WHO(世界保健機関)が緊急事態を宣言した「サル痘」について、東京の30代男性が感染し、日本で初めて感染が確認された。

ヨーロッパから帰国の男性

小池百合子都知事:
欧州から戻られました、海外渡航歴のある30代の男性がサル痘患者の発生として初めて国内で確認されました。

厚生労働省などによると、サル痘の感染が確認されたのは都内に住む30代の男性で、7月25日午後11時半現在、都内の医療機関に入院し症状は安定しているという。

男性は6月下旬、ヨーロッパに渡航し、接触した人がその後サル痘と診断されていた。

帰国後の15日に倦怠(けんたい)感や発熱・発疹の症状が出て、25日に医療機関を受診して感染が確認された。

日本で感染が確認されるのは初めてで、厚労省は自治体と協力し、濃厚接触者や国内で感染した人がいないかなど調べている。

性交渉関連の感染伝播が最多

内田嶺衣奈キャスター:
アメリカの大学病院で新型コロナウイルスなどの感染症と向き合っている内科専門医の山田悠史先生に聞きます。私たちはどう受け止めればいいのでしょうか?

マウントサイナイ大学病院・山田悠史先生:
世界中で1万人をはるかに上回る感染者が出ていることから、遅かれ早かれ国内でも報告されることは予想できていたことだと思います。

サル痘ウイルスは、今までのところ90%以上が男性の感染者で、性交渉に関連した感染伝播が最も多く報告されていることもあり、感染者は比較的若い男性に集中していますが、女性の感染報告もありますし、感染経路が特定できない感染も報告されていますので、特定のグループのみの人の病気として捉えずに警戒することは大切です。

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内田キャスター:
新型コロナウイルスのように今後、感染が広がっていくのでしょうか?

マウントサイナイ大学病院・山田悠史先生:
感染経路としては性交渉に関連した感染伝播が最も多く報告されていますが、その他に大きな飛沫による飛沫感染や接触感染が起こりえるとされています。

ただし、新型コロナほど感染伝播が起こりやすいわけではなく、長時間の濃厚接触を基本としますので、新型コロナのように感染者が加速度的に増えていくということは考えにくく、そこは冷静に捉える必要があります。

内田キャスター:
感染対策や今後の治療法については、いかがですか?

マウントサイナイ大学病院・山田悠史先生:
幸い日本では、新型コロナへの感染対策が多くの方に徹底されています。こまめな手洗いやマスクといった基本的な感染予防策がこのサル痘にも有効であると考えられますので、コロナの感染流行もふまえ継続いただくことが大切です。

また、天然痘のワクチンが有効であることも分かっており、新型コロナのように国民全員に接種という必要はないと思いますが、 今後診療にあたる可能性のある医療者や感染リスクの高い方を対象にワクチン接種も検討されていくことになるでしょう。

治療法については、 このサル痘には国外では、天然痘の治療薬として開発された飲み薬が有効であると考えられていて、日本国内でも臨床試験の範疇で投与が検討されています。

内田キャスター:
他に注意点などがあれば教えてください。

マウントサイナイ大学病院・山田悠史先生:
国内でも感染者が報告されたことで、より身近になりましたし、新型コロナと同様に誤情報などもますます目立つようになると思いますが、「驚くような情報」にすぐに飛びついて拡散したりせず、 立ち止まっていただくことが大切です。

また、新型コロナのパンデミックの始まりの時期とは異なり、有効な予防法や治療法などの対応法も分かっています。 淡々と今できる感染予防策を続けていきましょう。

(「Live News α」7月25日放送分)