2020年、福岡市の人気ラーメン店で発生した2人組による窃盗事件を巡り、別の事件で逮捕されていた33歳の男が書類送検されていたことが分かった。実はこの男、福岡県内で数々の盗みを重ね、度々ニュースになっていた人物だった。
「未解決窃盗事件」にも関与 防犯カメラにかず犯行の一部始終
10月19日の福岡地裁1006号法廷。廷内に現れた黒いジャージ姿の男は、これまで6度にわたって窃盗や建造物侵入の罪で起訴された、荒巻悟志被告（33）だ。
裁判官：
起訴事実について間違っているところは？
荒巻被告：
間違いありません
実はこの荒巻被告、かつて報じられた「未解決窃盗事件」にも関与していたとみられることが、取材で分かった。
事件が起きたのは2020年12月、現場は福岡市城南区の人気ラーメン店。
防犯カメラの映像には、午前3時半頃、すでに閉店した店に1台の車が入って行く様子が捉えられていた。その約20分後、店内に2人組が侵入した。この2人のうちどちらかが、荒巻被告とみられている。
1人は画面奥から金庫を滑らせるように運び、もう1人はレジを物色。しかし開けることを諦めたのか、レジを強引に引っ張り、地面にたたきつけ、落ちたお金を拾い集めている。金庫などを盗んだ荒巻被告とみられる人物と、その共犯者は現場を後にした。
店内に侵入してから走り去るまでに要した時間は、わずか3分あまり。金庫の中身は、現金約26万円と、未決済のGoToイートキャンペーンのクーポン24万円分などだった。
そして犯行の数時間後、盗まれた金庫は、店から5kmほど離れた公園で、扉をこじ開けられた状態で発見された。
ガラスを割り大胆に侵入…共犯者の行方を捜査中
荒巻被告による被害は、中央区赤坂にある酒の買い取り店でも発生している。
事件があったのは2022年3月。「ガシャン」と割られた店のガラスから、大胆に侵入してきた2人組。このうち1人が荒巻被告とされている。
荒巻被告らはテーブルにのぼり、高価な酒が並ぶ棚を物色し始めたのだが、防犯カメラの映像には「空ばかり」とつぶやく犯人の姿が捉えられていた。店側は防犯対策で、高額の酒については商品を入れず、空き箱だけを並べていたのだ。
店内に防犯アラームが鳴り響く中、焦った荒巻被告らは、棚の下側にあった1本約8万円のブランデー2本を盗んで逃走した。
そしてこの酒店窃盗事件を起こしたまさにその4時間後、荒巻被告は別の窃盗事件に関与した疑いで御用となった。
テレビ西日本報道部のまとめによると、荒巻被告が関与したとされる事件は、分かっているだけで2020年12月以降、県内7カ所で発生。被害額は合計で270万円を超えている。
「生活費を稼ぐため盗みを働いた」と話している荒巻被告。テレビ西日本が報じたラーメン店の窃盗事件についても、警察は10月12日、荒巻被告を窃盗容疑で書類送検した。
荒巻被告を巡っては、他にも余罪が複数あるとみて警察は全容解明を進めるとともに、いまだ検挙に至っていないラーメン店窃盗事件の共犯者の行方を捜査している。
（テレビ西日本）
