2022年7月10日にネット配信した、OHK(岡山放送)参議院選挙開票速報に、聴覚障害者の中西厚美さんと庄田正子さんがゲスト出演した。
2人は、障害者が暮らしやすい社会の実現に向けて、現状の課題や、政治への期待を語った。

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“車いすの議員”も続々誕生

ーーー障害者が議員として政治に参加するケースも増えていますが、どう感じていますか?
中西さん:

私は、障害者だから当選したとは思っていない。障害者でも、人格とか考え方とか素晴らしい場合は、健常者でもその人を信じて投票しているのではないかと思う

庄田さん:
障害者の議員が当選したら、同じ立場なので共感できる。一緒に動いてくれるということが伝わってきて、とてもいい

日本社会の根底に「助け合う精神」

ーーー障害者も暮らしやすい社会をつくるために必要なことは?
中西さん:

以前、厚生労働省の方と話した時、日本とアメリカの福祉制度では「日本の方がいい」という話になった。私は文化的な背景が大きいのかなと思う。
アメリカは法制度が進んでいるが、日本では法律などで強制するのではなく、人間関係を大切にすると思う。アメリカには「甘え」という英語はないと聞いたことがあるが、日本にはある。それが福祉制度に繋がっているのでは。お互いに理解して進めていこうという、人間関係の基本的な考え方があると思う

障害者を特別扱いしないで

ーーー障害者にやさしい街づくり・社会づくりに向けて、具体的にこうなってほしいと思うことは?
中西さん:

“障害者にやさしい街づくり”という言葉には、ちょっと抵抗がある。聴こえる人たちが「障害者がかわいそうだから特別に何かしてあげよう」という、上から目線に感じる。
ではなく“皆が使いやすい街づくり”が基本にあれば、行政も予算を使いやすくなる。“障害者だけ”では難しい

地方都市ならではの課題

中西さん:
聴覚障害者は情報が不足している。電車に乗っている時、東京・大阪なら緊急情報がデジタルで、文字で出る。しかし岡山など地方では、電車も古いので目から入る情報がなく、音声だけ。そういうことを考えるとまだまだ進んでいない。
コストを安くするため駅や警察が無人になり、対面が出来なくなっている。障害者にとって不便になっている面があると思う。
障害者は色んな要望は出していくが、実際は遠慮がある。これを言ったら社会から悪く見られるのではないか、と不安を持っている人もいる。そういう所も理解して頂きたい

(岡山放送)

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