福岡・北九州市で年末と元日に相次いだ、無人販売の弁当店での窃盗事件。商品だけにとどまらず現金も持ち去った卑劣な犯行の一部始終を、防犯カメラが捉えていた。

カメラがとらえた 弁当と“現金”窃盗の瞬間

大みそかを翌日に控えた12月30日午後10時過ぎ、福岡・北九州市八幡東区にある無人販売の弁当店に設置された防犯カメラの映像。

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スマートフォンを耳に当てながら店にやってきた男。ポケットから財布を取り出すと、小銭を会計用の箱に入れているように見える。その後、弁当2個を袋に入れて立ち去った。

無人店舗でのありふれた光景のように見えるが、この店のオーナーは怒りをあらわにする。

「銀次郎のお弁当」恵山高志オーナー:
弁当は2つ盗って、100円玉、500円玉、あわせて2,000円くらいの被害があった

映像をよく見ると、男は小銭を箱に入れていると思いきや、逆に小銭を財布に入れていることがわかる。

その後、小銭の出し入れを繰り返すこと9回。防犯カメラが捉えていたのは、無人販売であることをいいことに、現金約2,000円と弁当2個を持ち去った卑劣な窃盗事件だった。

「銀次郎のお弁当」恵山高志オーナー:
もともとは空き店舗だったんですけど、コロナが始まって弁当を作って売ろうかと、業態をちょっと増やしたかたちでスタートした

コロナ禍で人手不足だったことから始めた無人販売店。再び盗まれる被害に遭うのを防ごうと、オーナーの恵山さんは対抗策に打って出た。
それは、犯人の男の顔を拡大して印刷したポスター。「これを見れば犯行を思いとどまるだろう」、そう思って店内に貼り出したのだが…。

“自分の顔”ポスター見つめるも現金盗み…「出来心で」

その2日後の元日の午後9時前。黒っぽいコートを着た男が店を訪れた。

前回現れた男と見比べてみると、服装は違うが、首の後ろに同じようなほくろがあるのがわかる。男は店内を物色したあと、購入すると見せかけるためなのか小銭を入れた。そして、慣れた手つきで弁当を袋の中に…。

しかし、次の瞬間…。
自らの姿が映ったあのポスターに気がついたのか、数秒立ち止まり、じっと見つめる。

しかし犯行を思いとどまることはなく、前回と同じように小銭をつかんで店をあとにした。

「銀次郎のお弁当」恵山高志オーナー:
(男を)追いかけていったというか、追跡したんですよね

実は、恵山さんは防犯カメラの映像をリアルタイムで監視していて、通報で駆け付けた警察とともに、店の近くで似た男を発見したという。

「銀次郎のお弁当」恵山高志オーナー:
呼び止めて、ちょこっと話して、警察官が「(弁当)盗ったでしょ?」と言うと、「はい。出来心で」と(男が答えた)

恵山さんは、事件の“後遺症”を隠し切れないでいる。

「銀次郎のお弁当」恵山高志オーナー:
窃盗犯がまた来るんじゃないか、いま来てるんじゃないか、ずっとその感覚がありますので、精神的に疲れます。とにかくやめてもらいたいですね

警察は窃盗事件として、この男から任意で事情を聴いている。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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