2020年度に長崎県内で殺処分された犬は425匹、猫が1528匹で、これらの引き取られた犬と猫が殺処分された割合は71%と、全国の都道府県で最も高い割合になっている。

特に長崎市内では、街を歩けば野良猫に出会うことが珍しくない。安易にエサを与えることが繁殖につながり、子猫の殺処分数が増えてしまう。こうした現状を改善しようと、行政だけでなく民間企業も支援に乗り出した。

保護犬・保護猫と里親をつなぐ譲渡会

長崎県伊王島にあるリゾートホテル「i+Land nagasaki(アイランドナガサキ)」。2匹の保護犬が2022年4月、お客さまを迎える“ワンシェルジュ”として入社した。

フィルとルーチェは、島原市の山中で動物保護団体に保護された。「フィル」は糸、「ルーチェ」は光を意味していて、ホテルで開かれる譲渡会で、保護犬と里親をつなぐ存在になってほしいという願いが込められている。2匹には、殺処分率の高い犬や猫を救うための活躍が期待された。

フィルは糸、ルーチェは光という意味 保護犬と里親をつなぐ存在にと願いを込めて
フィルは糸、ルーチェは光という意味 保護犬と里親をつなぐ存在にと願いを込めて
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そして、保護犬と保護猫の譲渡会当日。

スタッフ:
猫のいいところはトイレのしつけが要らない。砂を置いておくと、習性でしてくれる

初めての譲渡会には、保護猫10匹と保護犬5匹が参加した。ホテル側とNPO法人「長崎わんにゃん会」、そして個人のボランティアによる共同開催だ。

スタッフ:
猫は男の子のほうが結構、甘えん坊が多いですかね。エサはイリコ派です

お客さん:
いいやん

里親には誰でもなれるわけではない。飼育放棄や飼い主の健康悪化、虐待目的での引き取りなど、実際に起きた過去の事例を教訓にしながら厳密な規定が定められている。また、長崎わんにゃん会のルールでは、犬を引き取ることができる里親の年齢は45歳まで。猫の場合は50歳までだ。

ほかにも多くのルールがあり、申し込んだあとは実際に飼う環境の確認やマッチングを経て、ようやく里親になることができる。

「興味を持ってもらうのが第一歩」ボランティア制度も

女性客:
17年間、犬を飼ってました。高齢なので飼えるかどうか。飼いたいという気持ちだけではね

この夫婦は、保護犬の世話をするシニアサポーターという制度について熱心に話を聞いていた。継続が難しくなった場合は、いつでも長崎わんにゃん会に戻すことができるという制度だ。

NPO法人 長崎わんにゃん会・木口麻理央理事長:
ボランティアとして犬種は選べないけど、預かってもらってお手伝いしてくれる方が増えると、命が繋がるし、その方たちも安心して暮らせる。ケージの中の犬を眺めるだけでなく、実際に触れたり散歩したりすることで、相性を確かめられるのが譲渡会の利点です

女性客:
事前にインスタグラムもあるって聞いて、見たら、サムさんが可愛かったので。会いに行ってみたいなと思って。保護犬は怖がりの子たちがいるので、娘にも叫んだり走り回ったりしないよう約束して連れてきた

i+Land nagasaki​ 宿泊支配人・宮崎順子さん:
こういう形でホテルの中で行うことで、気軽に多くの方に興味を持ってもらうのが、まず第一歩。保護犬、保護猫の状況を知って頂いて、1匹でも多くのワンちゃんたち、ネコちゃんたちに里親さんが見つかればと思って開催しています

動物を飼うことは、人間がその動物の命を預かるということ。可愛いからだけではなく、責任がともなうことを忘れてはならない。今後、ホテルでは可能な限り毎月、譲渡会を開催していく考えだ。

(テレビ長崎)

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