2025年2月から3月にかけて、愛知県に住む20代の女性2人が「はしか」に感染したことがわかりました。はしかはどのような病気で、どのような対策が必要なのか、専門家に聞きました。

■愛知県春日井市と名古屋市の20代女性2人に感染判明

感染したのは春日井市と名古屋市に住むいずれも20代の女性です。春日井市の女性は、2月8日にベトナムから帰国し、再び海外に渡った14日に発熱、20日に発疹が出ました。2月21日に関西空港に帰国後、医療機関を受診し、22日にはしかの感染が判明したということです。

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また名古屋市によりますと、市内に住む20代の女性は2月21日に、海外から関西国際空港に帰国したあと、28日に発熱などの症状があり、千種区の医療機関を受診し、はしかの感染が判明しました。

■「全身に発疹」…はしかの症状や対策は

「はしか」はどのような病気で、どのような対策が必要なのでしょうか。名古屋市衛生研究所の柴田伸一郎さんに聞きました。

「はしか」は、正式には「麻疹(ましん)」と呼び、ウイルスに感染した後、8日から12日ほど潜伏して、咳や鼻水など「風邪のような症状」が2日から4日続いたあと、40度くらいの高熱がでて、3日から5日の間、全身に発疹が出ます。

また、免疫が下がることで「脳炎」「肺炎」などの合併症を引き起こすことがあり、命を落とすケースもあるということです。

妊娠中は、流産や早産のリスクが高まり、妊婦本人も重症化しやすいとされています。

■インフルやコロナより強力…「はしか」の感染力や対策は

はしかは、最近では2018年と2019年に全国的に流行しました。愛知県でもそれぞれ40人ほどの感染者が出て、このとき全国で1年間に20人から30人が亡くなったといわれています。

警戒したいポイントの1つが「感染力」です。例えばインフルエンザは「接触感染」や「飛まつ感染」があり得ますが、はしかは同じ空間にいるだけでうつる「空気感染」も起こります。マスクや手洗いでは防ぎきれません。

1人の感染者が、次に平均何人にうつすかを示す数値で比較すると、インフルエンザが1~3人、新型コロナが2.1~5.1人であるのに対して、はしかは12~18人と、いかに感染力が強いかがわかります。

1人の感染者で、一気に広まる恐れがあるため、県も1件1件発表しているということです。

はしかを予防するには、2回のワクチン接種が有効です。現在は、1歳と小学校入学前の2回の予防接種が勧められています。ワクチン接種をしたら、母子手帳に記録・保管をして、成人したら渡すことで、ワクチン履歴を正確に知ることができるとしています。

「はしか」は、一度発症すると、免疫が一生持続するといわれています。

■春日井市と名古屋市の女性の行動履歴は

はしかは空気感染の恐れがあるため、愛知県や名古屋市は今回、感染した女性の行動履歴を公表しています。

春日井市の女性は2月13日午後と14日午前に、JR中央線や地下鉄東山線などを利用していました。県は、この同じ時間帯に利用していた人で、3月7日までに発熱や発疹などが出た場合は、速やかに医療機関に連絡して受診するよう呼びかけています。

名古屋市の女性は2月27日の午後1時半から午後2時10分ごろまでの間に、愛知県豊明市の「はま寿司1国豊明店」を利用していたということです。

名古屋市も県と同様に、同じ日に店舗を利用した人などに対し、発熱や発疹などが出た場合は速やかに医療機関に連絡するようにとしています。

2025年2月28日放送

(東海テレビ)

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