『バスケットボールの聖地』と呼ばれる国立代々木競技場第二体育館で、12月15日(水)から19日(日)まで(17日はレストデーとなり試合は行われない)女子バスケットボールの皇后杯、「第88回全日本バスケットボール選手権大会」のファイナルラウンドが行われている。

昨年は、ENEOSサンフラワーズが大会記録タイとなる8連覇を達成。今年も順調に勝ち星を重ねる中、15日(水)は準々決勝2試合が行われた。

これが今季のトヨタ紡織の力 チーム初の4強入り

準々決勝第1試合は、三菱電機コアラーズvsトヨタ紡織サンシャインラビッツ。

レギュラーシーズンでは三菱電機に2連勝のトヨタ紡織
レギュラーシーズンでは三菱電機に2連勝のトヨタ紡織
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現在行われているWリーグのレギュラーシーズンでは、開幕試合で対戦し、結果はトヨタ紡織の2勝。しかし三菱電機はそのあとの試合に全て勝利し、ここまで8勝2敗。一方のトヨタ紡織は5勝7敗と黒星が先行しているが、昨年のWリーグで初優勝を果たしたトヨタ自動車アンテロープスに勝利するなど、明るい話題もあった。試合を重ねるごとにチーム力が増した両者の試合には注目が集まった。

レギュラーシーズンで好調の三菱電機
レギュラーシーズンで好調の三菱電機

立ち上がりは三菱電機ペース。激しいディフェンスでトヨタ紡織に思うようなプレーをさせず、エース渡邉亜弥選手を中心に得点を重ねていく。トヨタ紡織もチームのスローガン「堅守速攻」を体現すべくディフェンスから速攻に繋げたいが、なかなか三菱電機のゾーンディフェンスを打開できない。34-23、三菱電機がリードして前半を終えた。

前半で得点を重ねたエース・渡邉亜弥選手
前半で得点を重ねたエース・渡邉亜弥選手

後半に入りトヨタ紡織は、東藤なな子選手の連続得点、加藤優希選手の3ポイントシュートなどで4点差まで詰める。三菱電機は、西岡里紗選手や濱口京子選手などインサイド陣がファウルトラブルに見舞われ、流れは徐々にトヨタ紡織に。キャプテン坂本美樹選手の3ポイントシュートで1点差。さらには、東藤選手のバスケットカウントでついにトヨタ紡織が逆転。

流れを掴んだトヨタ紡織のキャプテン・坂本美樹選手
流れを掴んだトヨタ紡織のキャプテン・坂本美樹選手

最後の10分はシーソーゲームの展開に。トヨタ紡織は飯島早紀選手の3ポイントシュートでリードを5点に広げる。しかし三菱電機もじわじわ追い上げ、残り5分は1点差の攻防となった。三菱電機・根本葉瑠乃選手がこの日好調の3ポイントシュートを決めるが、すぐさまトヨタ紡織・加藤選手がシュートを決め返して56-56の同点。

3ポイントシュートで追い上げた根本葉瑠乃選手
3ポイントシュートで追い上げた根本葉瑠乃選手

残り1分32秒のところで三菱電機・渡邉選手がスティールから得点。トヨタ紡織はたまらずタイムアウトを取る。そのタイムアウト明け、トヨタ紡織・東藤選手が3ポイントシュートを沈め、坂本選手のバスケットカウントで4点のリード。最後のファウルで得たフリースローを沈め、最終スコアは58-63、トヨタ紡織の勝利となった。

勝負どころの強さが光る 東京オリンピック代表 東藤16得点

チームを勝利へ導いた東藤なな子選手
チームを勝利へ導いた東藤なな子選手

強気のシュートはリングに吸い込まれた。ここぞという場面での連続得点、3ポイントシュートと16得点の活躍。東京オリンピックへは最年少、20歳で代表に選出された東藤なな子選手が強気のプレーでチームを勝利へ導いた。

チームは史上初のベスト4進出。この先の戦いも、東藤選手の活躍が必須となる。前人未到の9連覇へ挑むENEOSサンフラワーズ相手に準決勝でどんなプレーを見せてくれるのか、大いに期待したい。

