2021年に和歌山市で女性が死亡した事故。和歌山地方検察庁は、起訴できるだけの証拠がなかったとして、危険運転致死の疑いで逮捕された女性を不起訴とした。これに対し遺族は「不起訴は不当」として、検察審査会に申し立てを行った。

22歳の娘の命が奪われた事故 遺族の思い

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事故で亡くなった竹田汐里さんの父 竹田正義さん:
もし自分の家族で同じような立場になったら、普通にあると思っていたあしたがある日突然なくなったら、そういうことを考えていただいた上で判断していただきたい

竹田正義さんは、大切な娘を事故で失った。2021年7月、和歌山市の紀ノ川大橋近くの交差点で、50代の女性が運転する乗用車が、右折待ちの車に追突しました

乗用車はさらに対向車線にはみ出し、ミニバイクと衝突するなど、あわせて7台が絡む事故となった。この事故で、ミニバイクを運転していた当時22歳の竹田汐里さんが、頭を強く打ち亡くなった。

事故の1年ほど前から腎臓の病気で入退院を繰り返していたという汐里さん。症状が回復し、少しづつ外出できるようになった矢先の出来事だった。

汐里さんの父 竹田正義さん:
彼氏できて、絶頂期。今から、明日なにしよ。もう夢ばっかりやった。まさか自分の娘が、こんなことってあるんやな

運転者していた女性は「てんかん」の持病 逮捕されるも不起訴に

警察は、乗用車を運転していた女性が、持病の「てんかん」の発作で意識を失うおそれがある状態で運転したとみて、危険運転致死の疑いで逮捕した。警察などによると、ドライブレコーダーには女性の車が猛スピードで蛇行しながら走る様子が記録されていたということだ。

しかし、調べに対し女性は「てんかんの発作が起こったわけではない」と容疑を否認。2022年8月、和歌山地方検察庁は、起訴できるだけの証拠がなかったとして、女性を嫌疑不十分で不起訴とした。不注意で事故を起こした際に適用される、過失運転致死罪でも立件しなかった。

娘が亡くなった事実があるのに加害者がいない。それで済まされるのか

汐里さんの母 竹田典子さん:
うちの娘が亡くなったっていう事実があるのに加害者いないじゃないですかって(検察に)言ったら、まあそうですねっていうような感じだったんです。それで済まされますか 同じような事故でつらい思いをする人が出ないようにと、汐里さんの両親は1日、検察審査会への審査を申し立てました。申し立てについて、和歌山地方検察庁は…。

和歌山地方検察庁:
捜査は尽くしたが、どこまで納得してもらえるか。ご遺族が納得できないということで審査会に申し立てるのであれば誠実に対応する

過去に大阪地検で検事を務めていた中村和洋弁護士は「病気が原因」であり、「本人がそれを自覚している」ことを明確に立証する必要があると話す。

元大阪地検検事 中村和洋弁護士:
てんかんによって意識に影響を与えたのか、運転に影響を与えたのか、これは慎重に捜査をする必要がある」「医師なり専門家なり本人なり、周辺の家族なりから事情聴取をしたり、また専門的な検討を加えれば、おのずと明らかになってくるので、必ずしも過失が問えないということにはならないと思います

亡くなった女性の両親は、真実を知りたいと願う

なぜ事故が起こったのか、汐里さんの両親は真実を知りたいと願っています。

汐里さんの父 竹田正義さん:
パパは、毎日一生懸命頑張って、汐里の分まで生きるから、応援してねっていうことだけ伝えたいです。まだまだ解決になっていないので、ぜひとも検察審査会の方に訴えてほしいです

両親の切実な願いに、検察審査会は、どのような判断を下すのか。

(関西テレビ「報道ランナー」11月1日放送)

関西テレビ
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