今も広がりを見せる自販機グルメ。焼きたてのピザに、素材にこだわった豆腐の自動販売機。コロナ禍の落ち込みを挽回する新たな販路となっている。

広がる自販機グルメ…新たに「冷凍ピザ」が!

ギョーザにラーメン、そしてパンも。いずれも長野県内の自販機で購入できる品だ。
コロナ禍による落ち込みを挽回しようと、多くの飲食店が導入する自販機。接触が避けられ、人件費もかからないなどのメリットがある。

この記事の画像(13枚)

とろとろのチーズが食欲をそそる焼きたてのピザ。塩尻市にあるピザのテイクアウト専門店「Verde Pizza Factory Shiojiri(ヴェルデ ピッツァ ファクトリー しおじり)」も2022年4月、自販機を導入した。しかも、「焼きたて」に近い味を楽しめる。

作っているところをのぞかせてもらうと、焼き上げるまでは通常と同じだが、焼き上げたらすぐにマイナス30度の冷凍庫で「急速冷凍」。これがピザの味を損なわない秘訣だ。

田中・ヴァレンティーノ・康之さん:
(解凍しても)底の部分がパリッ、サクッとなる。上の方がフワッとなる、その食感を出すために研究した

自販機では、人気の「マルゲリータ」や4種類のチーズを使った「クアトロフォルマッジ」など、3、4種類を扱っている。

オーナー・五味靖夫さん:
いつでも買える、あと人件費がかからない

長引くコロナ禍で、売り上げは一時、オープン当初の半分ほどに。第6波の感染拡大を受けて、イートインスペースもやめた。

小麦粉の価格高騰で、3月には値上げを余儀なくされるなど厳しい状況が続く中、自販機は頼もしい存在となっている。

オーナー・五味靖夫さん
オーナー・五味靖夫さん

オーナー・五味靖夫さん:
(自販機に)お客さんにちょこちょこ来てもらっているので、24時間稼働できることは、店側にとっても売り上げをカバーできて助かる

利用者:
「マルゲリータ」と限定の「イチゴとピスタチオ(※現在は販売終了)」のピザを買いました

利用者:
前に1回来て、買ってすごくおいしかったので、また来ました。(良いところは)いつでも買えるところ、時間関係なく

おいしく食べるコツを聞き、実際に食べてみることにした。
自然解凍させたピザは、フライパンに敷いたクッキングシートの上に。水をしみ込ませたキッチンペーパーなどでピザの縁を湿らせておくと、ふっくらと仕上がる。
ふたをして弱火で温め、チーズがとけてきたら食べごろだ。

記者リポート:
冷凍とは思えないくらい生地がフワフワですね。チーズとトマトなどの相性も抜群で、とてもおいしいです

マルゲリータ
マルゲリータ

店は、キャンプなど屋外レジャーでの需要も見込んでいて、自販機を増やすことも検討中だ。

オーナー・五味靖夫さん:
海とかキャンプ場に持っていってもらって、フライパン一つで温め直しができる。宅配もありますが、自分で好きな時間に食べられる、そういった需要がコロナ禍の後でも多くなるのでは

「手作り豆腐」も自販機で!

豆腐の自動販売機(ながの東急百貨店・長野市)
豆腐の自動販売機(ながの東急百貨店・長野市)

アナウンサー:
長野市のながの東急百貨店です。こちらにあるのが、今年4月に設置されたばかり、豆腐の自動販売機です

立ち止まって見つめる人や、写真を撮る人も…。設置されたのは、ながの東急百貨店の敷地。木綿豆腐や厚揚げ、豆腐のケーキなど9種類が販売されている。

通りかかった人:
だしの自販機は知っていたけど豆腐は見ていなかったので、斬新でおもしろい

購入した人:
厚揚げとお豆腐(を購入)、お手軽で便利だから。おばあさんでも買えます。木綿は冷ややっこ、厚揚げは焼こうかな

自販機で販売している商品
自販機で販売している商品

アナウンサー:
では、私はこの定番の絹豆腐を購入しようと思います。出ました、冷たいまましっかり出てきました。包装も頑丈にしてあるので、きれいな豆腐のまま出てきました。これは便利

ながの東急百貨店も、非接触型の販売に着目。地元企業への応援も兼ねて自販機を設置した。

八光食品工業(長野市)
八光食品工業(長野市)

豆腐を納めているのは、長野市の八光食品工業。昭和43年(1968年)創業。今は夫婦二人三脚で、材料や工程にこだわり豆腐を作っている。

八田伸吾社長:
豆腐の材料は大豆、にがり、水だけ。シンプルだけど、それを組み合わせる方法や技量は腕の見せ所なので、いかに大豆本来の味を引き立たせて、おいしく食べてもらえる豆腐を作りたい

大豆は、善光寺平や信州新町で栽培されたもの。釜で熱し、豆乳とおからに分離する。豆乳ににがりを加え、固まってきたら型に流し入れる。じっくりと圧力を加えれば、自慢の豆腐の完成だ。

店もコロナ禍の影響を受けていて、自販機に期待を寄せている。

八田伸吾社長:
コロナになってしまい、ばっさり売り上げが落ちて、(売り上げは)4分の1くらいに。自販機は最近はやっていて、やってみようかという話に。まず、そのままの味わいを楽しんでほしい

気軽さと便利さも手伝って県内で広がる自販機グルメ。コロナ禍の打開策として、導入の動きは今後も続きそうだ。

(長野放送)

長野放送
長野放送

長野の最新ニュース、身近な話題、災害や事故の速報などを発信します。