安倍元首相銃撃事件をきっかけに過去の旧統一教会問題が浮かび上がった。BSフジLIVE「プライムニュース」では、自民党の萩生田光一政調会長を迎え、旧統一教会問題や、政策の展望について田﨑史郎氏とともに伺った。

安倍氏銃撃時、菅前首相に萩生田氏は「行ってあげて」

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反町理キャスター:
国葬の調整が進む中、8月25日が安倍元首相の四十九日。銃撃の一報はどこでどうお聞きに?

萩生田光一 自民党政調会長:
議員会館に戻る車の中で。本当にびっくりして、早い段階で心肺停止という情報が出たので、祈るような思いだった。

反町理キャスター:
ご遺体とお会いになったのは戻ってきてから。菅前首相のようにすぐに奈良に行った人もいた。

萩生田光一 自民党政調会長:
私も奈良に行きたかったが、現職の閣僚であり、選挙期間中でもあった。実は菅前総理から「行っていいか」と連絡があり「行ってあげてください」と。新幹線の手配などはうちの事務所がした。安倍さんは寂しがり屋だから、誰か行ってあげようという話で。

萩生田氏「一線を画す=今後教団の皆さんと付き合わない」

新美有加キャスター:
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の関連団体と政治家との関係について視聴者の方からの質問。「今後旧統一教会と一線を画し適切に対応すると表明されたが、その理由は。また祝電を送ることや会合への出席に、議員として法的な問題はあるか」。

萩生田光一 自民党政調会長:
「一線を画す」とは、「今後教団の皆さんとのお付き合いはしない」ということ。他方、世界平和女性連合は国連NGOのボランティア団体で、その方が信者かどうか私にはわからない。その意味で「適切に対応していく」。私の中では旧統一教会ではなく女性連合の皆さんとの付き合いだったが、つながっているという指摘に対しては反省しなければ。その意味で、今後関係は持たずに政治活動をやっていく。祝電などを打つことは、法律的には何ら問題はないと思う。

反町理キャスター:
メディアが流す中には、萩生田さんから見て間違いだという情報も多く流れているのでは。

反町理キャスター(左)、萩生田光一 自民党政調会長
反町理キャスター(左)、萩生田光一 自民党政調会長

萩生田光一 自民党政調会長:
今やどの社が何を言ったか確認しきれない状況。例えば、週刊誌報道の「浪人中に毎月2回礼拝に出ていた」は事実でないと今までも申し上げてきた。一部は抗議してテレビ局からも謝罪を受けたが、放送されてしまえばどうにもならない。その意味で辛い思いはある。

反町理キャスター:
世界平和女性連合からは選挙応援も受けてきたが、この人たちとの関係も断つのか。二階元幹事長は「選挙で応援してくれる人をこちらからは選べない」と述べたが。

萩生田光一 自民党政調会長:
少なくとも、女性連合の皆さんと過ごして政策をゆがめられるような要求を受けたことはない。私から無理を言ったこともない。地元での市民と政治家の関係だったと思う。選別はすごく難しい。市民の皆さんの信仰・政治信条は自由で、私が「あなたの応援は要らない、あなたは応援してくれ」と言うことはあってはならない。今回の話は、今問題になっている教団との関係を断つことを明確にすること。

政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏:
報道の流れの中で信教の自由が飛んでしまっている。憲法20条で保障された何人にも認められている権利。どの宗教団体の方であれ、選挙を応援する自由はある。一方、政治家の側からは、実際にはその応援を断る自由はない。「あなたはこの宗教団体だから応援はいらない」とは言えないと思う。

反町理キャスター:
伊木隆司米子市長のフェイスブック投稿の抜粋。「旧統一教会の米子市内の施設で開催された集会に過去2回来賓として出席しあいさつをした。市長という立場は、市民であれば話も聞くし、市政報告を求められれば行うこともある。悪質な商法が問題なら消費者契約法に基づいて適切に司法の手続きが行われるべきで、現時点で何らかの措置がとられていない以上、問題はないと考える」。

政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏:
この1カ月ちょっと、出てきた情報の方へ国民の7〜8割が動いてしまっている感じ。やっと対置する論理が出てきた。市長さんは非常に勇気がある。正しいかどうかは価値判断の違いだが、こういう意見についても私たちは考えなければ。

自民党はガバナンスコードを改定、被害者救済に政府と連携

反町理キャスター:
自民党としてガバナンスコード(行動指針)を改定すると。対象は旧統一教会や関連団体だけに絞るのか。宗教団体やその他業界団体なども多いが、問題がある団体とは何か。またいつまでに対応するか。

萩生田光一 自民党政調会長:
幹事長室で調整しており、現時点では、社会的に問題を指摘されている団体としか申し上げられない。党として付き合うことがふさわしいかどうか。だらだら進めてはならず、迅速な対応をすると思う。

反町理キャスター:
野党も巻き込んだ方がよいとはならないか。

政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏
政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏

