保護され、新しい家族に出会って元気に過ごす犬や猫もいる一方、引き取り手が見つからず殺処分されるケースも少なくない。1つでも多くの命をつなげたいと活動する人たちがいる。

殺処分の割合は71% 譲渡会で新しい家族のもとへ

好奇心旺盛でやんちゃなジローと、少し臆病で慎重派のイチロー。2匹の猫は新しい家族のもとへやってきた。イチローとジローは生後1カ月くらいのとき、長崎市の住宅地で保護された。

新しい家族のもとにやってきたイチローとジロー
新しい家族のもとにやってきたイチローとジロー
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猫のお世話係 pupiko:
溝の中で薄汚れていたので捕まえて…という感じだったみたい

まずは2週間、一緒に過ごして飼い主との相性を確かめ、生活環境を整えて正式に迎える準備をする。

譲り受けた女性:
責任感とかも必要だし、ただかわいいというだけじゃ育てるのも難しいと思っている。心を開いてくれればなと思います

2匹と新しい家族との出会いは譲渡会だった。NPO法人「長崎わんにゃん会」が毎月開催し、個人のボランティアも参加していて、会場には50人以上が訪れた。

毎月開催されている保護犬や猫の譲渡会
毎月開催されている保護犬や猫の譲渡会

「長崎わんにゃん会」は2021年の1年間で、保護された犬や猫の約50匹を新しい家族につないだ。

代表を務める木口麻理央さんは、仕事の傍ら15年ほど前に会を立ち上げ、県内で犬や猫の保護活動をしている。

NPO法人 長崎わんにゃん会 木口麻理央理事長:
捨て犬・捨て猫について、15~16年前は自分も何も知らなかった。年間1万匹、長崎県だけで殺処分されている現状を見てびっくりした

保健所で保護されたものの引き取り手が見つからない犬や猫は、殺処分される。長崎県によると、木口さんが活動を始めたころ、県内で殺処分された犬や猫の数は1万4680匹(2005年度)。

2020年度は1953匹と7分の1以下まで減ったが、殺処分の割合は71%と、全国で最も高くなっている。

人に慣れていない犬をしつけ…命を守る

ペットブームが続く一方で飼育放棄は後を絶たず、飼い主が高齢などを理由に引き取ってほしいと相談するケースも増えている。

人に慣れていない野犬が多く、里親との出会いが少ない離島では、問題はより深刻だ。九州の玄界灘に浮かぶ長崎県の離島・壱岐市で殺処分される犬は、県内全体の半数にのぼっている。

長崎わんにゃん会は県と連携し、壱岐保健所が引き取った犬を県本土に送り出す仕組みを作った。

県民生活環境部 生活衛生課 石川樹生主任技師:
より譲渡されやすい環境に連れてくることで、譲渡するチャンスを増やす。お互い助け合える形をつくっていきたい

NPO法人 長崎わんにゃん会 木口麻理央理事長:
殺処分ゼロを目指すといっても、収容された犬や猫だけの数字。捨てられている犬や猫はカウントされていない。一般譲渡が難しい病気だったり、かむ犬や猫を引き受けている。一般家庭に行ってしつけがちゃんとできなかったら、問題ある犬や猫として戻されたり捨てられたりすることもある

長崎わんにゃん会では、人に慣れていない犬を一時的に預かり、トイレなど簡単なしつけをしている。

NPO法人 長崎わんにゃん会 木口麻理央理事長:
なるべく収容されないように努めることは大切だが、それ以上に、どうしたら捨てられないような環境を作るか

里親には月に一度の近況報告のほか、避妊や去勢の手術を受けた証明書の送付などを譲渡の条件としている。

NPO法人 長崎わんにゃん会 木口麻理央理事長:
犬の幸せだけ願っていても一緒。里親さん家族が、どう譲渡した子に向き合ってくれて、その子と一緒にどう楽しく過ごせているか

長崎県内では地域ぐるみで犬や猫の問題に取り組んだり、個人で活動を続ける人もいる。木口さんは「活動の関わり方もいろいろあるので、保護された犬や猫の情報拡散やペットフードの物資支援など、一人一人ができることから始めてほしい」と話す。

今、飼うべきなのか。十数年先も向き合えるのか。立ち止まって考えることも、理不尽に殺される命を1つでも減らすことにつながる。

(テレビ長崎)