福井県内では9月14日から、新型コロナウイルスの陽性者全員の詳しい情報を医療機関が保健所に報告する「全数把握」の見直しが始まった。現場の負担を減らすのが狙いだが、実態はどうなったのかを調べた。

減らない仕事量…"見直し"は「報告を簡略化しただけ」

福井市にある田中病院。新型コロナの入院患者の受け入れや発熱外来を担っている。第7波のピーク時に比べると、最近は患者数が減少している。田中章善理事長は「看護師ら職員の感染も落ち着いている」と話す。

9月14日から福井県内でも「全数把握の見直し」が実施された。ただその効果については…

田中病院 田中章善理事長:
業務量が全く変わらないわけではないが、大きく仕事が減るわけではない

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県から医療機関に示された「発生届」の記入用紙。左側が重症化リスクのある対象者用、右側はそれ以外の人の用紙となる。重症化リスクのない人でも、報告内容は10項目にのぼる。医療機関からみると報告様式に大きな変化はみられず、仕事量は「劇的に減っていない」という。

田中病院 田中章善理事長:
全数把握を止めたというのは、感染者数を全て数えないのではない。報告は全てする。特定の人を除き、報告を簡略化したというだけ

「往診チーム」派遣は非現実的

そもそも「全数把握」の見直しは医療機関の業務を減らし、その余力で治療が必要な人に医療を届けるというのが大きな目的だった。今回の変更で、その目的は達成されているのか?

例えば、福井県には集団感染が発生した高齢者施設に医師や看護師らの「往診チーム」を派遣するシステムがある。ただ、現時点で運用するめどは立っていない。

田中病院 田中章善理事長:
今までと基本は変えず、仕事を少し減らそうということ。全数把握を見直すことで、さらによくなるということではない。人材を派遣できる余裕はない。一般病院から医師らが出向くというのは、人員的な問題もあり、現実的には難しい。医師会でも議論している

(福井テレビ)