8月24日に京セラドーム大阪で行われた阪神タイガース戦で、プロ野球史上8人目となる200セーブを史上最年少で達成したDeNAの守護神・山﨑康晃(29)。

通算200セーブを達成し、記念撮影するDeNA山﨑康晃=8月24日京セラドーム大阪
通算200セーブを達成し、記念撮影するDeNA山﨑康晃=8月24日京セラドーム大阪
この記事の画像(21枚)

「今日もお姉ちゃんから連絡あってですね。『お母さん絶対喜んでるよ』って話もあったし、会いたいですし、夢でも会いたいなと思ったりしますけど、『素晴らしい1日になった』と報告したいですね」

偉業を達成した山﨑の口から出てきたのは、家族への思いだったー

母・ベリアさん(左)とお姉さん(右)との写真
母・ベリアさん(左)とお姉さん(右)との写真

入団後5年で二度セーブ王もスランプに

ルーキーイヤーから5年間、守護神としてチームを支え、二度のセーブ王を獲得した山﨑

'15年 37S 新人王
'16年 33S 
'17年 26S
'18年 37S 最多セーブ
'19年 30S 最多セーブ

しかし2020年になると、セーブ機会で度重なる失敗。

ついには守護神の座を外され、2021年もそこに戻ることはできなかった。

「球場に本当に行きたくないなっていう気持ちになった時もありましたし、マウンドに立っていてやるせないというか」

入団から昨季までの山﨑を三浦大輔監督はどう見ていたのか。

DeNA三浦大輔監督
DeNA三浦大輔監督

DeNA三浦大輔監督:
(入団したときは)困ったらツーシームっていうのが通用しましたけど、ここ数年通用しなくなっていて。それとやっぱり真っすぐが走らなかったというのが一番大きなことだと思うんですけどね。ヤスがクローザーやりたいっていう、クローザーにかける思いは知っていますけれども、任せるっていうところまでには至らなかったというところで。

スランプの山﨑を支えた母・ベリアさんの存在

そんなもがき苦しむ山﨑を支えてくれたのは、プロ初セーブの時も見守ってくれていた母・ベリアさんの存在。

母・ベリアさん:
いつもいい恩返しをしてもらっているので、体にだけは気をつけてもらいたいですね。頑張って欲しいですね。これから。

女手ひとつで育ててくれた母・ベリアさん。

「一番の本当にファンだと思っていますし、力になるっていうか、力の源でもあったので」

苦しむ息子に母は“ある言葉”を贈っていた。

「『努力は買ってでもしなさい』という言葉をずっと言われてきました」

努力は買ってでもしなさいー

決して優しくはないこの言葉には、息子の成長を願う母の思いが詰まっていた。

「『そういう努力って大人になったら中々できないよ』っていう話をしてもらったんですよね。僕がつらいなと弱音を吐く度に『努力はお金を払ってでもずっとし続けなさい』と」

山﨑は母・ベリアさんの言葉を胸に…

しかし、その言葉はもう二度と聞くことができない。

2021年のシーズンオフ、10月に母・ベリアさんは51歳という若さで天国へと旅立ったのだ。

時に歯を食いしばる日々が続いても、山﨑は母の言葉を胸に自分自身と向き合い続けた。

迎えた2022年ー

「目標としてはアウトローのストレートの原点を磨きなおすというところで、強く覚悟を持ってこのキャンプに臨んでいる」

キャンプでは、原点に返るためアウトコースのストレートを磨いた山﨑。

DeNA三浦大輔監督:
今年はそのストレートの走りが全然違いますし、最終的にはシーズンに入る直前ですよね「クローザー今年任せるから」という話をしました。

守護神の座に返り咲いた山﨑。今シーズンの活躍は“あの言葉”があったからこそ。

同じ亜細亜大学出身で、プロ入り後も山﨑の投球を受けることの多い嶺井博希はー

DeNA嶺井博希捕手
DeNA嶺井博希捕手

DeNA嶺井博希捕手(31):
どんどん力で押せますし、(ストレートの)質が良くなったなっていう印象は受けますね。

6月29日。今シーズン初めてのヒーローインタビューでは、
「ここ2年、本当に悔しい時期を送ったんですけど、またこうしてこういう景色を見られて、またクローザーに戻れて本当によかったなと思ってます!」
と“定位置”のクローザーに復活できた喜びを語っていた山﨑。

チームメートからはこんなエピソードもー

DeNA今永昇太投手
DeNA今永昇太投手

DeNA今永昇太投手(29):
ピッチャーミーティングでも前に出て発言してくれたりとか、いろんな声掛けをしてくれて、選手が試合に臨みやすいような環境を裏で作ってくれている感じがします。本当にみんなから絶大な信頼を得ているのかなと思います。

横浜DeNAベイスターズ公式Twitterより
横浜DeNAベイスターズ公式Twitterより

山﨑にはもう1つ、母からもらった大きな武器がある。

「僕はお母さんから本当にいいものを授かったなと思ってますし、この強い体でプロ野球生活を送れているというところは母に一番感謝している部分」

プロ入り後どころか野球人生において大きなけがが一度もない山﨑。
毎年40試合以上の登板を重ねている。

ロッカーの写真とネックレスの秘密

そして感謝の思いはいつも試合前に思い出している。

ロッカーに飾ってある1枚の写真。

山﨑選手のロッカーには母・ベリアさんとの写真が飾ってある
山﨑選手のロッカーには母・ベリアさんとの写真が飾ってある
写真にはマウンドに手を添える母・ベリアさんとそれを見つめる山﨑の姿が…
写真にはマウンドに手を添える母・ベリアさんとそれを見つめる山﨑の姿が…

「コロナが始まる前、球場にサプライズで呼んで…この写真はずっとロッカーに飾ってます。『どこかで応援してくれているんだ』って思えるように、一緒に戦っている気持ちで頑張っていきたいなと思いますね」

山﨑が身に着けているネックレスは、元々はベリアさんが着けていたものだという。

 
山﨑は母・ベリアさんのネックレスを身につけている
山﨑は母・ベリアさんのネックレスを身につけている

“チームのリードを守る”守護神に完全復活した山﨑康晃。最終回のマウンドに上がる山﨑は母・ベリアさんと共にいる。

『S-PARK』旬なネタをどこよりも詳しく!
9月3日(土)24時35分から
9月4日(日)23時15分から
フジテレビ系列で放送