名古屋市にキッチンやリビングなどを共有しながら、43人が共同生活をするシェアハウスがある。このシェアハウスを取材すると、コロナ禍で人との交流を求める若者たちの姿があった。
共有キッチンからトレーニングジムまで
この記事の画像(26枚)仲間の誕生日会に映画鑑賞。その隣では、入居者の髪を切る男性も…。
名古屋市中川区にある、社員寮をリノベーションした3階建てのシェアハウス「Multiple share 180°八田」には、共有のキッチンやリビングはもちろん、仕事スペースにトレーニングジムまで完備されている。
入居2年の配達業の男性(34):
以前、1人暮らししていたけど、すごい寂しかったので
入居半年のアパレル業の女性(22):
(名古屋に)知り合いがいなかったので、友達ができるかなと
入居1年の美容師・映像クリエイターの男性(24):
いろんな業種の人がいて話が聞けるので、それが魅力
シェアハウスへ入居する理由はそれぞれ。独立してプライベート空間もあり、居住用のワンルームが62室、43人が共同生活を送っている。
学校の先生や会社員など職業は様々
午前7時。1階にある共有のキッチンでは、トーストやスクランブルエッグなど、手分けして朝食の準備をしていた。
入居1年の男性(29):
簡単なやつをみんなで食べようと。ゆっくりおいしいものを食べて、楽しもうみたいな
仕事前に入居者が集まってくる。
入居2週間の会社員の女性(23):
上のリビングとかダイニングもですけど、誰かいるので。寂しくないというか交流ができて楽しい
シェアハウスに住むのは20歳から42歳までの43人で、学校の先生や会社員など職業は様々だ。
新たな出会いと発見を求めて 入居2年目の男性
一足遅れて現れたのは、入居して2年の配達業の金子大樹さん(34)。
金子大樹さん:
時間が空いた時に誰かと話せるのがすごく大きい
朝食を終えて向かったのは、自分の部屋。
金子大樹さん:
2年も住んでいると慣れます。最初はちょっと狭いなと思ったけど、他のシェアハウスはトイレとかお風呂とか共有の場所が多いけど、ここは全部セパレートなのでいい
共有スペースとは別に一人一人の部屋が確保されており、プライベート空間を重視する今どきのシェアハウス。9畳一間にキッチンや風呂、さらにベッドや冷蔵庫などの家具・家電付きで、家賃は3万3800円から3万9800円(共益費・電気・水道料などは別)。金子さんがここを選んだ理由は?
金子大樹さん:
以前、日本一周していたので、人と話すことが楽しいというか…。旅を通して思ったのが「ありがとう」だった。いろんな方によくしていただいたので、今度僕が会う人たちには、それを返したいなと
日本一周の旅で人の温かさに触れた。金子さんは、新たな出会いと発見を求めてシェアハウスで暮らしている。
職場以外の人間関係を…短期間の滞在者も
午前11時。2階にあるランドリーには自動販売機、洗濯機、乾燥機がある。洗濯機などは入居者同士で取り合いにならないのだろうか。
入居2週間の会社員の男性(24):
結構みなさん、生活リズムがバラバラなので
勉強部屋であるスタディルームも…。
入居2週間の外国人の男性(33):
アメリカのコロラド州(から来ました)。宣教師です。日本人にイエス・キリストのことを話すために、日本語の勉強をしています。このシェアハウスは2カ月だけ
一時的な転勤など、短期間の滞在者も多いという。お昼時、共有のキッチンでは…。
入居1年の看護師の男性(25):
これから夜勤なので、ここで食べてもう1回寝て出勤しようかなと。外出歩いちゃダメと厳しくて。医療職なので人一倍気にしていて。こういう場所だったら、誰かと接する機会もあるかなと
病院と家の往復が続く看護師。職場以外の人間関係を求め、2021年にシェアハウスに引っ越した。
「生活リズムが同じ」シェアハウスの恋愛事情
午後5時、入居して2年の金子さんが共有のキッチンに立っていた。率先して夕食の準備かと思いきや…。
金子大樹さん(34):
パーティーの準備。(自分の)誕生日会もかねて。作るのと食べてもらうのが好きなので、「おいしい」って言ってもらえたら嬉しいなと
主役自ら、10人分の回鍋肉や麻婆豆腐を振舞っていた。そこに1人の女性がやって来た。
稲留沙樹さん(28):
(金子さんの)彼女です。ここで知り合いました
金子大樹さん:
話が合ったので…。話しやすいなっていうのと楽しいなって
稲留沙樹さん:
ここに来る時間帯が合う人たちでおしゃべりする。同じ生活時間の人と知り合えるから、カップルになってきちゃうんです
生活リズムが同じことから、交際に発展することもあるという。
パーティーでは金子さんの手料理も好評。夕食後には、サプライズの”バケツプリン”で誕生日を祝う。
入居者同士が交流を図っている。
シェアハウスで暮らすメリットは?
バナナを食べている男性は、入居者から新たな趣味を教えてもらったという。
入居1年半の郵便配達員の男性(27):
これからトレーニングをする。トレーニングをやっている人がいて、教えてもらいながら本格的にやるように
郵便配達員の男性:
趣味を見つけられる。この人こんなことやっているんだって、ちょっとやってみようかなって選択肢が増える
映画鑑賞をする人たちの隣では、入居女性の前髪を切る男性の姿があった。
入居1年の美容師・動画クリエイターの男性(24):
チャチャッと切ってあげて、逆にご飯を作ってもらうみたいな…。技術の物々交換。仕事以外でそういうスキルを使うことで、本当に好きでこういう仕事やっていたんだっていうきっかけにも
共同で生活することで、新しい知識も得られるシェアハウスのメリット。
美容師・動画クリエイターの男性:
動画の撮影と編集の仕事をしていて、色んな業種の人がいるので。色んなものを知っていた方がいいと思うし、感性だったり、他業種からいろんな意見をもらえたり話が聞ける
個性豊かな“十人百色”のシェアハウス。人とのつながりを求める、イマドキのご近所付き合いだ。
(東海テレビ)