石川県民が愛してやまないソウルフードは数多くある。
行列に並んででも食べたい!でも、このコロナ禍で、それもままならなくなった…。
ならばと、その愛の矛先を創作活動に向け、石川自慢の一品たちをミニチュアで再現した作家がいる。

指先サイズに完コピ…その実力は?
まずは、知名度も人気も急上昇の金沢おでん。指先サイズのミニチュアでも、カニ面や車麩など金沢自慢のおでんダネがセットに。

昼時には行列必至の人気店「第7ギョーザ」は、ちょっと厚みのある独特の皮も、その焼き加減も完全再現。

そして、石川県民におなじみの笹にくるんだ「笹寿し」もこの通りだ。

実際に本物と比べてみると、そのサイズ感が分かる。いかに精巧に作られていたか、その出来栄えに驚かされる。

石川県民のソウルフードをミニチュアにしようと考えたのは、「金沢おいしい作家」の2人だ。アイデア担当がミニミニジャパンさん。そして、制作担当が指先ラーメンさん。周囲に内緒で活動しているので、残念ながら顔出しはNGだそうだ。

しかし、その制作方法を石川テレビの秋末械人アナウンサーに見せてくれた。今回制作するのはラーメン。

ちなみに、名前の通り、指先ラーメンさんのラーメン愛は果てしない。それは制作工程からも見て取れる。

制作は、まず具材づくりから始まる。樹脂粘土に絵の具を混ぜて成型するのだが、食品の製造工程とほぼ同じに作っていく。例えば、トッピングの「なると」や「かまぼこ」も、全体を作ってから、それを刻んでいく。すると、模様も忠実に再現できるそうだ。

こうして、様々な具材を作っていく。

指先ラーメンさんのこだわりが特に分かるのが、チャーシュー。肉の部位によって風合いや見た目が違うので、お店やメニューによって作り分けているそうだ。

手間はかかるが、制作担当の指先ラーメンさんにとって一番の至福の時が、このチャーシューをラーメンに添えるときだ。
制作担当 指先ラーメンさん:
チャーシューを切った時に「きたっ」ってなるんです。作品を見て行きたくなる、食べたくなるラーメン作りを目指しています。
始まりは新型コロナ禍…自分たちにできることは?
ところで、そもそも2人はなぜ石川グルメをミニチュアで作ろうと思ったのか?
そこには、「コロナ禍で疲弊する飲食店を応援したい」という思いがあった。
アイデア担当 ミニミニジャパンさん
何か私たちが出来ること…ものづくりで応援できないかと始めたのがきっかけです
2人の本職は、ぬいぐるみなどの製作。その経験を活かしてミニチュアグルメを作り始め、SNSで投稿した。これまでラーメンを中心に300種類を制作したが、口コミで評判が広がり、いまでは店からノベルティ用グッズの注文がくるようにもなったそうだ。

アイデア担当 ミニミニジャパンさん:
反響にびっくりしています。お店が好きで勝手に作っていたので。SNSには、失礼がないかなとドキドキしながらアップしていました。喜んでいただけて、良かったです。
時にはミニチュア作品を持って、お店に行くこともあるそうだ。

アイデア担当 ミニミニジャパンさん:
ミニチュア作品を見せて「これください」って注文するんですけど、伝わったときは楽しいです。秋末さんも、やってみませんか?
石川テレビ秋末アナウンサー:
やりたいです!
秋末アナウンサーも、行きつけのラーメン店のラーメンを制作してみることに…

秋末アナウンサー:
あー、モヤシが小さすぎて、つかめない。あ、あ、体が固まる
制作担当 指先ラーメンさん:
私も作っていると、体が縮こまります。
秋末アナウンサーが悪戦苦闘の末に作ったのは、いわゆる「二郎系ラーメン」。しかも、モヤシを通常より増やした「野菜マシ」だ

早速、完成したミニチュアのラーメンを持って、お店へ。

店長にミニチュアラーメンを見せて、オーダーしてみた。
「ラーメン中毒」の上塚博志店長:
はい?はい…なんとか出来ると思います

「ラーメン中毒」の上塚博志店長:
お待たせいたしました。「野菜マシ」になります
秋末アナウンサー:
「野菜マシ」をオーダーしたって、ミニチュアラーメンで分かりました?
『ラーメン中毒』の上塚博志店長:
なんとなく…
秋末アナウンサー:
やったー、伝わりました。ミニチュアで注文できました

苦心したミニチュアで注文したラーメンとなると…味は格別だ。

アイデア担当のミニミニジャパンさんに、今後の展望を聞いてみた。
アイデア担当 ミニミニジャパンさん:
県外からのお客様を呼び込んでミニチュアを作って、それを持ってラーメン屋さんに食べに行ってもらうというようなツアーができたらと考えています
ミニチュアグルメの制作を体験して、それを持ってお店に行く「ラーメンツアー」なるものを計画中だという。
コロナ禍に自分たちにできることはないかと問い、始めたミニチュアグルメ作りだったが、その思いは広がるばかり。小さな小さな作品の中には、大きな愛が詰まっていた。
(石川テレビ)