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プリプリの身に上品な甘さが評判

三重県桑名市に、自ら養殖したフグの料理が人気の温泉宿がある。

この宿の社長は、湧き出た温泉に魚が集まるのを見て、トラフグの養殖を思いついた。試行錯誤の末に養殖に成功したこの「温泉トラフグ」を町の新たな名物にしたいと意気込んでいる。

三重県桑名市の東名阪道「長島インター」から車で5分の「ニューハートピア温泉 ホテル長島」。4年前に掘り当てた、地下1500メートルから湧き出る天然温泉が人気の宿だ。

男性客A:
かけ流しなので気持ちいい

男性客B:
掘り直してお湯がよくなったね。明るいうちに入ると気分がものすごくいい

そして、宿のレストランがこの冬から始めたのが旬のフグ料理。刺身の「てっさ」に、骨付きの「唐揚げ」など…。そのぷりぷりの身は、上品で甘いと評判だ。

女性客A:
ジューシーで、弾力もあっておいしかったです

男性客C:
鶏肉に近いけど、もっと上品です

料理に使われているトラフグは、この湧き出る天然温泉を使って養殖されている。

きっかけは新たな掘削で大量に湧き出た温泉

トラフグの養殖は、2つある貸切風呂の1つを使って行われている。

「温泉養殖」と書かれたドアを開けると、かつて脱衣所として使われていたスペースが。さらにもう1つの扉を開けると、大きな水槽があった。ここでトラフグの養殖をしている。

ニューハートピア温泉 ホテル長島 石川剛社長:
今は70本くらい。これで大体1.8キロぐらい

49℃の源泉を約16℃まで冷ました温泉を使って育てている。

4年前に新たに行った温泉の掘削。1500メートルまで掘り進むと、豊富な温泉が湧き出た。しかし、量が多く使いきれないため、半分は泣く泣く捨てていた。

ニューハートピア温泉 ホテル長島 石川剛社長:
捨てているお湯をなんとか使えないかなと考えたのが最初。排水で捨てている所に魚が集まって。「何だこれ」っていうのが最初ですね

そこで石川さんは、温泉を使った魚の養殖を思いついた。

最初のヒラメは全滅するも…試行錯誤の末にトラフグ養殖に成功

思いついた魚の養殖、最初は「ヒラメ」から始めた。ところが…。

ニューハートピア温泉 ホテル長島 石川剛社長:
20センチくらいに成長したのですが、夏の暑い時期に皆死んじゃいました。全部が初めてでわからなくて、病気なんだろうかとか…。結論は酸欠

反対の声も多くあったが、あきらめることなく次は「アマゴ」の養殖に挑戦。稚魚を50匹購入し手探りで始めると、2カ月で40センチほどに成長した。手応えを感じたところで、いよいよ高級魚「トラフグ」の養殖に挑戦。

ニューハートピア温泉 ホテル長島 石川剛社長:
私が元々、自動車のエンジニアをやっていて、カーボンやプラスチックの製品を作るのが得意だったので…

石川さんは、かつて自動車エンジニアだった経験を活かし、水槽やろ過装置など魚の養殖に必要なものを1人で作り上げた。

この養殖施設を使うと、立派なトラフグが育った。しかしなぜ、この温泉だとすくすく育つのか疑問に思い、専門家に分析してもらうと…。

ニューハートピア温泉 ホテル長島 石川剛社長:
この温泉は、魚の体に含まれるミネラルや塩分濃度がほぼ同じ。心地がいい状態らしいです

一般的な海での養殖よりも、早く成長することがわかったという。そこで、養殖なら年間を通じて安定供給ができると考え、「温泉トラフグ」で落ち込んだ客足を取り戻すべく、この冬からトラフグ料理を始めた。

うま味が凝縮した柔らかい身 おすすめは「トラフグの唐揚げ」

レストランでは、出荷サイズに成長したトラフグを使い試作を繰り返した。

ニューハートピア温泉 ホテル長島 石川剛社長:
個人的に唐揚げが最高。鳥の唐揚げの超高級な感じ、本当においしい

石川さんのオススメは唐揚げ。一口サイズに切った身を高温の油でカリッと揚げると、身がホクホクしたうま味が凝縮した味になる。

女性客B:
やわらかい、おいしいです

女性客C:
お酒にはちょうどいい

男性客D:
名産になるんじゃないかな。応援します

定番のフグの刺身「てっさ」や「ふぐの皮」、身がたっぷり入った「とらふぐ鍋」などをセットにした「温泉とらふぐ御膳」を、レストランで提供することを決めた(7500円 ※2名以上・2日前までに要予約)。

ニューハートピア温泉 ホテル長島 石川剛社長:
「長島温泉トラフグ」で、落ち込んだ環境を取り戻していく切り札になれば

「ここでしか食べられないオンリーワンの地域のブランドを目指していきたい」。トラフグを使った石川さんの夢は膨らむ。

(東海テレビ)