興行収入が156億円を突破(9月25日時点)するなど、記録更新が続く映画「ONE PIECE FILM RED」。歌い手Adoが歌う主題歌「新時代」が、日本の楽曲としては初の世界1位に輝くなど、大きな反響を呼んでいます。

世界を熱狂させるその世界観とは?めざまし8は、Ado本人を直撃取材しました。

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さらに“ウタ現象”の仕掛け人、集英社 ワンピース原作メディア担当編集者の高野健氏を取材し、「ウタの歌」誕生までの舞台裏を聞きました。

“ウタ現象”の仕掛け人が語る「ウタの歌」

大ヒット上映中の「ONE PIECE FILM RED」。

これまでのワンピース映画歴代最高記録は、2012年公開の「ONE PIECE FILM Z」。最終興行収入68億7000万円でしたが、今作品はその記録を公開わずか10日間で塗り替え、公開51日間(=9月25日)で、156億円を突破しました。

今作の誕生のきっかけを、原作・尾田栄一郎先生は「映画で伝説のジジイ描くのもう疲れたんだよ!笑 ちょっと女子描かせてくれ!」と語っています。

そこで作り上げられた、今回のヒロイン「ウタ」、「歌を通じて世界を幸せにしたい」と願う世界の歌姫です。

「ウタ」を作るにあたり、「作るならば本物の“歌姫を”」という思いから、声を演じるキャストと、歌を歌うキャストをそれぞれ別のキャストが担当する「Wキャスト」にし、声の出演は声優・名塚佳織、そして歌唱キャストとして、歌い手Adoを起用しました。

先にAdoの歌が収録され、名塚氏はAdoの「歌」から「ウタ」の声を当てていったといいます。

たくさんのアーティストの中から、なぜ「Ado」は選ばれたのでしょうか?

集英社 ワンピース原作メディア担当編集者・高野健 氏
やはり歌声の特徴ですよね。一度聞いたら忘れられないというか、“世界の歌姫”と我々ウタのことを言っている位なので、それに見合う素晴らしい歌声で、満場一致で決まりました。

そんなAdoに託された曲は、全部で7曲。7曲全てに豪華アーティストが集結しました。

映画の主題歌でもある「新時代」は、Perfumeなどを手がける音楽家の中田ヤスタカ氏が楽曲を提供。

劇中歌のひとつ「私は最強」を提供したのは、めざまし8のテーマソングも歌っているMrs. GREEN APPLE。ボーカルの大森元貴氏が作詞作曲し、さわやかでポップな曲調となっています。

他にも、秦 基博さんが手がけた「風のゆくえ」など、今をトキメク“有名アーティスト”ら7組が参加。アニメ映画の劇中歌としては、異例ともいえるラインアップとなっています。

楽曲提供者の選定について、高野健氏は…

集英社 ワンピース原作メディア担当編集者・高野健 氏
これは僕と尾田さんと監督の3人でよく話し合って、この曲にはこういう人がいいのではないかと、決めさせていただいた形です。元々監督からこういうシーンで使う楽曲のラインアップみたいなのを、もらっていてそれぞれの楽曲のアーティストの皆様には「こういうシーンで歌うんですよ」というのは伝えてはいたんですけど、基本的には自由にやってくださいと話していたので、本当にアーティストの皆様の解釈でウタの“歌”は1曲ずつできているという感じでございます。

「何回もくじけそうになりました」歌い手Adoが“ウタ”に…「ウタの歌」誕生秘話

「Adoです。よろしくお願いいたします」

めざまし8の取材に答えてくれたのは、歌い手「Ado」。

「Adoさんの声ですね?」と興奮する倉田アナウンサーに笑いも交えながら「はい、本物です」と返します。

――映画の主題歌でもある新時代が世界で1位になりました

Ado
ああ、もうすごい。いや、もうなんとなんと…という、驚きの事実ですよね(映画で)世界の歌姫と描かれていたものが、私たちの世界、「現実世界」でも本当に世界の歌姫になっていて、こんなにもアニメーションと現実がリンクすることってなかなかないなと思っています。

――「ウタの歌」の世界観について

Ado
ありがたく主題歌を担当させていただけるのかな、と思ったら7曲という、すさまじい曲数を担当させていただけると。歌唱という形で“ウタ”というキャラクターに命を吹き込むという経験というので、本当に驚きました。「うっせぇわ」はじめ、結構パワフルなものを今まで歌ってきたので、もう“歌姫”じゃなくて、“破滅の悪魔”みたいな方が似合うと思うんですけれども…。今までの歌姫という肩書の少女たちが、やってこなかったことをしたいなというか。歌姫と言ったら程遠い存在、本当に女神様のような印象が多いと思いますが、結構ネガティブな感情も大きく出してくる少女なので、だったらそこは全力でやりたいなという。「歌姫だけど、いかに人間らしく歌えるか」というところでしょうか。

“歌姫”だけど“人間らしく”を歌に乗せたAdo。

レコーディング時の“苦労”も話してくれました。

Ado
ひとりでスタジオに入って、自分で考えながら録音するという、Adoのいつもの制作スタイルで録ったのですが、これは果たして客観的に聞いた時に「ちゃんとウタになれているのかな」とか。いざ皆さんに聞いていただくってなった瞬間はすごく緊張しました。『ウタカタララバイ』は、ラップパートがあって、まず「歌姫がラップ!?」っていうのも驚きました。もう「私これできるかしら」と思って…レコーディングの最中も、何回もくじけそうになりました。ラップなんて私は本当に経験したことがなかったので、自分の中のまだ知らなかった歌い方やテクニックが、無理やりにでも引き出せたのかなと思いますね。本当に素晴らしい経験をさせていただきました。

“あの”有名ダンサーも挑戦!?ヒットの要因“ウタのダンス”

国内外で大きな反響を呼んでいる「ウタの歌」。

歌い上げたAdoの歌唱力はもちろん、公式HPで公開されている、楽曲ごとにウタが踊るダンスも話題となっています。

振り付けを担当したのは、演出振付家MIKIKOさん率いるダンスカンパニーELEVENPLAY(イレブンプレイ)。モーションキャプチャーを使い、振り付けをリアルに再現しています。

ウタのダンス動画を見た人たちが「自分も踊ってみよう」と“踊ってみた”動画をSNSに投稿、ダンスの拡散と同時に楽曲の認知度も急上昇、“ウタ”人気に火がつきました。

そして…皆さんご存じの“あの”ダンサーもウタのダンス踊っていました!

めざまし8のスタジオに「新時代」と共にモニターに映し出されたのは、永島優美アナウンサーの「新時代踊ってみた」動画。

突然の事態に驚きながらも、永島アナウンサーはダンスを覚える際、公式のダンス動画が練習しやすいように反転してあることに感動したといいます。

このダンス動画への反響が、今回の大ヒットにもつながっているのでしょうか?

集英社 ワンピース原作メディア担当編集者・高野健 氏
そうですね、やはりSNSでバズってほしかったので。歌ってみた、踊ってみた、弾いてみたとか、まず皆さんがしていただけるように我々も準備しました。

これからも拡大し続ける“ウタ現象”から目が離せません!

(めざまし8「わかるまで解説」9月30日放送より)