新型コロナウイルス感染拡大から2年が経過し、マスク着用は日常の光景となった。
感染予防に効果がみられる一方、口の中に悪影響が生じるリスクも潜んでいる。病気や歯の健康を守るため、歯科医師にマスク時代の新しい対策を取材した。

マスクで口呼吸になる人…虫歯、歯周病リスクにつながる恐れ

マスク生活が続くことで、以前と比べて口内環境への意識は高まっている。
県民に聞くと、「歯に関してはすごく気を付けている。なんとなく口の中がねばつく感じがあるので、お茶などをよく飲むようにはしている」「意識して、うがいするようになった」との声が。

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「口の水分量が少なくなっていると聞くので、歯には悪いのかな」と、漠然とした不安も聞かれた。

実際、マスクは口の中にどんな影響を与えているのか。
県歯科医師会の荻原浩樹理事は、「乾燥」のリスクを指摘する。

県歯科医師会・荻原浩樹理事:
マスクをしていると息苦しいので、鼻より口で呼吸をする人が非常に多い。口で呼吸をすると、口腔(こうくう)内が乾燥しやすい。口の中が乾燥すると、虫歯や歯周病のリスクが高くなる

なぜ乾燥すると虫歯になりやすいのか?
それは、唾液に免疫物質が含まれていて、口の中に入る病原菌を“退治”してくれるから。唾液には感染症の予防効果があるという。
ただ、口内が乾燥して唾液が減ると、虫歯、歯周病などのリスクが高まる。

唾液を増やすことが予防の鍵となる。その方法を教えてもらった。

県歯科医師会・荻原浩樹理事:
耳の下のところに大きな耳下腺という唾液腺があるので、そこをぐりぐりと10秒間くらいマッサージすると唾液が出やすくなる。顎下にも唾液腺があるので、同様に10秒間ぐらいマッサージする

口呼吸は子供の歯並びに悪影響も

口呼吸はこのほか、歯が成長中の子供に悪影響を与えるリスクもある。
ここでクイズ。その影響とは次の3つのうちどれ?

1.歯並び
2.歯の大きさ
3.歯の強さ

正解は1の歯並び。

県歯科医師会・荻原浩樹理事:
ずっと口を開けていると、上唇で前歯を支える時間が減る。子供は舌圧で歯が前に移動する可能性があり、出っ歯になるなど歯並びが悪くなりやすくなる

このほかマスクを着用することで、子供たちの歯のケアもおろそかになっているという。特に学校では注意が必要だ。

県歯科医師会・荻原浩樹理事:
(密集を避けるため)学校の昼休みに食後の歯磨きができない状況。学校での歯科健診で、歯に汚れがついているとの指摘が目立つようになっている

歯科医師がすすめる正しいブラッシング法

歯のケアは自分で意識し、変えることができる。そこで、歯科医師がすすめる正しいブラッシング法を教えてもらった。

1.歯の表面を全てきちんとこする

2.奥歯の細かい溝などは歯ブラシを細かく動かす

3.前歯の裏側は歯ブラシを立てて、上下に細かく動かす

4.歯と歯の間は歯間ブラシを使う

県歯科医師会・荻原浩樹理事:
歯ブラシを1日3回きちんと使う。マスク着用中でも口を閉じて、口の中が乾燥しないような状態を保つということを気を付けてほしい

(福井テレビ)

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