政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏:
野党にも旧統一教会との関係で似た部分があるが、野党は自民党を攻撃する材料を持っていたい。国会でこの問題はある程度続く。彼らがこの問題追及で本当にやりたいのは、安倍さんの評価をできるだけ下げることだと思う。

新美有加キャスター:
被害者救済についての言及も。茂木幹事長は「政府として被害を検討して、消費者庁などから実態や問題点を明らかにすべき」と述べ、岸田首相も会見で政府の対応について発言。党の対応は。

萩生田光一 自民党政調会長:
被害者の方の不安に寄り添った対策が必要。また葉梨法相のもと、政府の連絡会議が始まっている。今まで法律の専門家に話を聞く機会がなかった人たちに窓口を開く準備をしている。連携しながら、党としてすべきことを見ていく。

反町理キャスター:
霊感商法と呼ばれるものは、被害を受けたとされる本人が被害の実感を持っていないのでは。どう問題としていくか。

萩生田光一 自民党政調会長:
心理的不安につけ込んで惑わせ、結果として買わせる、あるいは高い金額を払わせることについて法律に定義がある。

防衛予算は緊急度を整理して積み上げ、必要なら国債も財源に

萩生田光一 自民党政調会長
萩生田光一 自民党政調会長

反町理キャスター:
政調会長就任時に外交・安全保障の話をした。先日概算要求が出て、防衛費は5.5兆。事項要求を積み上げれば1兆ほどになり、6.5兆が見えているとの意見もあるが。

萩生田光一 自民党政調会長:
国を守る抑止力を高めるために、今すぐに、来年には、5年後までには何がそれぞれ必要か。与党としても金額ありきではなく、説明しながら積み上げていく必要がある。

反町理キャスター:
安倍さんは番組出演時に、防衛費は積み上げではない、必要なものを要求するのが今回の防衛費だと話した。また国債を財源とすればよいという考えだったが。

萩生田光一 自民党政調会長:
積み上げて6〜7兆円では足りないとなることが心配。急ぐこと、落ちついてすべきことを整理する必要がある。霞が関も国民の皆さんも、現実問題として危機の接近を肌で感じている現在、必要ならば柔軟な対応で国債も財源として考えていかなければ。

政治ジャーナリスト 田﨑史郎氏:
物価高の割に賃金が上がっていない問題もある。10月に開かれるだろう臨時国会に補正予算を提出する考えは。

萩生田光一 自民党政調会長:
岸田総理がGX(グリーントランスフォーメーション)や子ども庁、防衛費を含め、来年度に向けて大きく日本の形を変えようと示し始めている。時間的には非常にタイトだが、使い道を明確にして国会で議論し、その上での執行が望ましい。まだ政調会で補正予算の話まで踏み込んだことはなく、必要性は現時点で否定しないが。政府の考えも聞きながら考えをまとめていく。

あらゆる選択肢を除外せず、次の時代の原子力を考える

反町理キャスター:
原発の今後は。温暖化防止、電力安定供給のために必要という中、すでに新規制基準の審査に合格した7基を、2023年夏以降に追加で再稼働させるという話。

萩生田光一 自民党政調会長:
日本のエネルギーはつま先立ち。11年前の事故以来、原発がほとんど稼働しない中で、引退を決めた火力発電所がもう一度稼働している。安定的な電力供給を考えればGXは大事だが、明日停電するかもしれない状況では民間企業の皆さんはついてこない。今回、ロシア危機でフェーズが変わった。安全性がきちんと説明できるなら、小型原子炉などあらゆる選択肢を除外せず、次世代のエネルギーについての議論を深めていくフェーズ。

反町理キャスター:
再稼働ができるのは今10基で、7基を加えて17基。日本のGXに向けた安定した基盤電力には足りないか。

萩生田光一 自民党政調会長:
太陽光は天気が悪ければ1kw/hも発電しない。風が吹かなければ風力発電は回らない。こうした発電の仕組みはもちろん残して力を入れ、昼間のうちに電力を溜めておく蓄電池の開発などは8月中に大きな方向性を示すと思うが、国民の暮らしと産業を守るためには安定した電力を確保しなければ。しかも、値段が高騰していいわけではない。次の時代の原子力への思考を止めてはいけない。

反町理キャスター:
日本には、永久の核廃棄物処理施設がまだないという問題がある。

萩生田光一 自民党政調会長:
廃棄物を最小限にするための核リサイクルをしっかり回す。それでも出てくる廃棄物は最終処分を考えなければ。政府として逃げずに議論していく必要がある。

反町理キャスター:
古い原子炉を壊して新型原子炉を置き換えるというのは、ビジョンとしてあるか。

萩生田光一 自民党政調会長:
仮に今大臣を続けていたなら、それを国民に問いかけなければいけないと思っていた。

BSフジLIVE「プライムニュース」8月24日放送