。
ただ、苦情は収まらず、2021年3月には住民が直接、児童センターを訪れた。
(近隣住民から児童センターへの苦情)
「子どもを静かに遊ばせるよう良く考えてほしい」
「静かに遊ばせる方法は難しい」と、センターは子どもたちに遊園地を使わせないことにした。
青木島児童センター館長:
「いろんな苦情があったので、それを対応するのもなんかね。へきえきとしてしまうので、そういうことであれば使わない方がいいだろうと」
センターの子どもが遊ばなくなると次第に利用者は減少。
草刈りなどの管理はセンターの職員や保護者が担っていたが、止めることにした。
市は地元地区に管理してもらうよう協議していたが、地区からは「現在の状況なら廃止もやむを得ない」と意見があり、市は廃止を決めた。
また、この場所の借地で税金を払い続けなければいけないことも理由の一つとしている。
近隣住民:
「まあ聞こえますよね、でも、別に子どもの声は騒音だという人もいるかもしれないけど、私は別にうるさいとは思っていないから、人それぞれなんでしょうね」
「その方の意見ももちろんなんですけど、ほかの人の意見も聞いてもらえればなと思います」
子どもが児童センターを利用する保護者:
「小学校もあるのでそっちの方は気にならないのかなと。残念、今度からここで遊べるな、いいねと話はしてたので、子どもを持つ親からすると遊び場がなくなっちゃってかわいそうだなと」
市に問い合わせが殺到
この問題を一部メディアが報じるとSNSなどで波紋が広がり、市には1週間で230件を超える意見が寄せられた。(12月8日午後3時時点)
「なぜ廃止するのか」「残してほしい」「1人の意見で決めていいのか」という声が多かったものの、経緯について説明すると理解してもらえたという。
市「選択肢がなかった。非常に苦しい判断」
市は8日、報道陣に対し説明会を開く事態に。「話し合いを続けたが解決策を見いだせなかった」などと話した。
長野市の担当者:
「我々とすると、遊園地を造ったら使ってほしいし、子どもたちには遊んでほしいという思いが強いので、本当に残念なんですけど、他に選択肢がなかった。我々としても非常に苦しい判断」
苦情を寄せた住民「廃止決定はびっくりした」
2023年3月に廃止が決まった青木島遊園地。
苦情を寄せた住民はNBSの取材にー
苦情を寄せた住民:
「18年間毎日、私たちも我慢してきた。私たちは廃止にしてくださいとは言っていない。児童センターが決まった時間に外に出て拡声器とか使って、みんなを遊ばせているそういったことに対して言った。使い方をちゃんと考えてくださいといった。廃止決定はびっくりした」
市によりますと、この住民に対する誹謗中傷もあるということで、絶対にやめて欲しいとしている。
青木島遊園地は2023年3月の廃止に向け、まもなく工事が始まり使えなくなるという。
※青木島遊園地について(長野市より)
・都市公園法に基づく「都市公園」ではなく、長野市が地元の要望により設置している「遊園地」
・地元区長会からの要望により、2004年4月1日に開設
・面積1376㎡
(長野放送)