前人未到の9連覇へ挑むENEOS

前人未踏の9連覇へ挑むENEOS
前人未踏の9連覇へ挑むENEOS

準々決勝の第2試合は、ENEOSサンフラワーズvsシャンソン化粧品シャンソンVマジックの一戦。昨年の皇后杯、準々決勝で右膝の前十字靱帯断裂という怪我でチームを離脱した大黒柱、渡嘉敷来夢選手。他にも東京オリンピック代表の林咲希選手、インサイドを支える梅沢カディシャ樹奈選手などと主力が怪我で欠場しながら、見事8連覇を達成したENEOS。今年は選手の入れ替えもあったが、その主力達が復帰、更には若手も力をつけ、前人未到の9連覇へ挑む。

レギュラーシーズンではENEOSと1勝1敗のシャンソン
レギュラーシーズンではENEOSと1勝1敗のシャンソン

一方のシャンソンは若手が主体ながら、今シーズン現役復帰した藤岡麻菜美選手や、ENEOSから移籍してきた大沼美琴選手などが、その経験をチームに還元する。2人にとっては古巣対決となった。現在行われているWリーグのレギュラーシーズンでの対戦成績は1勝1敗。しかしシャンソンは、得点源でもあった水野妃奈乃選手が11月の試合で右膝前十字靱帯断裂で離脱。ENEOSに勝利した試合では17得点の活躍だった水野選手。チーム力で勝利を掴み取ることができるか。

強さを見せたENEOS 得点を量産

得点を重ねたキャプテン・小池遥選手
得点を重ねたキャプテン・小池遥選手

立ち上がりからENEOSはエナジー全開で試合に入り、主導権を握る。シャンソンはなかなか得点に繋げられなかったが、第2クォーターのゾーンディフェンスが効き、ひとつのポイントに。ENEOSのタイムアウトを誘うと、キャプテン小池遥選手を中心に、得点を重ねる。ENEOSが6点リードで後半へ。

後半の立ち上がりもENEOSペースとなった。

五輪代表も務めた林咲希選手
五輪代表も務めた林咲希選手

シャンソンはタイムアウトを取り修正を図るが、渡嘉敷来夢選手がインサイドで強さを見せ、東京オリンピック代表の林咲希選手やキャプテン岡本彩也花選手も3ポイントシュートを沈める。

後半で3ポイントシュートを決めたキャプテン・岡本彩也花選手
後半で3ポイントシュートを決めたキャプテン・岡本彩也花選手

シャンソンは、前半の怪我の影響か、後半からフェイスガードをつけた野口さくら選手が3ポイントシュートで応戦するも、ENEOSの勢いそのままに、最後は若手が出場する時間帯となり、ENEOSが92-64で勝利。準決勝へ駒を進めた。

怪我の影響もある中ポイントを決めた野口さくら選手
怪我の影響もある中ポイントを決めた野口さくら選手

大黒柱復帰 9連覇へ渡嘉敷がチームを導く

昨年の皇后杯の準々決勝で怪我を負い、東京オリンピックの代表も断念せざるを得なかった渡嘉敷来夢選手。あの怪我から1年。今シーズンのWリーグ、レギュラーシーズンが復帰の舞台となり、この皇后杯にも帰ってきた。

圧倒的な強さを見せる渡嘉敷来夢選手
圧倒的な強さを見せる渡嘉敷来夢選手

渡嘉敷選手は試合の立ち上がりから圧倒的強さを見せ、30得点の活躍。昨年は怪我の後も、ベンチから誰よりも声を出しチームを鼓舞し続けた。それに応えるかのように、渡嘉敷選手だけでなく主力を怪我で欠きながら、ENEOSは皇后杯8連覇を達成した。表彰式の時、キャプテンの岡本選手とメダルを掛け合う姿はとても印象的だった。復帰した大黒柱が、前人未到の9連覇へチームを牽引していく。

ENEOSとトヨタ紡織サンシャインラビッツは、18日(土)準決勝の第1試合で対戦する。

(写真提供:JBA)

船岡未沙希
船岡未沙希

東京フイルム・メート フリーランス 実況 インタビュー newsアナ
唐津生まれ魚育ち🐟
バスケと浜田省吾さんをこよなく愛しています✌︎
両膝前十字靭帯断裂→明治大学男子バスケ部主務🏀
スポーツと虎と料理と読書とHUMMERが好き
今年の目標は船舶免許を取ること⛴
私は本物になりたい◎
我が道をゆくがモットー🕶