この春行われる石川県議会議員選挙。定数4の小松市選挙区で異例の事態となっている。と言うのも、自民党系だけで定数4を越える5人が立候補を表明したからだ。かつては、自民党の森喜朗元首相の地盤だった小松市でいったい何が起きているのだろうか、取材した。

定数4を越える5人が出馬の異例事態

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小松市選挙区は、現在、自民党の県議が3人と、立憲民主党の1人の4人がいる。この内、自民党の藤井県議は引退を表明。その後継者として円地仁志小松市議が立候補を表明したほか、いずれも自民党系の吉田寛治小松市議と竹田良平小松市議も出馬を表明したのだ。

2023年1月9日。石川県小松市で開かれたのは、自民党の現職、福村章県議(84)の新年互礼会。

福村章県議:
この44年間、積ませていただいた経験と知識をふり絞って、ふるさとのためにご恩返しをさせていただきたいと思っています。

2022年3月に行われた石川県の知事選で、馳知事誕生の立役者となった福村県議。

もちろん、この人も駆けつけた。

馳浩知事:
県庁で福村県議がなんて呼ばれているか知っていますか?課長あたりぐらいのところに自分で行って、情報を集めているから『まめお』って言われているんです。

 

馳知事:
こういう政治家と共に県政を発展させていこうと、そういう前向きな気持ちに今年の4月にも
なっていただきたいと思います。

4つの議席を6人で争う見込みの小松市選挙区。44年、11期の経験をアピールする福村県議には知事選の追い風も吹いているようだ。

福村県議:
対立候補に若い人もおられますけど、砲丸投げや100m競争するわけじゃないので。この世界でやっていくのでね、私はそうそう誰にも負けるとは思っていません。

一方…

藤井義弘県議:
今回、引退を表明しているわけでありますけども…。

同じ自民党の重鎮で森喜朗元総理に連なる藤井義弘県議(78)。

小松市長選では度々、福村県議が推す候補と対立。2年前の市長選では、当時の現職を推す福村県議に対し新人で初当選を果たした宮橋市長の後ろ盾となった。

しかし年齢を理由に、今期限りの引退を表明したのだ。その藤井県議が、後継として立てたのが…。

藤井県議:
わたしの後継に、ぜひひとつ円地君をあげて応援したいと思いました。どうぞみなさんよろしくお願い申し上げます。

小松市議の円地仁志氏(56)だ。

円地仁志市議:
小松市議会、5期20年の経験を県政で生かしていきたい。そういった思いで今回、県政にチャレンジをしたい。

円地市議の出馬表明に、内心穏やかでないのが自民党の現職、八田知子県議(60)だ。

実は八田県議と円地市議、同じ小松市安宅町を地盤としている。

八田知子県議:
今の時代は個々の票の積み重ねだと思っているので、地域の方にはご迷惑をおかけするかもしれませんけど、そこはきちんと訴えていけばいいかと思っています。

現在2期の八田県議。小松市では初めての女性県議だった。

八田県議:
女性議員も必要だよねっていうのをこの8年間で少しかもしれませんが浸透させてきたつもりなので、そこは自分の強みだと思って一生懸命お訴えさせていただきたいなと思っています。

自民党系の市議が次々と出馬表明

さらに今回の選挙戦、自民系の市議が複数名乗りをあげた。

吉田寛治市議:
中小企業の経営者として培ってきた経験と市議会議員としての4年間を地域の発展に活かしたいなという思いが抑えきれなくなった。

小松市のヨシダ自動車社長で小松市議1期目の吉田寛治氏(65)。

実は吉田市議、2022年に行われた参議院選挙では、参政党の候補者を応援していた。

このことをたずねると…

吉田氏:
僕は参政党ではない。若い彼が頑張ろうというその気持ちに対して、応援しようという気持ちに
なったということです。

吉田氏はこう話し、自分はあくまでも自民党員だと強調。自民党の党籍証明を県連に求めた。

さらに、立候補を表明したのは…

竹田良平市議:
脳性まひがあって右手と右足が障害があって、そういうことをオープンにすることによって共感していただける方もいるかなと。

同じ自民党の小松市議、竹田良平氏(33)。携帯電話会社の営業から4年前、小松市議に初当選し、県連の青年部幹事長も務めている。

竹田氏:
まず年齢が(他の候補と)少し違うのかなというところと、やはり障害者である、そういった議員っていうのも他の方を見たときには違うのかなと。

竹田氏も自民党県連に党籍証明を求めた。

この結果、定数4の小松市選挙区で自民党系だけで5人が出馬する異例の事態になったのだ。

自民党県連は役員会を開き、対応を協議。現職の福村県議と八田県議、さらに藤井県議の後継指名を受けた円地氏の3人を公認した。

残る市議2人について、県連は…

自民党県連 作野広昭幹事長:
党籍証明の2人の方は、(小松支部が)取り下げる意向を今ほど確認をいたしました。

このように述べ、市議2人については、党籍証明を出さない方針を決定した。

自民党5人に対峙する立憲民主党

一方、自民党に対峙する現職、立憲民主党の一川政之県議(49)。

一川政之県議:
今回、6人の方が手を挙げていますが、被災地のことを誰よりも考えているのは私だと思っています。

2022年8月、小松市を襲った豪雨で中海町の実家が被災した一川県議。

災害発生時一川県議:
今までになかったことですから本当に驚いています。こういった災害がこの地域で起こらないようにそちらの方もしっかりと力を込めてやっていかなければいけないと思っています。

唯一の非自民候補としてはもちろん、被災地の代弁者として県議選に挑む。

一川県議:
まだ復旧・復興までには相当な時間がかかりますから、やっぱり地元議員として改修事業が少しでも早く進むようにしっかりと取り組んでいかなければいけない。

4つの議席を巡り、現職と新人、与野党あわせて6人が入り乱れる小松市選挙区。北陸新幹線、県内全線開業を1年後に控え、選挙戦はヒートアップしそうだ。

石川県議会議員選挙は3月31日告示、4月9日は投票日だ。

(石川テレビ)

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