先日、台湾を訪問した熊本県の蒲島郁夫知事たちは、TSMC本社を訪れ、幹部と会談を行った。TSMCを通した、今後の熊本と台湾のつながりを考える。

東京ドーム140個分…台湾の一大工業地帯を訪問

岡﨑宣彰記者:
新竹市にあるTSMCの敷地内です。後ろの建物の奥にある本社で、蒲島知事とTSMCの幹部が会談を行っています

1月11日から14日にかけて台湾を訪れた蒲島知事たち台湾訪問団は、新竹市にある半導体製造大手TSMC本社を訪れた。会談は非公開で行われ、ワイエイチ・リャオ副社長やジョナサン・リー副社長などTSMCの幹部と、台湾人技術者やその家族の受け入れ態勢などについて、意見が交わされたという。

TSMC本社を訪れた蒲島知事(前列中央)とTSMC幹部
TSMC本社を訪れた蒲島知事(前列中央)とTSMC幹部
この記事の画像(10枚)

蒲島知事:
想像を絶する大きさと、想像を絶する利益率がすごいなと思った。それらを丁寧に説明され、熊本と一緒にやっていきたいと話された。まずはTSMCの熊本の工場が台湾に負けないように頑張れるといいなと。夢が大きくなったことは確か

TSMCの本社がある「新竹サイエンスパーク」は、広大な土地の中に最先端の技術を研究する企業が集まり、TSMCだけでも6つの工場がある台湾の一大工業地帯だ。広さは約650ヘクタールあり、東京ドーム約140個分もある。

蒲島知事は帰国後、「菊陽町のTSMCの工場を中心としたまちづくりを検討する」と話した。

日本に2番目の工場建設検討 投資拡大に期待感も

一方、大西熊本市長は「地下水保全に対して要望した」と話す一方で、「世界にある工場の中でもTSMC側の熊本への期待を感じた」と述べた。

大西熊本市長:
TSMCの考えの中で展開をしていると説明があったので、これから(熊本の工場が)立ち上がって半導体の未来が開ければ、さまざまなプラスの投資も今後起こり得ると期待を寄せた

また、会談に同席した県内経済団体のトップは、次のように話している。

熊本県商工会議所連合会・久我彰登会長:
私が受けた(TSMCの)印象は、熊本に進出を決めてよかったと思われていると受け止めた

熊本経済同友会・笠原慶久代表幹事:
TSMCが、かなり熊本に期待していることがよくわかった

訪問団の感想からも、TSMC側の熊本の工場への期待の高さがうかがえる一方で、TSMCのシーシー・ウェイ最高経営責任者は、蒲島知事たち訪問団が訪れた1月12日、日本に2番目の工場建設を検討していることをオンラインで明らかにした。

ーー知事としては2棟目を熊本県に誘致の考えは?

蒲島知事:
第2工場の話は出なかった。熊本にできればうれしいが、この段階では聞いていない

「TSMC側が日本の技術力を評価」進む台湾とのつながり

TSMCが菊陽町原水に建設中の日本で初めての工場は、年内には建物が完成し、2024年12月には半導体の出荷を予定している。また、半導体の製造に多くの水を使うが、TSMCの広報担当者は「台湾の工場では、ダムの工業用水を使っている」と話し、「必ずしも地下水が必要ではない」と述べた。

大西熊本市長:
MICの話によれば、熊本の工場は現状にとどまるものではないだろうと見込まれている。今後さらに大きな進出につながると確信している

TSMCとも取引がある台湾の半導体関連企業MICを訪問した大西熊本市長は、熊本の工場のさらなる発展を確信したと話す。

陳其邁・高雄市長:
去年からTSMCが高雄市と熊本県で工場建設を始めました。日本企業が数多く高雄市に進出しているが、今後は半導体産業のみならず多面的な交流を期待する

熊本県や熊本市と友好交流協定を結んでいる台湾南部・高雄市の陳市長は、TSMCを通した交流の増加に期待する。TSMCによると、高雄市にも工場を建設予定で、熊本の工場と同じように、2024年には生産が開始される予定だ。

IEAT・黄教章理事長:
TSMCのリュウ会長が、12月6日にバイデン大統領と会う1週間前に食事をして、会長に「どうですか? 日本は」と聞いたら、リュウ会長は「思った以上に日本のエンジニアリングは質が高い」と

6,400社余りが加盟する台湾最大の商業団体IEATの黄理事長は、「TSMC側が日本の技術力を評価している」と話す。

TSMCの熊本進出を契機に広がりを見せる、台湾とのつながり。今回の台湾訪問に蒲島知事は次のように話した。

蒲島知事:
手ごたえは重要な人に会い、重要な組織に会い、そしてその方々がとても熊本を愛されていることを知って、相互信頼という意味ではとてもいい機会だった

(テレビ熊本)

テレビ熊本
テレビ熊本

熊本の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。