ロシアによるウクライナ侵攻。戦争の行く末を世界全体が、祈る思いで見守っている。そんな中、ウクライナから緊急帰国し、遠く離れた日本で平和を祈る1人の日本人バレリーナがいた。

いつ爆弾が落ちるか…ウクライナの友人を思う

プロのバレリーナ、井手夢子さん(24)。2月にウクライナから緊急帰国した。

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福岡市出身の井手さんは、3年前からウクライナのバレエ団に所属。情勢の悪化を受けて帰国を余儀なくされたのだ。

井手夢子さん:
大使館の方から連絡を受けて「本当に緊急帰国を強くおすすめします」と言われて。普段とは変わらない生活を毎日過ごしていたので、そういうことは感じていなかった

井手さんが暮らしていたのは、首都キエフから約500km離れた東部の都市ドニプロ。今も友人が暮らすその町だが、ロシア軍による攻撃を受けたという。

井手夢子さん:
今は本当に友人や知人、ドニプロに住んでいる人たちのことを心配している。いつ状況が変わるかもわからないし、いつ爆弾が落ちるかもわからないので

日本にいる自分にいま何ができるのかと、心の中で葛藤していた。

日常が戻ることを願って 思い出の曲で踊る

久留米市で開かれたバレエの発表会。この発表会に、知人からの誘いを受けた井手さんも急きょ参加することに。

会場には、ウクライナへの寄付を募る募金箱が置かれていた。

会場に設置された募金箱
会場に設置された募金箱

井手夢子さん:
やっぱり踊ることしか私にはできないから、それで伝わればいいなと

踊ることで平和への願いを伝えたい。それが今、自分にできることだった。井手さんはウクライナにいる友たちのことを思って踊った。

不朽の名作「ドン・キホーテ」。ウクライナでも踊っていた、思い出深い曲だ。

別のバレエ団からオファーを受けている井手さんは、週明けにもルーマニアへ旅立つ。

井手夢子さん:
私が踊っているところを映像でも、どこかでも、目に入れて聞いて、少しでも希望を届けられたらなと思うし、普通のみんなで踊っていたあの日が本当に早く戻ってきてほしい

ウクライナの希望のために踊り続ける平和への祈りは、必ず届く。そう願いたい。

(テレビ西日本)

テレビ西日本
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